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第四章:幕府への潜入

黒崎悠翔は、佐藤清十郎に連れられ、江戸城の外郭にたどり着いた。目の前に広がる巨大な石垣と門は、彼の心を震わせた。現代の教科書でしか見たことのない江戸城が、そこに生きている。だが、悠翔の厨二病はそんな感傷を即座に「闇の試練」と変換した。


「ふん、この城こそ、俺の運命を試す闇の試練場! ここで俺の力が歴史を塗り替える!」


清十郎は苦笑しながら、悠翔の肩を叩いた。


「小僧、声がでかいぞ。城内では大人しくしろ。奉行所の俺でも、老中や将軍様に直に会うのは簡単じゃない。まずは、俺の知り合いの側用人を通じて話を通す」


悠翔は内心、「側用人? なんちゃらって役職か?」と首を傾げたが、表面上は余裕の笑みを浮かべた。


「ふっ、貴様のコネなど、俺の闇の力の前では些細なもの! さあ、導け! 俺の使命が待っている!」


清十郎はため息をつきつつ、門番に挨拶し、悠翔を連れて城内へ進んだ。城の中は、畳の廊下が続く厳かな雰囲気。着物姿の役人や武士が行き交い、誰もが悠翔の奇妙な服装に一瞬視線を投げる。悠翔はそれを「愚民の畏怖」と解釈し、胸を張って歩いた。


案内されたのは、側用人・田中重蔵の執務室だった。重蔵は40代半ばの、鋭い目つきの男だ。清十郎が簡単な挨拶を済ませ、悠翔を紹介する。


「田中様、この者、黒崎悠翔と申す。異国の知識を持ち、幕府に忠義を尽くすと申しております」


重蔵は悠翔をじろりと見つめ、口を開いた。


「異国の者か? その妙な服、見たことのない生地だな。名を申せ。どこの生まれだ?」


悠翔は一瞬、緊張した。だが、彼の厨二病はここでも彼を救う。彼はマントをバサリと翻し、声を張り上げた。


「俺の名は黒崎悠翔、時を裂く闇の使者! 未来の戦士として、この時代に降臨した! 俺の知識は、貴様らの世界を救う鍵だ!」


重蔵の眉がピクリと動いた。清十郎は慌ててフォローに入る。


「田中様、この小僧、口は悪いが、確かに妙な道具を持っておる。未来の知識とやらも、幕府の役に立つやもしれぬ」


重蔵はしばらく黙り、悠翔を値踏みするように見つめた。やがて、低い声で言った。


「よかろう。未来の者とやら、証拠を見せろ。何か、幕府の役に立つ知識を持っているか?」


悠翔は心の中でガッツポーズをした。チャンスだ。彼はポケットからスマホを取り出し、バッテリー残量を確認。まだ8%。ここで一気に勝負をかけねばならない。彼は適当に写真アプリを開き、現代の東京の夜景を見せた。高層ビルとネオンの光に、重蔵と清十郎が息をのむ。


「こ、これは……! まるで別世界だ!」


「ふん! これが俺の故郷、未来の江戸だ! この輝きは、科学の力の結晶! だが、聞け! この繁栄は、開国によって外敵に奪われる! 俺はそれを防ぐため、ここにいる!」


重蔵は目を細め、悠翔に問いかけた。


「開国が破滅だと? 黒船の脅威は、幕府も承知している。だが、異国の力を借りねば、戦う術もない。貴様、何か策があるのか?」


悠翔は一瞬、言葉に詰まった。歴史の知識は中途半端だし、具体的な策なんてない。だが、彼の厨二病はそんな弱気を許さない。彼は胸を張り、適当にそれっぽいことを並べ立てた。


「ふっ! 策なら山ほどある! まず、貴様らの刀と火縄銃では、黒船に勝てん! 俺の知識で、新たな武器を創る! さらに、異国の者を丸め込む術を授ける! 開国せずとも、この国を最強の闇の帝国に変える!」


重蔵はしばらく黙り、ゆっくりと頷いた。


「面白い小僧だ。よし、しばらく城に留め置き、貴様の知識を試させてもらう。だが、嘘をついたなら、その首、刎ねるぞ」


悠翔はニヤリと笑った。内心、「マジで首刎ねるとか、この時代こええ!」と思いながらも、表面上は余裕の表情を崩さない。


「ふん、試してみるがいい。俺の闇の力は、貴様らの想像を超える!」



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