罪深い男(セクハラ的意味で)
サイコロの餌食に一人なりました。
僕は悪くない
「クエスト名は、『もふもふマフマフ』っていうものなんです」
「……それ討伐クエストなんですか?」
「討伐対象のモンスター情報がWikiにも掲示板にも載って無いのでなんとも……」
WWOが始まってまだ一月。未だ発見されていない職業もアイテムもモンスターもごまんと、と言うかアイテム、モンスター、スキルに至っては先すら見えないくらいまだある。だが、RPGをやっている者の性というか、なんとなく名前を聞けばレアな物なのかとか強いのかは予想が立てられる。様々なゲームをやった結果の経験則だが、ここに集まった七人も例外ではなく名前でおおよその強さが予測できる。
そしてクエスト名からもモンスターの系統に予想がついていた。
「間違いなくマフモタイプのモンスターでしょうけれど……」
マフモ。それは毛玉のような獣系モンスターで、見ていると和む上そんなに強くもないWWOのマスコット的モンスター。普段ならテイムして毛玉にくるまりたいという人たちが続出しているのだが、クエストになるようなマフモは少し違う。
ノーマルマフモなら全く恐れる必要のない雑魚なのだが、たまに強い個体が現れることがある。以前発見されたエンジェルマフモは毛玉に天使の羽とリングがついていた個体で、物理攻撃を軽減するうえ光魔法を連発する難敵と掲示板で上がっていた。ちなみに普通のマフモより毛並みがよかったらしい。
本来この面子なら適正レベルより少しくらい高くとも全く問題はない。だが靉靆は変わらず難しい顔をしている。
その様子に数名が何か嫌な予感を覚えた。
「で……靉靆。その顔の理由はなんだ?」
ダオの言葉に合わせ、全員の視線が靉靆に集まる。当の本人はどうしたらよいのかわからないという表情のまま視線を受け止めていた。
「かなりまずい相手なのですか?」
鋭一がかけた言葉に意を決したように、言葉を発した。
「これ、GMクエストなんです」
※相手は何体?
「クエスト内容は、とある獣系のモンスターの討伐、ないしは撃退です。対象モンスターは……タナトスマフモです」
全員が止まる。
WWOではクエストと言うのは通常、同じプレイヤーからの依頼を指す。白紙の世界と言うだけあって、かなり自主性に富んだゲームだ。街を造ることも城を造ることも可能で、拠点をダンジョン化なんてことをすることもできる。
プレイヤーの自由度を底上げしたのがWWOなのだが、そんな中時としてGMが介入してくるときがある。まるでプレイヤーをいじめるかのように不思議で鬼畜なクエストを残したりして。
「クエスト名はなんかほのぼのしてるのニャ。けどタナトスマフモなんて穏やかじゃニャい名前ニャ」
「でスネ……」
「毛達磨の男が出たりしませんかね」
「それは無い……と思うニャ」
軽口を叩いてはいるがパーティーメンバーは全員がどうしたらよいのか悩んでいた。
GMクエストは基本的にかなり難しい。今回も恐らくかなりの難敵だと感じていた。しかし見返りは大きく、莫大な経験値やG、貴重な装備が手に入ったりする。
だが、それ以上に受けるのは早い者勝ちで難しい。今回靉靆は偶然クエストを受けようとした時にこれを見つけ、衝動的に受けていた。一回限りのクエストであり、次にまた受けられるかどうかもわからない。
「強敵をこんな序盤では出さないですよ……ね、普通は」
「でもWWOってマフモタイプの上位敵は結構面倒ですよね」
※対策は?
「情報が圧倒的に足りない……」
「囮で誰か一人ギリギリまで耐えてもらって、相手の手の内を可能な限り出させて対策を練りましょう」
「回復が間に合わないと……」
「死に戻りですよ」
言葉は出ない。
全員が察しているのだ、下手なことを言えば自分が囮にさせられると。
※誰が囮をやるか
「たしぎさんタンク役にちょうどいいテイムモンスターいません?」
「さあ、どうでしょう」
「では貴方が逝ってください」
「「「「「賛成ー」」」」」
たしぎの顔が一瞬で絶望に染まる。恐怖とかのバッドステータスアイコンがなにもしてないのに現れるのではないかと思うほどに分かりやすく変わった。
「ま、待て! 私人型しかいないんだ! テイム凄い大変なんだぞ!?」
「努力は惜しまないんでしょう?」
先程靉靆に言ってしまった言葉が今頃自分の喉を絞めるとは思っていなかった。逃げ場はもう無いのだが、それでもたしぎは無駄な足掻きを止めない。
「テイムだけだよ! 今までの苦労を無かったことにされるわけにはいかないぞ!」
「そんなに心配ならたしぎも一緒に戦ってやればいいじゃニャい」
* * * * *
森林エリア、ダンジョン『土地神の口』内部。
「あれ? そういえば装備変えたの私とダオさんだけですか」
「ま、私たちはもともと軽装備だから普段から着てるんだ」
イヴリの言うように装備を変えたのはダオとイヴリの二人だけ。なんとなく気合いを入れてきた二人は気恥ずかしくなっていた。
約一名この世の終わりのような顔をしているが。
「ううっ……〈テイムビースト〉254回でやっと成功した子なのに……!」
「大丈夫ですよ、ご主人に鍛えられてますから! その代わりゴホウビ……」
「ああっ! お前はいいこだねーワンコ! ちゃんと鞭はたっぷりあげるよー!」
「あおーん! 頑張ります!」
さっきの水の下級精霊はまだレベルが低いため前衛の中で一番鍛えていたワーウルフの少女、ワンコをたしぎは連れてきた。
だが、話されている内容に女性陣は全員ドン引きする。
ダンジョン内部はあまり光が入らないが、あちこちに生える苔が僅かに光を帯びているためあまり苦労はせずに先に進んでいく。
――キュオオーン……
「! たしぎさん!」
※どんな行動をとるか
「私、この戦いが終わったら詩歌さんにプロポーズするんだ」
「はニャ!?」
「私のペットになってくださいって……」
「あんたは生理的に嫌ニャしそもそもあたしまだ未来の旦那さん募集してないニャ」
「「「とっとと行け変態!」」」
尻を蹴っ飛ばされた。
女性陣に総すかんをくらい、たたらを踏む。
仕方なく一人で奥へと走る。そして曲がり角で、それはいた。
毛玉に悪魔の翼。周囲には四つの黄色の水晶が浮かんでいたモンスター。頭上に表示されているモンスター名は『タナトスマフモ』!
臨戦態勢へと移る前にタナトスマフモの水晶が光り、高速で魔方陣が展開される。
「あれは……〈サンダーⅢ〉!? まずっ……」
※回避できたか
「ぐおわぁ!」
「ご主人!」
詠唱速度の速さに気を取られ、回避しそこねる。
ただの〈サンダー〉ならばダメージも大したことは無いがこれはそれよりもかなり強力。
「水晶三つ光って〈サンダーⅢ〉……水晶は全部で四つ、〈サンダーⅣ〉まであるのか……?」
確証は無くとも確かめねばならない。自分の役目はなるたけ情報を引き出すこと。
――指示を出さねば。
「ワンコ、狼に変身しろ。出来る限り動いてタゲを私と交互に取る用意だ。私を援護しろ」
「わ、わかりました!」
「……皆さーん……魔法使う相手にテイマーを囮にしちゃだめですよ……」
かなり離れてこの光景を見ているパーティーにたしぎは一人悪態をつくのだった。
後書き
結局出たのは二番でしたねww
私の出番が遠のく……
※相手は何体?
出たのは1!
ちなみに12面ダイスでやりました。
良かったですね、12が出なくてww
※対策は?
1.突撃ー!!
2.諦める
3.誰かを囮に
4.レベル上げ
5.前衛に丸投げ
6.一回戦って全滅してでも情報を
出たのは3!
だーれーかーなーww
※誰が囮をやるか
1.靉靆 2.立花詩歌 3.イヴリ 4.辺 鋭一 5.たしぎ はく 6.三河 悟 7.ダオ 8.みんな
出たのは5!
日頃の行いですね!
※どんな行動をとるか
1.死亡フラグを立てる
2.詩歌さんにセクハラ
3.女性陣に蹴られる
4.いきなり饒舌にしゃべり出す
5.何もしない
6.5以外全部
出たのは6!
やらかしたなww
※回避できたか
1.3.5.成功 2.4.6.失敗
出たのは2!
とことんついてないたしぎさんww
今回のラスト選択肢は展開的に難しいので、保留!
なんてことはしません!
だけど物語に関わる選択肢はだせそうにないので、誰が囮をやるかのところと同じ数値割り振りで、当たった人は次回粘液まみれになってもらいます!!スライムに体当たりみたいなもんです!
誰が出るかな……!!




