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第2話 もしかして……デート?

 本日2話目!

 俺が踏み込んではいけない性域に踏み込んでしまう二ヶ月前。


『響夜くん、あの呟き見ましたか?』

『見たよ! 楽しみだね!』


 俺はとある海外の四人組女性アイドルグループにはまっていて、日常の呟きをするSNSで彼女らの呟きを見るのが日課となっていた。そこで、同じ趣味を持つ美亜と出会ったのだ。同い年だというのに美亜は敬語を使い、すごい礼儀正しい。

 

 俺らが今話しているのは、ついさっき発表された二ヶ月後に行われる彼女らのイベントについて。俺たちはDM(ダイレクトメッセージ)で興奮気味に話していた。


『抽選通るといいな!』

『私もさっき応募してきました。ほんと見に行きたいです』

『高校生だけなんて「ラ・プルェーブ」はやっぱりすごいことしてくれるよな』

『ほんとですね!』


 美亜の興奮しているメッセージを見ながら、俺も抽選に受かるよう必死で祈っていた。

 

 ラ・プルェーブは特別な企画をよくする。メンズデーと称して男性のみのライブを開いたり、その逆も然り。女性アイドルグループでありながら男女どちらもから絶大な人気を誇るために、ニーズに合わせた独自の企画を行っていた。

 

 それが今回は「高校生のみ」のライブだった。なかなかライブの抽選に当たりにくく、金銭的にもライブに参加するのが難しい高校生のためにいつもよりも価格を安くした上で、高校生限定にライブをするというのだ。興奮しないわけがない!


『きっと美亜さんと参加できたら楽しいだろうなぁ』

『え……?』


 俺は何となく送った自分のメッセージに赤面する。これじゃあナンパみたいじゃんか!

 

 俺たちの関係はネット友達でしかない。顔も見たこともない、なんならあくまでアカウントの名前であって本名すらも知らない相手と会うなんて女の子からしたら無理に決まってるだろう。何やってるんだ自分!

 俺は慌てて言い繕う。


『じょ、冗談だよ! ごめんね、困らせて』

『あ、いえ、困ってはないのですが……。せっかくですし一緒に参加しますか?』

『えっ?』


 思わぬ反応に俺は固まった。え、俺は今夢でも見ているのか? 


「痛っ」


 思わず自分の頬をつねるが、ちゃんと痛い。夢ではなさそうだ。


「あ、既読つけちゃってるし早く返さないと」


 だが、なかなか頭の中がまとまらない。俺は明らかにテンパっていた。

 やっとの事で返した文章はとても滑稽だったが、俺が今返せる最善の返信だったと胸を張って言える。

 ……いや、どこで胸張ってるんだ、俺。


『え、えっと、冗談、だよね?』

『冗談じゃないですよ……? お互い抽選が当たったら一緒に行きますか?』


 あ、そっか、抽選当たらなきゃだもんな……どっちも当たる確率なんてかなり低いんだし社交辞令か。

 俺はそう考えると落ち着いた。

 ……残念なんて決して思ってないからなっ!


『そうだね。もし美亜さんがいいなら一緒に参加したいな』

『私もです』


 淡白な返信。やっぱり社交辞令だったんだな、と思ってスマホを置いた。

 その一ヶ月後。


『響夜くん! 私、抽選当たりました!』

『俺も当たった!』


 俺たちはまさかの二人揃って抽選に当たった。今まで一回も当たったことがなく、初めてライブに行けることに興奮していた。


『これで一緒に行けますね!』

『うん!』


 ……えっ?

 俺は、メッセージを凝視する。ごく当たり前のことのように返事をしたが、あれ、俺は何か間違えた……?


『って、え!? 本当に一緒に行くの!?』

『行かないのですか?』


 社交辞令じゃなかったのか!? 思わぬ事態に固まる。そもそも女の子がこんな何処の馬の骨ともわからないやつとライブに行くなんてあっていいのか、いや、いい訳ない!


『お、俺としては嬉しいけど、本当に美亜さんは大丈夫なの?』

『大丈夫ですよ。それとも誘ってくれたのは嘘だったのですか?』


 泣いているクマのスタンプが送られてくる。


「ぐはっ」


 あまりの殺傷能力の高さに思わず血を吐きそうになる。

 ここまで言われて断れる男子などるわけない、むしろ大歓迎に決まってる!


『嘘じゃないよ! 一緒に行こう!』

『よかったです! 楽しみにしてますね♪』


 可愛すぎだろ……。


「これってもしかして、デート、なのか……?」


 俺はメッセージを呆然と眺める。年齢=彼女いない歴の俺には全く想像もつかなかった展開だ。

 しかし、女の子とライブに行けるなど幸運以外の何物でもないだろう。


「よしっ、もう考えても仕方ない! こうなった以上全力で楽しむしかないよな!」


 俺は一ヶ月後のライブ(デート?)に思いを馳せたのだった。



 そして今。


「ブラ、見えてるよ?」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」


 めちゃ真面目そうだった女の子はエロい美少女で、俺は踏み込んではいけない性域に踏み込んでしまったようだ。




 

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