第九章:長州の盟友
評定所での危機を切り抜けた悠翔は、桂小五郎と共に長州藩の屋敷に戻った。屋敷には、桂の他に高杉晋作という若い志士もいた。高杉は、熱い目をした男で、尊王攘夷の志に燃えている。悠翔は一目で、彼が「使える」と直感した。
「貴様が黒崎悠翔か。未来から来たって話、嘘じゃねぇだろうな?」高杉はニヤリと笑いながら、悠翔に近づいた。
悠翔はマントを翻し、胸を張った。
「ふん! 俺は黒崎悠翔、時を裂く闇の使者! 貴様の志、俺の知識で不滅にする! 開国を防ぎ、この国を闇の帝国に変える!」
高杉は大声で笑い、悠翔の肩を叩いた。
「ハハッ! 堂々とした面白い小僧だ! よし、俺も貴様に賭けてみるか。桂、こいつ、使えるぞ!」
桂は冷静に頷き、話を進めた。
「黒崎、評定所での騒ぎで、開国派の動きが活発になっている。井伊直弼が、幕府を動かし、開国を強行するつもりだ。貴様の言う『未来の知識』で、具体的な策を示せ」
悠翔は内心、焦った。スマホは死に、具体的な知識はない。だが、彼はここで引き下がれない。彼は適当にゲームやアニメの知識を混ぜ合わせ、でっち上げた。
「ふっ! 俺の策はこうだ! まず、海岸に大砲を並べ、黒船を近づけさせん! さらに、火薬を改良し、爆発力を百倍にする! 俺の戦略で、異国の者を海の藻屑にする!」
高杉が目を輝かせ、拳を握った。
「大砲か! いいな! 俺たちの奇兵隊に、貴様の知識を活かせば、黒船をぶっ潰せる!」
桂は少し疑わしげに目を細めた。
「火薬の改良だと? 具体的にどうやる?」
悠翔は冷や汗をかきながら、適当にごまかした。
「ふん! 細かいことは、俺の闇の叡智が導く! とにかく、貴様らは俺を信じ、動け! 歴史は俺の手で変わる!」
桂はしばらく黙り、やがて頷いた。
「よし、黒崎。貴様に賭ける。だが、失敗すれば、長州の名も汚れる。覚悟しろよ」
悠翔はニヤリと笑った。内心、「マジでどうすんだ、これ……」と思いながらも、表面上は余裕の表情を崩さない。
「ふん、覚悟など、俺の闇の魂に刻まれている! さあ、動くぞ! 闇の帝国の第一歩だ!」