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第62話 永遠の愛

「ルシア、いる?」


 扉をノックして、俺は反応を待つ。

 ドタバタと中から音がして、暫くしてやっと「どうぞ」と反応があったので、俺は中へ入った。



「……い、いらっしゃい、ませ」



 ん? なんだか顔が赤いな。

 ルシアがこんな動揺するとか珍しい。



「どうしたの?」

「いえ、何でも……そ、その……何でもないんです。わたし、別にヘンな事とかしていませんし……」


「ヘン?」


「い、いえ……」



 そう(うつむ)かれると聞き辛いので止めておいた。



 ……あれ。



「ルシア、これって俺のシャツ……」


「……ひゃうっ!!」



「ひゃう!? って、どうしたの本当に……って、まさか……俺のシャツでナニカしていたの? あー…そういう事。ルシアって、えっちな女の子なんだね」



「…………」



 耳まで真っ赤にして、図星らしい。

 この感じだと、また淋しがり屋モード炸裂していたのだろうなあ……。




「ニオイ嗅いでいたの?」

「………………はい」




 あー…やっぱりか。





「嗅いで何してたの?」

「興奮……していました。わたし、男性の……特にレイジさんのニオイが好きで…………」



「そっかぁ……」



「き、嫌いになっちゃイヤですよ!?」



「ふぅーん」



「そ、そんなぁ……うぅ。我慢できなかったんです。ちょうどラティがお洗濯で……そのレイジさんのシャツを洗う所だったので、拝借して…………」



 まさかルシアがそんなに俺を想ってくれていたとはねえ。こっちだって大興奮さ。



「そっかそっかぁ。ルシアは俺のニオイが好きなんだなあ」

「し、仕方ないじゃないですか。よく抱き合うし……そのぉ、好きになっちゃったんですから……」



 そんな素直に言われると、俺も嬉しかった。

 だったら、ルシアと楽しもう。



 ルシアの横に座り、そのままベッドへ。



「……ルシア」

「……レイジさん」



 時間を忘れてイチャイチャしまくった。



 ・

 ・

 ・



「そういえば、リジェクトは完全に壊滅したみたいですね」



 ベッドの上で一緒に仰向けになっていれば、ルシアが今回の騒動の事を話し始めた。



「そうらしいな。一日で地下都市は封鎖され、入れないように埋められたらしい。リジェクト事件は解決となり、地下であった騒動は表には出ていない。ただ解決とだけ発表された。でも、本当に解決したし、平和が戻った。

 これでもう脅威は存在しない。トライデントも終わったし……俺は結局、何も出来なかったけど」



「いいえ、レイジさんは皆に認められていますよ。皆さんが認めなくても、わたしが認めます。レイジさんは凄い人なんです」



 頬にキスされ、俺はドキッとした。



「ありがとう、ルシア。これから『皇剣』になるべく、皇帝陛下の打倒も目指していこうかなぁ」

「それなら手伝いますよ。多分、みんなもついて来てくれると思います」



「大変だと思うけど、いいのか」

「ええ、どこまでも付いて行きます」



 ――そういえば、もうひとつ聞いていなかった。サラの言っていた『呪い』の事だ。なんだかモヤモヤするので聞いておく。



「ところでさ、ルシアは何か呪いに掛かっているの?」

「? いいえ、なにも……」


「へ」


「もしかして、サラさんに言われました? 多分それ、冗談です。昔から人を揶揄(からか)うのに『呪い』とか言いふらしていたんです。だって、わたしは枢機卿(カーディナル)ですから、呪い耐性は100%なんです」



「なんだってー…」



 多分、俺を奮い立たせるための妄言だったんだろうな。ちくしょー! やっとスッキリしたところで、俺はルシアとまた抱き合って――夜を迎えた。



 ◆



「自分はまた露店に行く」

「おう、頼んだよ、ブレア。この調子なら家も建てられそうだし、もし家が出来たら、皆を家へ招こうと思う」


「うん、その時は自分も誘ってくれると嬉しいでな」



 手を振って別れた。

 俺はライトニング家へ。



「主様」

「よう、ラティ」



「その、主様……わたくしは勿論、主様のメイドとして仕えていくつもりです。だから……捨てないで下さいね」



「捨てるわけないだろう。ラティは可愛いメイドだよ」

「……はい、主様」



 頭を撫でてあげた。

 ラティは嬉しそうにして、満足気に仕事へ戻った。そっか、ラティもたまに淋しくなるよな。たまには構ってあげないとなぁ。




 エドウィンの部屋に呼ばれたので、俺は向かった。途中、カールさんともすれ違い、挨拶を交わした。



「入るぞ、エドウィン」

「ああ、待っていたよ」



 中へ入ると、紳士服に身を包むエドウィンの姿があった。まるでこれからパーティか何かに参加するかのような風貌だ。



「なんだ、誰か結婚でもするのか?」


「リジェクト壊滅記念というかね、祝賀会さ。帝国アイギスの平和が戻ったんだからと、物好きな皇帝陛下の要請でね」



「こ、皇帝陛下の? マジかよ」



「ああ、これが本当でね。だから、貴族だけ招待されたのだよ。レイジくん、君たちは残念ながら……」



「いや、構わないさ。俺はそういう堅苦しいのは苦手でね。鍛錬している方が性にあってるのさ」



 一応、それでもと誘われたけど断った。皇帝陛下はこれから、俺の敵になるかもしれないからな。……いや、なるんだ。確実に。




「ふむ、君は相変わらずトレーニング好きなんだね。レベル99になったというのに、まだ努力を続けるのかい?」


「レベル99になったからだよ。レベル的にはこれ以上、鍛えようがない。でも、肉体は鍛えられる。その差は大きく出ると思うからさ」



 そうだね、とエドウィンは苦笑した。



「レイジ、まだしばらくライトニング家にはいるのかい」

「もうちょいお世話になると思う。迷惑を掛ける」



「構わないさ。ずっと居てくれてもいいんだけど、自分の家を持ちたいんだよね」


「ああ、俺は皆と一緒に住もうと思う。大切な仲間と一緒に」



「それがいいだろう。君の望むままの道を進むがいい。私は応援しているよ。困った時は三大騎士を頼るといい。我々、三大騎士は皇帝陛下に忠誠を誓っているが、君には尊敬の念を抱いている。つまり、この天秤がバランスを崩す場合があるかもしれない――というワケだ」



「エドウィン……ありがとう」




 ◆




 ――月が綺麗だ。三日月だ。



 屋敷の中央にあるバルコニーで月を見上げていれば、ルシアが背後から抱きついてきた。分かる。この重みや感触、匂い。




「ルシア、俺を探してくれたんだね」

「はい、何処に居ても探します」




 ルシアはずっと俺を追ってくれていた。

 俺もルシアを追い続ける。



 見つめ合っていれば、ルシアは大胆にも抱きついてきて――まるで子供のように頭を埋めてきた。




「本当に寂しがり屋さんだな、ルシアは……」

「はい、わたしはレイジさんがいないと淋しくて死んじゃうんです……。だから、その……」




 満天の星空がある。



 三日月が祝福している。




 月明かりが俺とルシアを照らし、これからの未来を祈っている。




「愛してる、ルシア」




 俺は、ルシアの唇に重ね合わせ――永遠の愛を誓った。






 ◆◇◆◇◆




 ――――帝国アイギスの皇帝となった俺は、ルシアを妃に迎えた。今や『皇剣』となった俺は、子供にも恵まれ、大切な仲間と共に、幸せな毎日を送っている。




 Fin

これにて【完結】です。

ここまで応援戴き、本当にありがとうございました。ブクマ・評価・感想がモチベーションとなり、大変嬉しかったです!


今後、クオリティアップの為、改稿は行います。番外編の追加はするかもです! ブックマークや評価を戴ければ確実になると思います。


ここまで本当にありがとうございました!



次回作も追って戴けると幸いです。

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