親子
「マナカとリセルナは何しに来たんだ?」
まぁ、二人のことだから大方予想はつく。
マナカとリセルナが口をそろえて話した。
「オーレリアを助けに行って!!」
「オーレリアを助けて下さい!!」
だよな~。知ってた。オーレリアは今、ヴァルディナに幽閉されている。
ヴァルディナはこの国の首都だ。簡単には攻められない。それに…ほかにもっと優先するべきことがある。
「ごめんだけどまだ助けられない。」
俺も助けに行きたいけど…これはそんな簡単にできるものじゃない。
「ど、どうしてですか…」
「どうしてよ!!」
・・・正直に答えていいものか…
正直に”オーレリアよりも優先するべきことがある”なんて言ったらどうなる?殺される。
マナカはわかってくれるだろうがリセルナが許してくれないだろう。
「ほ、ほら、あのー…ノエル!ノエルがゴートヒルズに行くって言ってたじゃん?あれに同行し、しよっかなって思ってて…」
我ながら苦しい言い訳だな。
「オーレリアの方が大事でしょ!!」
リセルナ…ごめんよう…
「マナカ、リセルナを頼んだ。」
俺は立ち上がり、ノエルの所へ向かった。
俺の後ろ姿を見ながらリセルナが泣いている。最悪な気分だ。
「リュカス…リュカス嫌い…」
「団長もついてきてくれるのか。」
「あぁ。俺は今しか自由に動けないからな。」
俺は革命軍団長。普通なら戦場で指揮をとり、勝利へ導く役目なのだが…あいにく俺は病み上がりでね。
不幸中の幸いか、今は比較的自由に動ける。
「それじゃあ早速、明日の早朝出発する。熙音も一緒に行くからね。」
熙音は鹿だ。話せるし、魔法も使える。お人好しな奴だ。
ノエルとの話が終わった後、俺はリセルナの部屋の前に来ていた。
謝りに来た、さすがにあの説明じゃ納得できないだろうと思って。
「リュカスきっと私達のこと嫌いなんだよ…」
「そんなことないよ!りゅか、リュカス君は少し不器用なだけだよ!」
相当へこませちゃったな…
なんか…気まずいし明日にしよ。あ、明日はもう行くのか。
じゃ、帰ってきたら謝るか。
俺は自分の部屋に行き、明日に備えた。
「でも私は、リセルナは!リュカスが好き!たとえリュカスが私のことが嫌いでも…それでも私はリュカスが好き!!私の唯一の”パパ”だから!!」