夜の上で
日が沈んで夜になった。
ぼくのずーんと重たくなった頭脳は、身体を引き連れてベッドの上にもさ…と落ちた。
ちいさい、肌色の錠剤をのむと
さらさらのベッドカバーと綿フトンのカバーがぼくの皮膚に絡みついて、一体化する。
つきまとうな。
ぼくの体温をズルズルと吸いとって、不快な湿っぽい熱を持った布団。ぼくの脚はそれをベッドの隅っこに投げ捨てる。
でも、それでもやっぱり素肌が外気に晒されたまま眠るのは嫌だ。理由はない。ただ不安なんだ。
己と外界との間にある緩衝材を求めているんだ
そのふたつの気持ちがぼくの脳の中で渦巻いてぐちゃみそになって頭から噴き出した。
ぎぎ、と奥歯が鳴って、肺が、固まっていた肺が、穴を開けたように空気を漏らすんだ。それがぼくのちいさな爆発で
それは本当に耐え難い苦難、 苦悶、苦艱、懊悩、ちいさい紛争が起きていて、ぼくの脳は焼野原になって、それでようやく眠れるんだ。全身の筋肉がばちんと撃たれて、不快と調和する。
脳を焼かれないと生き辛い、生きていけないけど、ぼくは脳を焼かれるのは本当は本当は嫌なんだよ。