公爵令息の憂鬱
ユーグレアス視点です。
フィラント公爵令息、ユーグレアスは深いため息を吐いた。
たった数分で、事態が急転したのだ。
アルテシア王国の唯一の王子であるレクサスの、王妃となるべき女性、アドモンテ公爵令嬢のグレイシアが王子の元を去って行った。
理由は至極、単純明快で。
レクサス王子が男爵の庶子である令嬢カリンを「正妃にする」と言ってしまったからだ。
事前に相談されていた訳ではないし、いや、もしされていたとしても、グレイシアが良いように収めるだろうと思っていた。
あてが外れたのはレクサスだけではない。
結局、カリンでは王妃は務まらないのだから、優秀な補佐が必要だ。
それには、カリンを王妃に据える事もままならない。
最後にグレイシアが言っていたように、王家の求める王妃に一番近いのは妹のサーシャだ。
今までずっと、婚約話を邪魔して守ってきた最愛の妹。
美しく純真なだけでなく、向上心もあるので禁じても彼女は勉強をし続け、淑女として立派に育っていた。
婚約者であるアイリーンも、それを手助けして。
それに、もう一つ大きな問題が起きていた。
レクサスが囲っていたカリンは、色々な地位の令息達の歓心を買い、その令息の婚約者達に恨まれていた、筈だったのに。
ユーグレアスはそこまで考えて、思わず、ちっと舌打ちをした。
グレイシアが捨て置かれた婚約者に近づけたのは、男装令嬢のルシャンテだ。
あっという間に、ルシャンテは嫉妬や悲しみに嘆いていた令嬢達を虜にした。
そして、ここ最近カリンや、レクサスの側近であり、またその補佐をしていた低位令息までが婚約解消を相手から言い出されて困っている。
全てカリンのせいだ、と逆恨みする者まで現れたのだ。
「ううっ……アリシア……」
今日も一人、手酷く拒絶された令息が涙に暮れている。
グーネル・ドーソン伯爵令息。
それなりに人気のある令息だが、相手のアリシア・ファネル伯爵令嬢は雀斑に眼鏡という地味令嬢で、常々グーネルはその容姿を馬鹿にしていた。
「どうした?グーネル」
「……アリシアに、婚約解消されて、もう、カリンには近づかないと言ったのですが聞いてくれなくて」
「そうか」
だが、それは朗報かもしれない。
ユーグレアスは、慰めるようにグーネルの肩をぽんと叩きながら考えた。
アリシアは真面目で優秀、それに従順な女性だと聞いている。
見た目も良くない事から、控えめな性格になったのだろう。
ならば、王子の相手に悪くないかもしれない。
もう解消されたというのなら、問題ないな。
急ぎユーグレアスは、アリシアを探すためにその場を離れた。
「アリシア・ファネル嬢はいるか?」
昼餉を終えて講堂に戻ってきていた子女たちが、顔をある一点に向ける。
そこにいたのは、茶色の髪に、青灰色の目をした美しい色白の令嬢だった。
「何か御用でしょうか」
落ち着いた様子で、アリシアは呼びかけたユーグレアスの元へと歩いてきて尋ねた。
髪は丹念に編み込まれていて、頭の後ろで髪飾りで留めてあり、眼鏡もしていない。
見詰められて、どきりとするほど、美しい少女だ。
「いや、ここでは……、そうだな、少し向こうへ行こう」
「はい」
一瞬胡乱気な目を向けるが、大人しく廊下の隅へと付いてきた。
「ドーソン伯爵令息と婚約を解消したと聞いたのだが」
「はい。事実でございます」
アリシアはこっくりと頷いた。
そこには何の未練も悲しみも感じられない。
「であれば、だ。レクサス王子の正妃にという話を受けてくれないか?」
「………それはお受け出来ません」
「何故だ?良い話だと思うのだが」
正妃になれるのならば、権力も持てるし、何より最高の栄誉だろう。
だが、アリシアはふ、と冷たい笑みを浮かべた。
「良い話、ですか。ご本人ではなく、何故貴方がわたくしにその話を持ってくるのです?愛される事はないから、誰でもいいから王妃に、という事ですわよね?良い話だと思うのでしたら、どうぞ妹君に持ち帰られては?」
カッと全身の血が逆流したかのように、熱くなる。
それは、ユーグレアスにとって一番言われたくない言葉だった。
「………それは」
「ご忠告差し上げますね。低位貴族の婚約が解消になった理由をお忘れでして?誰が自分の婚約解消に至った原因を作った令嬢が側妃として居座る場所へ、嫁ぎたいと思いますか。わたくし以外にもそういった方は多くおりますけれど、そんな話を良い話だと持って来られても、馬鹿にされているとしか思えませんわ」
「……だが、」
まだ何か言おうとするユーグレアスに、アリシアは美しい冷笑を浮かべた。
「誰が、そんな浅ましい令嬢が愛される場所で、馬車馬の如く働かされたいと思うのです?もしも、それが「良い話」だと本気でお思いなら、どうぞ妹君を」
そう言われてしまえば、二の句も継げられない。
妹をそんな場所へは嫁がせたくない。
元々何処かへ嫁がせるつもりもないのだが、それでも。
「だって、王妃様になれるのですから、良いお話、なのでしょう?」
公爵家だから、そこまで権力に固執していない。
財産だって、好きになる公費だって権力だって。
でも、飼い殺しになるのは確定だ。
決して「良い話」などではない。
だから。
サーシャだけは。
諦めきれずにユーグレアスは、婚約の有無に関わらず幾つかの家門に話を持って訪れたものの、何処へ行っても無駄な徒労に終わった。
「娘は婚約中でして、さすがにそれを反故にする訳には…」
「我が娘などサーシャ様の足元にも及びません」
「我が家門の娘など、恥ずかしくて王妃様などという大業は」
令嬢が駄目なら当主にと思ったが、辞退される。
この時点で首を縦に振りそうな人間は、あまり評判の宜しくない家門しかない。
権力に固執するような…。
リヴィエル子爵家は、そういった噂のある家門だった。
確か、令嬢がいたはずだが、最近病気で学園を休んでいるという。
見舞いを名目に訪れると、リヴィエル子爵は顔を引きつらせて出迎えた。
「……有難いお話ですが、今少し立て込んでおりまして」
「詳しく聞かせて貰えぬか」
冷や汗を流しつつ言う子爵に詰め寄ると、ため息を吐きながらも子爵は話し始めた。
「私も命は惜しいのですよ」
「……は?」
「おや、ご存じない……」
リヴィエル子爵は忙しなくきょろきょろと視線を動かした。
「最近、まあ、評判の悪い家門の当主が不慮の事故に遭ったり、火災で屋敷が焼け落ちたりと物騒な事が起きておりましてな。何でも、娘を無理にでも王家に差し出そうとしていたという噂ですが……あ、いや、あくまでも噂でして」
ハンカチで汗をぬぐいながら言うが、顔色は冴えない。
まさかそんな、とは思うが、事件すら知らなかったユーグレアスには何も言えなかった。
「それに、私はほっとしているのですよ。……娘は駆け落ちしましたから」
「……は?駆け落ち?……そんな」
「身の程を弁え、命を大切にするというのは、大事な事です。……王国にいると平和過ぎて忘れそうになりますが、少なくとも私にもう娘という切り札が無い事で、不運からは身を守れるでしょう」
暗にそれは、何者かが不運を与えているという意味にも聞こえる。
だが、それを敢えて口に出すことは出来ない。
そんな事を出来る者は、限りなく少ないのだ。
財力と権力だけではない。
「分かった。失礼する」
立ち上がったユーグレアスの顔は青ざめていた。
もし、アドモンテ公爵一族が裏で動いているのなら、正妃になれる人間は一定以上の身分でないと許されないという事だ。
その中でも婚約者がいないのはサーシャだ。
他の高位貴族の令嬢は、カリンを理由に婚約を解消し、あっさりと他の者と婚約をしている。
生徒会で言うならば、シドニス・レンフィール侯爵がそうだ。
宰相の息子であり、見た目も成績も良かった彼の婚約者、ディアーヌ・ファイエット侯爵令嬢は、かつてのレクサス王子の婚約者候補である。
グレイシアが第二皇子との婚約を告げた頃、彼女もまた帝国貴族との婚約を決めた。
その時に改めて王子の婚約者候補達の、嫁ぎ先を調べてみれば、半数は帝国貴族との縁組で、残りはその他の王国や公国の貴族や王族である。
明らかに、アルテシア王国からの王命が通じない相手を選んでいたのだと気づいた。
国際的な縁組を、片方の王家の我儘で潰すことは出来ない。
しかも、理由が理由である。
「正妃候補は、見つかったか?」
レクサスが偉そうに、でも探るように聞いてきた事でユーグレアスは思わずギロリとレクサスを睨んでしまった。
「何だ?お前が言い出したのだろう。サーシャ嬢を差し出すのは嫌だと」
「他の女性を愛する殿下の為に、働くだけの人生を送れ、とまだ仰るか」
思わず本音を言うが、ムッとした顔でレクサスも言い返してきた。
「お前が望むのなら、白い結婚でも良いのだ」
まるで、それを望んでいるだろうとばかりに差し出されて、ユーグレアスは目の前の机を拳で叩いた。
確かにユーグレアスはサーシャの純潔も望んでいるが、それは幸せであるという事とは切り離せない。
誰が、愛されもせず、働かされ続ける環境で、家畜として飼われるような生活を送らせたいと思うものか。
不遇の人生が分かりきっているから、他の令嬢とて皆拒むのだ。
それに、実際に愛らしいサーシャを見れば、レクサスは簡単に心を動かすだろう。
白い結婚だの何だのと契約を交わした所で、十年も過ごした相手との婚約という人生の約束を破る男だ。
「その言葉は信用しかねます」
「な、不敬ではないか!」
「不敬ではありません。サーシャは美しく清らかで優しい天使のような娘です。殿下も一目で気に入るでしょう。けれど、カリンを愛する殿下の傍で、妹が幸せになれるとは思えません」
「……確かにそうかもしれんが、他にいないのだ、仕方ないだろう」
仕方ない訳があるか。
仕方がないという理由で、妹を不幸にする訳にはいかない。
「もう一つ手があります。私の婚約を解消すれば、アイリーンが殿下の妻になれるのでは?」
「……別にそれで其方が良いのなら、構わんが」
殴りたい衝動に駆られていると、くっくくと忍び笑いが聞こえて、目を向ければレナトが長椅子の背に両腕を凭せかけて足を組んで笑っている。
「何が、おかしい」
「ああ、失礼。殿下も酷い仰りようだなと思いまして」
ユーグレアスの怒りの言葉に、レナトは笑ってレクサスを見た。
レクサスはといえば、自分が笑われた事と酷いと言われた事にきょとんと眼を見開く。
「何故、私が酷いと?」
「ああ、知らないんですか。ユーグレアス君は殿下のお相手探しに大変な苦労をしていたんですよ。でも殿下は?自分でお探しになっていないでしょう?それなのに、あれをくれこれをくれとまあ、我儘なと思いまして」
そこでまたレナトは、はははっと笑う。
怒りの眼差しを向けるレクサスが何かを言おうとするが、その前にユーグレアスが立ち上がった。
「そういう事です殿下。グレイシア様は側妃のなりては居ないと仰っていたが、正妃になりたい女性すらいないのが、現状なのです。ですからその点は踏まえておいてください」
「……な……っ」
まるで、王妃という権力を餌としてぶらさげても誰にも見向きもされないと言われたようで、レクサスは顔を赤くする。
レナトの笑い声を背中に聴きながら、ユーグレアスは生徒会室を後にした。
そして、結局。
婚約を解消したアイリーンはレクサスの妻になることなく、ユーグレアスの妹のサーシャと弟のアンドレイを連れて、帝国へと旅立ったのである。
有力候補だった二人を欠いて、レクサスの結婚相手探しは行き詰った。
ユーグレアスに至っては、息子を見限り弟と妹を逃がす為に実の父親にすら嘘をつかれていたのだ。
「何故、アイリーンとレクサス殿下との結婚を確約させなかった?」などと責めたのは、自分の意識をそちらに向けておく為だと、後から気づいた。
父は最初から、アイリーンとサーシャを逃がす為に動いていたのだと。
「一体いつからですか……いつからそのような」
「そんな事を聞いてどうする?お前が愚かな事の言い訳にもなるまいよ」
晩餐に訪れた父親に詰め寄るが、鼻で嗤われた。
悔しくて込み上げる涙を抑えながら、歯を食いしばる。
「アドモンテ公爵が動いているのでしょう?評判の悪い家門を排して、低位令嬢を妻に迎える事を阻止までして」
「ほう。少しは調べる気になったのだな。だが、アドモンテ公爵はそんな些事には手を貸さぬよ。全てグレイシア様の一存だ。何時から?私が関わったのは5年前からだ。お前が側近に召されたのも、それが理由なのだから皮肉なものだ」
は?
ユーグレアスは鼓動が苦しくなるのを感じた。
ドクリドクリと痛いくらいに胸の裡が叩かれるような。
「理由、とは」
「優秀でないもの、それが理由だ」
「……は……?」
幼い頃から優秀だと言われていた。
将来が楽しみだと、なのに。
「おかしいと思わなんだのか。何故アイリーンの兄達が側近にいないのか。アドモンテ公爵令息達がいないのか」
「……それは権力の偏りが……」
そう、グレイシア様が言っていた、慎ましいとレクサスが得意げに言っていたのだ。
もしかして、それさえも彼女の策だったのか。
「本当に優秀な者達は別の場所に置かれているからだよ。人の口に戸は立てられぬまでも、国自体を抑えておけるのなら問題はない。だから、一番危ない帝国をグレイシア様が直接抑える事にしたのだよ」
「……え………王子を見限ったのでは?」
愕然としたユーグレアスに、公爵はふ、と短く嗤う。
「王子が優秀であれば、確かに帝国に嫁ぐ必要は無かった。だが、これから一層政情が不安定になるからこそだろう。王国からでは手を打てぬ程には愚かな王子だったから離れたのだ。アイリーン嬢もサーシャもそんなグレイシア様をお支えする為に行くのだ。何も愚かなお前から逃げる為だけではない」
「そんな、では、帝国は危険なのでは……」
「それも承知の上だ。愛だの恋だのそういった理由だけで動くような人物に、公爵家の当主たる私が手を貸す訳がないだろう。アンドレイはもっと早くに自力で答えに辿り着いたから、一緒に送ったのだ。……気づきが訪れるのは運でもある。誰もが万能ではない。だが、お前はこの王国で王子の側近に選ばれたのだから、責務は果たせ」
愚か。
優秀でない。
それが、もう何年も前からのグレイシアと公爵としての父親の評価だった。
突き付けられた現実に、ユーグレアスは目の前が暗くなる。
「私などに何が出来ますか……」
「優秀ではないが無能ではない。グレイシア様はこの国を潰したい訳ではないのだよ。維持したいからこそ、敢えて最低限の人員は残した。己の足りなさに気づき、上へと足掻ける者でないと連れては行けぬと仰っていた。そういう者でないと帝国では生き残れぬからな。決められた仕事を熟す人材は王国にも必要だ。お前は自分の出来る事をすれば良い」
何も、分かっていなかったのだ。
何一つ。
ユーグレアスは、全てが幻想のように脆く崩れ去ったのを感じて、後悔すら出来なかった。
こうすれば良かった、などと思える内はまだいい。
何一つ、正しい選択をしてこなかったのだ。
そもそも、何が起きていたのかさえ、把握できていなかったのだから。
グレイシアは、彼女は。
穏やかな笑みを浮かべながら、2年半の間、学園の中で優秀な者とそうでない者、害になる者、全てを選り分けていたのだ。
側近の一部も既に、優秀な者は他国へと旅立った。
生徒会の仕事から王子の執務まで、多方面で活躍していたアルトーもその一人だ。
地味な仕事を黙々とこなしていたから、誰も気づかなかった。
押し付けられた仕事も加えて、事務的な仕事は全て彼が一手に引き受けていたのだ。
だから、グレイシアと共にアルトーが姿を消したことで、業務も滞っている。
まずは、そこを片付けなくてはならない。
「アイリーンとサーシャが帝国へと逃げたのは本当なのか」
「はい。ですから、カリン嬢には教育を受けて頂いた方がいいでしょう」
ユーグレアスの言葉に、レクサスがため息を吐く。
「カリンは勉強が苦手なのだ」
「であれば、側妾に格下げするのが宜しいかと」
嫌々仕事を手伝っているレナトに書類を渡して、ユーグレアスも新たな書類を机に載せた。
ムッとしたレクサスが、椅子から立ち上がって怒鳴る。
「何という事を言う!」
「……何もおかしなことではありません。身分や立場が大事なのは殿下もお分かりでしょう。もしも彼女が誰より大切で、寄り添って生きたいのであれば、身分をお捨てになるのも良いのでは?……まあ、彼女が身分を捨てた貴方と一緒にいるかは分かりませんが」
プ、と隣でレナトが噴き出す。
思い返せば、カリンは強かな女性だった。
幾人もの男に、ドレスや宝石を貢がせていたのだから。
彼女は、更に上を望んだ。
王妃という、身の丈に合わない身分を。
「……何を言う。この王国の王子は私一人なのだから……っ」
「今のところは、ですレクサス王子殿下」
冷たく言って見据えると、レクサスは気圧された様に椅子に座った。
玉座を得られる王族は一人ではない。
王族の血を継ぐ者は更に。
強硬策を取れない事も無いのだ。
今はまだ、誰もそれをしないだけで。
「何か変わったな、ユーグ君。つまんないなぁ」
ニヤニヤと隣の席のレナトが揶揄ってくる。
チラ、と睨めば、屈託なく笑った。
「お前は何で此処にいるんだ」
「え?生徒会の書記だから?」
頭の後ろで手を組んで笑うその椅子を、ユーグレアスが軽く蹴る。
「そういう事じゃないと、分かってるだろ」
「楽しいからだよ。シアに言わせれば俺は「怠惰な天才」だから、いらないんだってさ。事態を引っ掻き回されたくないんだと。まあ、一理どころか千理くらいあるよな。だから、いざとなったら俺が何とかするよーにと言われてるんだ。その代わり好きなだけ馬鹿の観察してていいって」
馬鹿、と言う割に悪意があるわけでもない。
ただ純粋に面白がっている眼だ。
「嫌な奴だな」
「そりゃどーも」
書類を片付けながら、ユーグレアスはこれからの事を考えた。
何もレクサスだけではない。
レクサスの周囲に置かれた側近達は、総じて評価を落としている。
この先、ユーグレアスにすら結婚したいと申し出る家門も令嬢もいないだろう。
誰にも見向きもされなくなって、漸く思い出す。
唯一、愛を捧げてくれた彼女の面影を。
ユーグレアスはレナトが言うように、現実に気づいてしまって、まともになってしまったので、ここで終了です。やっと、最後の最後にアイリーンを思い出すのも糞といえば糞ですが、多分この先ずっと思い出すのはサーシャではなくアイリーンですね。で、一生独身を貫いて、宰相として辣腕を振るうようになります(多分)
カリンは試金石に使われた訳ですが、後ろ盾が無力で愚か、本人も無能なので脅威とならないと判断して放置されていて、禍根となりそうな人々は……。
よく公爵令嬢だから一言いえば、周りが片付けてくれるなんて話はありますが、そんな魔法はない世界なので、兄妹全員独自に人脈駆使してます。レナトはグレイシアの手駒なのに、グレイシアに嫌われてますね!
レクサスとカリンの行く末は決まっているのですが、もう少し二人は続きます。
次は今回チラッと出て来たアリシアのお話になります~!