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エピソード06

 ドオーン

 

 ぐはぁ!

 

俺は、男の左足を撃った。

太ももから先が吹き飛ぶ。


 「おっ、おい!何すんだよ!」

 

俺は、銃口を男の右手に向けた。


 「やっ、やめろ!こんな事して、タダですむと思ってるのか!」

 

 ドオーン

 

 がはぁ!

 

右腕が吹き飛んだ。

俺の顔と散弾銃は、男から噴き出した血で赤く染まる。


 「なっ、何なんだ・・・おっ、俺が・・・何をしたって言うんだよ!」

 

 「お前はラッヘを殺した」

 

 「ラッ、ラッヘ・・・なっ、なんだよそれは・・・」

 

 「今度は、お前がラッヘに殺される番だ」

 

 「なっ、何わけわかんねえ事言ってんだ!」


俺は、大きな黒いバックを開けた。

バックの中から、一匹のキツネが顔を出した。


 「キッ、キツネ・・・」


 「さあ行け、ラッヘ!お前の母さんの、いや殺された全てのキツネの復讐を果たせ!」

 

ラッヘはバックから勢いよく飛び出すと、真っすぐに男の喉元へ嚙みついた!

男は左腕でラッヘの背中を鷲掴みにして引き離そうとしたが、

噛みついたまま離れないラッヘは、男の喉を食いちぎった。


 バタッ

 

目を見開いたまま、男の手が床に落ちた。

白い口元が真っ赤になったラッヘは、動かなくなった男をじっと見つめていた。

 

俺が近づくと、男を見ていたラッヘは俺の顔を見た。

そうだラッヘ、やっとこれで終わったのだ。


 「よくやった、」

 

俺はラッヘを優しくなで、大きな黒いバックに入れた。

赤い液体が、板の床に静かにゆっくり広がる。

バックから雑巾を取り出し、ラッヘの足跡をキレイに拭き取った。


そして散弾銃を折り、ポンっと空の装弾を取り出して、

新たに2個の装弾を込めた。


 ドオーン

 

ラッヘに食いちぎられ、半分残っている首を狙って撃った。

頭が胴体から離れ、部屋の隅に回転しながら転がった。

 

 

 

俺は、屋敷を出て車を走らせた。

誰もいない河原に車を止めた。

ラッヘをカバンから出して、冷たい川の水で口元をキレイに洗った。


ラッヘは、死んだ母と瓜二つだ。

俺は彼女を抱きしめた。

ラッヘは、動かずじっとしている。


 「これからは思う存分、この山で生きてくれ」


ラッヘはしばらく俺を見つめた後、山へ向かって歩き出した。

何度も何度も振り返るラッヘを、俺は涙と笑顔で見送った。


 さよなら、ラッヘ

 君も、またいつか母になるだろう

 たくさんのかわいい子ぎつねに囲まれて

 幸せにな


ラッヘの姿が見えなくなった。

大きな黒いバックを燃やした俺は、ドライバーズシートに身を落とし、

助手席に置いた散弾銃を手に取った。


 「さあラッヘ、天国で会えるのが楽しみだよ」

 

俺は銃口を頭に突きつけ、トリガーを引いた。



 ドオーン







俺の手には、一枚の写真があった。

それは、俺とラッヘが雪山でいっしょに写っている写真だ。


写真は銃声と共に、俺の手から足元へ舞い落ちた。






 「なあ、」

 

 「なんですか、先輩」

 

 「お前、なんでキツネにラッヘって名前付けたんだ?」

 

 「なんでって、偶然その言葉が頭に浮かんだんですよ」

 

 「そうか、偶然か」

 

 「何かあるんですか?」

 

 「ラッヘってさ、ドイツ語で”復讐”って意味なんだよ」

 

 

 「へー、そうなんですね」




 俺は子ぎつねに、ラッヘという名前を付けた。

 それは、復讐という名前らしい。

 


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