第56話 経験値操作・レベル99
ドロップアイテムは『堕天使の羽根』、『レッドスカルン』、『暗黒結晶』が各1000個ある。これだけあれば、12個使用で50個くらいは経験値クリスタルが製造できるはず。
これでついに、俺自身の経験値テーブルを操りレベル99に出来るだろう。しかも、他人の経験値テーブルだって操れるはず。
――となれば、ルシア、ラティ、ブレア、パルのレベルだって簡単にマックスに出来ちゃう。
「てか……」
今回手伝ってくれたサラやアモルさん、アンティさん、それどころかエドウィンも余裕で操作できる。きっと、サンダーボルト家も望んでいるだろう。
リジェクトを倒せるのなら――惜しくはない。
「よし、さっそく自分自身に使ってみよう……」
ゴクリと息を飲んで、クリスタルを手にする。このひとつひとつが3000以上の経験値を持つ。普通に使うよりも、経験値テーブル操作する方が何百倍も手っ取り早い。
「いくぞ……」
スキルを発動する。
頼む、成功してくれ……!
ピカッと体が光る。
不可思議なオーラに包まれた。
そして、光は消えた。
「これで……一気にレベルアップできるのか?」
試しに、一個のクリスタルを使用してみる。
すると――――
レベル90 → レベル99
と、なった。
「へ……経験値テーブル、マジでALL1かよ!?」
ヤバすぎて変な汗が出た。
通常ならば億単位の経験値が必要なのに、一瞬で……こんな呆気なく。これはスゲェ……あんな苦労していたレベリングがこんな簡単に……。
俺はついに最強となった。
この感動をルシア達とも分かち合いたいと思った俺は、みんなを招集した。
「「「「え!?」」」」
ルシアも、サラも、アモルさんも、アンティさんも驚愕していた。
「――というか、レイジくん……オーラに変化ありすぎ」
ポカンとするサラ。彼女曰く、99のカンストになると、人間のオーラに変化があるらしい。つまり、99になった者の証なんだとか。
普通の人間には見えないけど、基本的に赤いオーラが纏うようだ。
「マ、マジかよ。本当にレベル99か。それが本当ならリジェクトも余裕で壊滅できるぞ……!」
テンションを上げるアンティさん。
「ああ、みんなにさっそく99になってもらう。サラ、いいんだよな?」
「そうとも。その為にレイジと手を組んだのだからな。君の功績は後世に語り継がれるだろう。歴史に名を残すだろうね」
「俺が? それは嬉しいな」
――というわけで、俺は皆に『経験値テーブル操作』を施した。この場にいる全員の経験値テーブルがALL1となった。
それから、経験値クリスタルを配り、使用してもらった。
サラ Lv.85 → Lv.99
アモル Lv.69 → Lv.99
アンティフォナリウム Lv.67 → Lv.99
ルシア Lv.51 → Lv.99
あっという間にレベルをカンスト完了させた。
「わぁ……」
驚きを隠せないルシアさん。
「これは凄い……」
サラも瞬きを繰り返す。
「本当に99になっちゃった……」
アモルさんも飛び跳ねて喜ぶ。
「すげぇ力だ……」
闘志を沸かせるランティさん。
みんな見違えるように強くなった……!
「全員に赤いオーラを確認できているよ。成功だ」
サラが満足した顔で俺たちの前に立つ。
「レイジ、よくぞやってくれた。君を見直した。知っているとは思うが、君はかつて『ハークネス家』の騎士の息子だった。だが、君の義祖父がリジェクトを創設し、暴走した。その結果が――。
だが、レイジ・ハークネス、君は誰とも違う力を持つ。努力し、ここまで成長し、上り詰めた。誇っていい」
「ありがとう、サラ。俺なんだか自信がついたよ。ムジョルニア家に来て本当に良かった」
本当の気持ちを伝えると、サラは初めて顔を赤くして、乙女のように恥じらっていた。……嘘だろ!? しかも、可愛いじゃないか……。
「……レイジ、その、もう少しムジョルニア家にいるがいい。いろいろと持て成すので……」
「嬉しいよ。でも、一度、ライトニング家へ戻りたいな。みんな心配しているだろうし」
「そうか。分かった。でも、直ぐに戻って来るのだぞ」
「約束する」
――それから、俺とルシアは、ムジョルニア家を後にした。みんな良い人たちばかりだった。三大騎士って、良い人ばかりなのかな。