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第35話 最新式防具

「レイジさんの装備を整えに行きましょうか」



 まさかの提案だった。

 てっきり、どこかへのんびり歩き回ったり、甘いモノでも食べるのかと思ったのだけど意外だった。



「いいのかい?」

「ええ、いいんです。一緒にいるから楽しんですよ~。レイジさんとなら、どこにだって付いていきます」


「嬉しいなあ。俺、ちょうど服とか防具を買おうと思っていたからさ。ルシアは、俺の心が読めるのかな」

「いいえ。でも、レイジさんの事は誰よりも理解してるつもりですし、もっともっと知りたいんです。ですから、わたしの事も知って下さいね」



 見つめ合っていると、すぐに野次馬が……まったく。落ち着いていられないな。ルシアの手を引いて、俺は良さげなアイテムショップへ向かった。



 ◆



 武具店に入ると、ドワーフでブラックスミスのおっさんが「っしゃせ~」と出迎えてくれた。



 お店は清潔感に溢れ、ピカピカしていた。

 どうやら、あのドワーフさんは見た目に反して綺麗好きらしい。



「お客さん、見ない顔だね。……って、そっちの銀髪はルシア様じゃないですか。こりゃ珍しい。という事は、そっちの少年はレイジくんか」


「おじさん、俺を知ってるの?」


「ああ、ルシア様を連れた雑兵の噂は国中を駆け巡っている。まあ、俺はブレアから聞いたんだがね」



 どうやら俺はまだ雑兵扱いらしい。一応、傭兵なんだが……って、ブレアかよ。あのロリっ子め、余計な事を。



「じゃあ、おじさん。防具が欲しいんだけど、何かオススメある?」

「ん~、そうだね。雑兵であろうと兵は兵だし、俺はお客さんを蔑ろにはしない性質(タチ)でね。――うん、キミの未来に投資してみようじゃないか」



 ニヤっと笑うドワーフのおじさんは、店の奥へ。なんだろう?



「良い人ですね」

「そうだな、親しみやすいし」



 しばらくルシアと雑談していると、おじさんはいくつか防具を持って来た。そんなに?



「これ全部、最新の軽量型アンガーグリーブとアンガーガントレット、アンガーアーマーさ」




 グリーブは黒と金のデザインで洗練されている。カッコいい。ガントレットも同様だ。アーマーは面積はそれほどなく、身に着けても邪魔にならない程度。



「すっごいカッコいいけど、性能は?」

「最新式という事もあってだな、これは感情の『怒り』で力をブーストする能力がある。しかも、世界唯一の防具でこれ単品しか販売していない。まあ、俺の最高傑作なんだけどな」



 豪快に笑うドワーフのおじさん。

 この人のオリジナル防具か。そりゃいい。



「おじさん、高く買うよ。いくら?」

「言ったろう、これは未来の投資だって。タダ(・・)だ」


「へ」



「タダでいいよ。その代わり壊れるまでで良いから、ずっとこの防具を使い続けてくれ。ま、つまりだ……スポンサーになるって事よ」


「ス、スポンサーか」



「そ。だから身に着けてくれさえすれば、ウチは勝手に宣伝されて儲かるわけさ。まさにウィンウィンな関係ってヤツよ。別に悪い話じゃないだろう?」



 確かに。タダで最新の防具を使えるとか、そりゃ最高だな。別にこっちへデメリットもないし、いいだろう。



「その話、受けます」

「おお、そうかい! じゃあ、これオマケだ」



 こそこそっと渡されるオマケ。

 なんでそんな小声なのかと思えば――。



「これって、ピアスか。しかもイヤーカフ」

「そうだ。ルシア様にプレゼントするといい。これはね、魔力を底上げする効果を持つぞ。もちろん最新式だ」



 そういう事か。

 でも、ありがたく頂戴した。




 お店を出て、俺は直ぐにルシアにイヤーカフをプレゼントした。



「はい、ルシア」

「あの……これ」


「俺からのプレゼント。受け取ってくれるかい」



 ルシアは、じゅわっと涙を目尻に溜めた。



「ちょ、ルシア!?」

「う、嬉しくて……レイジさんからの初めてのプレゼント……嬉しい! 大事にしますね!」



「おう。それイヤーカフだから、耳に穴開けなくてもいいらしいぞ。そのまま取り付けられる。効果は魔力増強らしい。他にもあるって言ってたけど、詳しくは見ていない」


「ありがとうございます♪」



 さっそく両耳にピアスを付けたルシアは、その可愛さも増強した。……こ、これは、ちょっと、いやだいぶ大人っぽい。



「……似合ってるよ。可愛い、うん、可愛い」



 大事な事なので二回言った。

 するとルシアは正面から抱きついてきて、離れなくなった。……そんな喜ばれるとは、元を辿れば、おっちゃんナイス!




「……おっほん。お取込み中のところ大変申し訳ないのだけど、そこのレイジさん、よろしいかな」




 抱き合っていると、俺の名を呼ぶ誰かが現れた。誰だ、この人。初対面だな。



「私は傭兵団・バルムンクの使いの者です。リーダー・シグルズ様がレイジ様、貴方にお会いしたいと」



 こんな所に傭兵団が。

 そっか、あれから顔を出していなかったし、向こうからやって来たってワケか。

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