第8話 三大騎士
自分の部屋に戻っていると、見たことのない騎士と遭遇した。あんな金髪ポニーテールの騎士いたっけ。しかも男だ。
俺が知らないだけかもだけど。
「……こっちへ来る」
ごつごつとしたアーマーに身を包む騎士は、俺の前に立った。
「キミか。噂の雑兵……」
「えっと……貴方は?」
「私は『ライトニング家』の者でね、皇帝陛下に絶対忠誠を誓う三大騎士のひとりだ」
え……そんな騎士がなぜ俺なんかに声を。
「驚いているね。でも、私は立場どかどうでもいいんだ。キミの努力も聞いている。連日鍛錬に励んでいるようだね。かなり無茶をしているとか」
「勝つためですから」
「なるほど、良い目をしている。そうだな、では、カイルに勝利したら、この私が面倒を見てやろう」
「え……貴方が?」
驚いた。
まさかそんな風に誘われるだなんて。
なにかのドッキリか?
だって、彼はあの三大騎士のひとりだ。
三大騎士と言えば『ライトニング家』、『サンダーボルト家』、『ムジョルニア家』と並ぶ。名くらいなら俺も聞いた事はあった。
どの家も大貴族だって、ラティから聞いた。
「ああ、強くなりたいのならウチがオススメだ。とはいえ、もしも勝利した場合だけど」
これは驚いた。
まさか上位の騎士から目を付けて貰えるとか、この上ない幸せだった。そうか、俺の努力は無駄ではなかったのだ。
けれど、勝利しなければ意味がない。
「分かりました。明日勝てたらお願いします」
「良い返事だ。くれぐれも他の誘いには乗らないでくれよ。これで私の先約だ。いいね」
「はい……約束します」
返事を返すと、ライトニング家の騎士は去った。……あ、そういえば肝心の名前聞いてなかったな。また今度会った時でいいか。
◆
最後にもう一度、廃棄場へ忍び込み、大量の収集品を戴いた。変換作業を夜通し続け…………眠りこけそうになっても、自身を殴って目を覚ました。
そうして、スキルレベルは『5』となり、成功率40%へ達した。どうやら、レベルがひとつ上がる毎に『5%』上昇するようだ。まだまだレベルを上げなきゃだが、今はこれが限界だ。
「とりあえず、レベルは『15』となった」
カイルとのレベル差は『10』あるけど、スキルレベルも優先しちゃったから、これで打ち止め。もう上げられなかった。
「ここまでか……」
また夜明けも見えて来た。
決闘の時間も近い。
俺は顔を洗い、身を整え……最後にもう一度、病室へ向かった。きっと、今日もいるはずだ。万が一もある、最後にルシアの顔を見ておきたい。
病室へ向かった。
「もしかしたら、これが本当に最後かもな」
――いや、弱気になるな俺。
この二日ずっと努力をしてきた。
積み上げて来た。
結果を出す時が来たんだ。