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エピソード03

明るかった空は、午後から急に曇りだし強い風が吹いてきた。

コーヒーを片手にカーテンを開けると、みぞれ混じりの吹雪になっている。

日曜日で休診だったのが幸いだ。


 ドン、

 

玄関で、何かぶつかるような音がした。

東京で桜が開花したというテレビニュースを消し、

強風で重い玄関のドアを開けた。

そこには、一匹の血まみれのキツネが倒れていた。


 「ラッヘ!」

 

俺は、急いでラッヘを抱え治療台にのせた。

銃弾を受けている。

弾は貫通していないようだが、出血がひどい。

俺はすぐに止血用の布をあて、包帯をぐるぐる巻いて固定した。

ラッヘは目を閉じたまま、息がとても荒い。

麻酔の準備しているとき、銃声が聞こえた。

窓から外を見ると、近づいてくる人影が見える。

俺は外へ出て、ラッヘの血痕を雪で消しドアを閉めた。



 ドンドンドン、

 

 「おーい、誰かいるんだろ、開けてくれ」


俺は声を潜めた。


 「いるんだろ。なんなら、このドアぶっ壊してもいいんだぜ」

 

俺は、重い玄関のドアを開けた。

背の高いガッチリとした体格の男が一人、ドアの前に立っていた。


 「やっぱいたじゃねえか」


 「トイレに行ってましてね」


 「あんた、ここの人か?」

 

 「ええ、そうですが」

 

 「動物診療所か。へー、こんなとこに動物病院なんてあったんだ」

 

 「去年、東京から引っ越してきたんですよ」

 

 「おお、都会人か」

 

 「で、何か御用ですか」

 

 「ここにキツネが迷い込んでこなかったか」

 

その男は目線を下げ、俺の服に着いた血を見た。

 

 「もしかして、ケガをしたキツネですか」

 

 「ああ、そうかもな」

 

右手に散弾銃を持っている。


 「応急処置をしたら、すぐ出て行きました」

 

 「まさか、逃がしたのか」

 

 「銃声に驚いて、勝手に飛び出したんですよ」

 

 「なるほど。で、どっちの方へ逃げた」

 

 「この吹雪でよくわからないけど、たぶん川の方じゃないかな」

 

 「そうか、ありがとよ」

 

俺はドアを閉めようとしたが、その男は左手でドアを握った。


 「せっかくだから、ちょっと中を見せてくれよ」


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