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イーター (Eater)  作者: ヨル
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第8話 『捕食者』

リゼットは、下の階層へ行く前に食糧庫へ向かった。

「食事」で魔力を回復するためだ。


リゼットの体は、流れる魔力の量が減り、限界が近づいていた。


「まずい…眠気が出始めた。」


さっきは急を要する局面であったため、とっさに継続スキル『擬態』を使って少ない魔力消費でその場を凌いだ。


もしあの時、攻撃スキルで戦えば、確実に魔力切れを起こし休眠状態に入ってる間に、止めを刺されたことだろう。


「早く何か『食べなくちゃ・・・』」


いまの彼女の場合、王宮中に転がっている「肉」さえあれば、いつでも魔力回復はできるのだが・・・そうはしなかった。


過去に禁じ手として、スキルの管理人から警告をされたからだ。

「もし人の肉を喰らい、それを吸収すれば、お前は人間ではいられなくなる」と。


リゼットは、自身が他の人間とは少し異なることには気がついていた。


彼女は、勢いよく空を舞う鷲がスローで飛んでいるかのように認識できたり、遠くの山にいる獣の息遣いを音として認識できた。


おそらく、五感が他の人に比べて少し良いのだろう。

彼女は、その程度に思っていた。


彼女のスキルは、特殊なものだった。

スキル名は、『捕食者』(イーター)

ランク(階級)は、N(ノーマル)

スキル効果は、何でも「捕食」可能だった。


ドラキュラのように対象に直接口で噛み付いて喰らうという訳ではなく、スキル発動により体の一部を変化させ喰らうことができた。


それは、巨大なドラゴンの顎門のような形状となり、対象を喰らうことができる。


しかし、スキルを発動し物体を捕食をしたたところで、回復する魔力より消費する魔力の方が大きかった。


【スキルの制約】に定められている通りだったのだ。


スキルの〔本当の力〕を手に入れる前までは…


リゼットは、自身のスキルに気付いた12歳の頃に、兎や鹿などの野生動物や様々な種類の植物・鉱石や岩石などの鉱物、焚き火の炎や氷で出来た壁など、身近にあるありとあらゆるものを『捕食』してスキルを試していた。


しかし、その結果が変わることはなかった。


捕食したからといって、空腹が満たされる訳でもなく、何か特別なことができる訳でもない。


ただ1つわかったのは、炎・氷など属性や毒などの状態異常を起こすような現象を「捕食」しても一切ダメージは受けないということだった。


「強靭な胃袋を手に入れた」


10年前、自分のスキルを初めて知った当初は、まだその程度の認識だった。


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