表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

エピソード05

俺はラッヘを机の引き出しから取り出し、治療台の上にのせた。


目を閉じ、口を開けたままのラッヘ。

もう二度と動くことはない。

どこへ行くのも、俺の後をついてきた。

雪が大好きで、嬉しそうに飛び跳ねていた。


後ろを振り返りながら、山に消えたラッヘ。

血を流しながら、彼女が最後にたどり着いたのは、

自分が育った故郷の家だった。


 ラッヘ・・・

 

俺はラッヘの亡き骸を抱きしめた。

まだ微かに暖かい。

俺の涙がラッヘに落ちたとき、

何か動くものを感じた。


ラッヘの亡き骸を見ると、お腹が動いている。


 「ラッヘ!お前、赤ちゃんがいるのか!」

 

俺は急いでラッヘのお腹から赤ちゃんを取り出した。

4匹は既に死んでいて、1匹だけが生きていた。

タオルにくるみ、ぬるま湯をわかした。

犬猫用のミルクを与えると、元気に飲んだ。


 ラッヘ、お前はお腹の子を俺に託すためにこの家にきたんだね

 かつてお前の母がそうしたように



俺は診療所の庭に穴を掘り、ラッヘと赤ちゃんの亡き骸を埋めた。

生きていた赤ちゃんキツネは、女の子だった。

俺は、腕の中で眠る赤ちゃんキツネを見つめて言った。


 「今日からお前がラッヘだ。お前が母の意思を受け継ぐんだよ」

 




また、新しい年が明けた。

俺はこれまでに何度か男の家を訪ね、世間話をしながら銃の扱い方や撃ち方などを教えてもらった。

そして、今日は二人でキツネ狩りをする日だ。


雪道をゆっくり走り、男の屋敷の前でサイドブレーキを引いた。

チャイムを鳴らすと、屋敷の鉄の門が開いた。

誰もいない玄関で靴を脱ぎ、2階にある男の部屋をノックした。


 「よお、待ってたぜ」

 

 「今日は静かだな」

 

 「ああ、親はヨーロッパに旅行中だ。使用人も正月休みで、来るのは明日からだ」

 

 「そうか。じゃ、誰もいないわけだ」

 

 「いい天気だし、風も無い。絶好の狩り日和だぜ」

 

 「そうだな」

 

俺は、大きな黒いバックを部屋の隅に置いた。


 「なんだ、その荷物は」

 

 「ここへ来る前に急ぎの依頼があってね。診療道具が入ってるんだよ」

 

 「正月早々、医者も大変だな」

 

 「ところで、銃の準備は出来てるのか?」

 

 「焦んなよ」

 

男は皮ケースのボタンを開け、散弾銃を取り出した。

そして、ニヤリとしながら俺に渡す。

水平二連式のクラシカルな銃だ。


 カチャ

 

俺は銃を折り曲げ、2個の装弾を装填した。


 「おいおい、危ねえから弾込めは山へ行ってからにしろよ」

 

 カシャン

 

そして、男の顔前に銃口を突きつけた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ