表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】偽りの告白  作者: カムナ リオ
1st round
1/50

第1話「告白ドッキリ-その1」

挿絵(By みてみん)


7月4日(金)


「……突然、ごめん。オレ、ずっと、如月の事が……」


 同じクラスの如月を前に、オレは今、人生初の告白をしようとしている……どうしてこんな事になってしまったのか?


 きっかけは昨日の出来事に遡る――


***


7月3日(木)


「うげっ!」

「ハハ! はい、斗哉(とおや)の負け!」

「じゃ、罰ゲームな! このカード二枚捲って!」

「クッソ!」


 斗哉は舌打ちしながら、渋々カードを捲る。


「……何だよこれ⁉︎ 誰だよ、こんなの書いた奴‼︎」


「どーれ? 何々? 一枚目が『クラスの女子に告白する』で、二枚目が『キスをする』……うわっ、これ書いたの将暉(まさき)だろ?」


「すげーピッタリなのが、揃ったじゃん? 俺に感謝しろよ!」


「ふざけんな!」


「おいおい、勝ち逃げすんのかよ? 今まで負けた俺らを散々コキ使ってただろ⁉︎ 逃げるなんて許さねーぞ! ……斗哉、クラスに好きな奴とかいねーの?」


「そんなんいねーよ! みんなガキじゃん!」


「お前が言うなよ。ウケるわ! じゃあさ、誰に告るかクジで、決めようぜ」


 カードの内容を書いた将暉は、意気揚々と紙にアミダ線を書き、適当にクラスの女子の出席番号を書いていく。


「ほら、選べよ、早く!」

「ううう、クッソ!」


 斗哉は、乱暴かつ適当にある線の頭に丸を付けた。


 友人らが可笑そうに、その丸から線をなぞって行く。斗哉はあーあと、面白くなさそうに頭を掻いた。


――その線の先には


『23』と書いてあった。


「23番って誰だ?」

「えーと……如月だな」

「……如月? 如月ってどんな奴だっけ?」


 斗哉は「如月」を思い浮かべようとしたが、全くピンと来なかった。


「あの、眼鏡掛けた、癖毛の……地味で暗そうな奴だよな?」

「あー、あいつか……空気過ぎて、話した事もねーわ」

「男に免疫なさそーだから、告ったら、めっちゃ慌てそう! 想像しただけで、ウケるわ!」

「コロッと騙されそう! そのままやらせてくれるかもよ?」


「やだよ。あんなのとしたくねーし!」

「おいコラ、逃げんのか! フリでいいんだって。何も本当に付き合えって言ってないだろ? 俺らを楽しませろよ!」

「無理やりキスしようとして、ぶん殴られる斗哉が見られるかもしれないのは、楽しみだな」


「それじゃ一瞬で、終わってつまらねーよ! ……こーゆーのはどうよ?」


 次々と浮かんでくる友人らの悪巧みを、斗哉は他人事の様に横で聞いていた。


 敗者には何も主張する権利はないのだ。それに、如月がどんな反応を見せて笑わせてくれるのか、面白そうだとも思っていた。



***


 そして、その友人らのとの悪巧みの次の日、体育館裏で「告白ドッキリ」が決行される事になった。


 如月は唖然と斗哉を見ていた。まさにそれは、豆鉄砲を喰らったような顔だった。


「……え?」

「いや、だから、オレ、如月の事が好きなんだ」


 自慢じゃないが、自分から告白した事はないが、相手から告白された事は何度かある。

 自分も告白された時、こんな間抜けな顔をしていたのかと思うと、正直笑える。


 如月は俯いて、モジモジしながら呟いた。


「……や、八神君と話した事、ないよね? わ、私なんかの、何処が好きなの?」


 想定内の返しだった。後一押しすれば、簡単に落ちるなと斗哉は思った。


「可愛いところ」


 ニコッと、営業スマイルで答えてやった。どこかで覗き見してる、友人らが笑いを堪える姿が想像できる。


「え⁉︎ ……あ、あの、でも、私、八神君の事よく知らないし……えっと……」


 告白ドッキリを仕掛ける前に、もうワンアクション何か起こしてからの方が、説得力があったなと思ったが、そこも想定内だった。


「それじゃあさ、とりあえずオレの事をよく知ってもらう為に、二人でどこか出かけない?」


「え⁉︎」


 如月は面白いくらいに動揺して、口をパクパクさせている。もうここで、ネタバラシをしても充分な面白さだか、もう一枚のカードを切られた時の慌てようも、見てみたいと斗哉は思った。想像しただけで、笑いが込み上げてくる。


「来週、隣町でお祭りあるの知ってる? 一緒に行かない?」


 これは友人らが持ってきた情報だ。これも計画のうちだった。


「えっと……」


 モジモジしながら、如月は俯いたままだ。内向的で、ハッキリ物事を決められない性格なのだろう。面倒臭い奴だ。仕方ない、もう一押し……


「……ダメ?」


 こう言う時は下手(したて)に出た方が良いのだ。甘えるように接すると、女子は母性本能をくすぐられ、断れなくなる。

 如月は真っ赤になった顔を控えめに上げて、斗哉を見つめては、すぐに目を逸らした。


「……わ、分かった。……いいよ」


 ほらね。楽勝だわ。

 

 斗哉はニヤリと薄く微笑んだ。



つづく

新シリーズ開始しました!今回は初の中学生ものです。

思春期真っ只中の痛々しさ全開で行く覚悟です( ´∀`)

かつて中学生だった方も、今中学生の方も、これから中学生になる方も、ニヤニヤして読んでくださると作者冥利に尽きます。


「面白かった!」「続きが気になる、読みたい!」「今後どうなるの⁉︎」

と思ったら、下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。

面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろんかまいません。

ブックマークもいただけると本当に嬉しいです。

何卒よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ