表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/63

第47話 ハークネス

 シグルズの話はこうだった――。



「リジェクトは、君……レイジの父親が――」


「待って下さい、親父が!?」


「落ち着け、レイジ」



 エドウィンに(なだ)められ、俺は着席する。



「レイジ、君の父親であるアルギレウス・ハークネスの義父……つまり、君の義祖父に当たる人物がリジェクトの創設者だ」




「お、親父の義父が……」




「彼の名は、ソルバルト・T・ハークネス。

 ハークネス家はかつて、三大騎士の一員だった。君の父親も活躍していたわけだ――だが、リジェクトを創設したソルバルトは、まずは皇帝の座まで上りつめる寸前だったアルギレウスを暗殺、次に妻も惨殺された。そしてリジェクトは現在、君を殺すために躍起になっている」




「――――――」




 そんな……親父も母さんも……!



 爺さんに殺されたっていうのかよ……。



「今の御三家がレイジくんに関心があるのは、過去の事もあったからだ。つまり、敵か味方か見極めていたんだね。それが期待以上の活躍を見せてくれた。

 ルシア様だ。ルシア様が全てを変えたと言っても過言ではない」



 ――耳がキーンとなる。

 ――意識が遠のく。



 俺は、俺は……。



「……レイジさん、わたしがいますから」



 ルシアに手を握られ、俺はハッとなった。



「……ルシア」

「シグルズさん、レイジさんが辛そうです」


「……そうか、一度休憩にするかい」



 選択を委ねられ、俺は答えた。



「続けて下さい……」




「分かった。さっきも言ったが、君の両親は殺されたのだ。その理由はただひとつ――絶対的な力となる『皇剣』だ。皇帝を倒すと得られる称号なんだよ。

 現在の皇帝も、前の皇帝を倒して今の地位にいる。だから、皇帝は必然的に最強の力を持っているというわけだ」



「でも、どうして……親父を」



「詳しくは分からないが、息子に皇帝になられては困る事があったんじゃないかな。義理とはいえ、惨い顛末だよ」



 詳しい事は本人に聞くしかないって事か。



「……分かった。話してくれてありがとう、シグルズさん。おかげで俺は親父の遺志を継げそうだ。俺はリジェクトを壊滅させて『皇剣』になる」



「いや、こちらこそ騙すような真似をしてすまなかったな。私としては、是非とも共にリジェクトを打倒したいと考えている。つまり、我々は協力関係になれると思うのだが」



 悪い話はでない。

 前回は親父が暗殺されているんだ、味方は多い方がいい。今後、ルシアにも危険が及ぶかもしれないし……そうだな。



「よろしくお願いします」

「良い返答だ。エドウィン、そちらの御三家も動き始めるのだな」



「そうだ。我々、ライトニング家、サンダーボルト家、ムジョルニア家もリジェクトを叩き潰す為に狩りを始める。奴らはやりすぎた……我がメイド達にも被害が及んだからな」


 ギリッと歯ぎしりするエドウィンは、怒りに満ち満ちていた。そうだな、以前にノンがやられた。詳しく聞けば、他のメイドも喰われたり被害があったとか。



「傭兵が必要ならいつでも言ってくれ。……そうそう、レイジ、話の後ですまないが、ひとつだけ頼みがある」


「なんです?」


「経験値クリスタルを我々にも提供してはくれないだろうか。傭兵のメンバーは数百人といるのだが、レベリングを行っている暇のない者もいてね。時間が惜しい……そこで、部下の強化を図りたいのだよ。もちろん、報酬は如何様にも支払おう」



 マジかよ。ここに来て商談か。

 悪い話じゃない、金はあればあるだけいい。



「了承です。ただ、製造に時間が必要なので……そうですね、三日後とかどうです?」


「では、三日後で。こちらも相応の報酬を用意しておく。話は以上だが、他に聞きたいことはあるかな」



 俺は首を横に振った。

 もう驚くほどに情報を得た。


 気持ちの整理もしたい……。



「帰ろう、レイジ、ルシア様」



 エドウィンに肩に手を置かれ、俺は少し安心した。けれど、いつの間にか脱力して思うように足が動かなかった。でも、ルシアが手を握って引っ張ってくれた。



「……ルシア」



 そうだな、帰ろう。



「リートゥス。皆様のお帰りだ、頼んだぞ」

「承りました」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ