第1話 黒いドレスの謎の女
ご覧いただきありがとうございます。
伏線がところどころあります。
この物語を、最終章まで付き合っていただければ幸いです。
「もうこれでおしまい?誰か骨のある奴は居ないの?」
城の王座の前、骸になった兵達の中心で女は国王へ向かって言った。
そして、言葉を続ける…
「国王の城なら強者がいると思って、わざわざ来たのだが…こんな雑魚どもとはな。」
国王が青ざめて震えながら言う。
「バカな…うちの兵達は精鋭揃い…なのに王室の30人の精鋭を一瞬で…」
真っ黒なドレスを身に纏った女は長い髪を弄りながら言った。
「見えなかった…か?なら、冥土の土産に最後くらいはゆっくりやってやるよ。」
「………!」
国王は気づいた。
自分はいまから殺されるのだと…
その刹那、ドアが何者かに蹴破られた。
「待て!まだ…私がいる。国王には手を…出すな!!」
全身血塗れで満身創痍の男が言った。
だが、様子がおかしい。
息は切らしているが、血塗れの割にドアを蹴破るほどの力が有り余っている。
「あぁ、そうだった。不要だったから【取らなかった】んだ…お主、少しは骨のあるようだな。敬意を表そう。お前の名前は?」
「国王親衛隊の1番隊隊長、アルフレッドだ」
「隊長か…そうか。ならば礼儀だ、私の名は……」
こうして、王国がまた1つ陥落した。
たった1人の女によって…
女は城を去りながら言った。
「強者はどこにいるのだろうか?」
そして、また夜道へ消えていった。
彼女の名を知るものは、この世界には1人も居ない。
なぜなら…名を聞いた者は、誰ひとりとしてこの世へは居ないのだ。
しかし、後に彼女の名を知る者が現れる。
それは、また数年後の話…
次作をお楽しみに。