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第18話 反抗組織・リジェクト

「……あぶねっ」

「チッ、外したか」


 分隊長・ユピテルから奇襲を受け、俺は危うく右腕を斬り落とされるところだった。



「あんた……!」


 (にら)むとユピテルは深い溜息をついた。



「……ハークネス家の息子。お前等一族はいつも面倒事を持ち込む」

「俺を知っているのか」


「フン、知ってるさ。お前の親父はどうしようもないクズだった! それだけの話だ」



 剣が凄まじい勢いで迫ってくる。

 分隊長は本気だ。



 俺は回避し、距離を取った。よかった、あれから更に鍛練を積んで。



「分隊長、貴方(あなた)が殺人を?」

「冥途の土産に教えてやるさ、そう、この私こそが殺人鬼だ」



「な……本当に。なぜ殺人を!!」



「なぁに簡単な事さ、お前がライトニング家に気に入られているのは知っている。だから、支持者達を殺しまくった。そう狙ったのは全部、ライトニング家に関係する者達だ」


 たったそれだけの理由で……!



「じゃあ、ジョンは関係ないんだな」



「あるさ!!」



 背後からいきなりジョンが現れた。



「なっ、つけられていたのか!」


「油断したな、レイジ。お前が俺の信用を得ようとしていたことは見え見えだった。まあ、分隊長に教えて貰ったんだがな」



 クソ、こっちの行動は筒抜けだったって事かよ。



「最初から……」

「そうさ、おかげで俺のレベルも随分と上がった。今は『30』だ。これで貴様を葬れる」



 この二人ともグルか。

 ちくしょう、詰めが甘かった。



「なにがケラウノス騎士団だ。蓋を開けて見れば、ただの殺人騎士団じゃねぇか!」



「ククククク……」

「フハハハ……」



 分隊長とジョンが剣を構え、じりじりと迫って来る。



「レイジ、お前がカイルに勝利した事には驚かされたさ。だが、ヤツは所詮は捨て駒にすぎなかった。私は最初からヤツよりもジョンを信用していた。そうだろう、ジョン」



「ええ、ユピテル分隊長。我々『リジェクト』は三大騎士を叩き潰し、新たな騎士として名を連ねるのです」



 リジェクト、それが不穏分子の名か。



「そうかよ。この騎士団は最初から腐ってやがったんだ……三大騎士を潰すために、こんな計画を! ふざけんな! こんなクソ騎士団、こっちから願い下げだ!」



「逃がすと思うかね。レイジ、お前は地下牢にぶち込んでやる。お前を殺せば、ライトニング家が勘付くからな。ならば、貴様を閉じ込め、行方不明にするしかないのだよ」



 ユピテルは、ゴーストスキルとやらを発動して、自身の分身を創り出した。……本当にあったんだ。そんなスキルが。




「ここで諦めてなるものか! 俺には待っている人が――」



 ◆




「――――」



 じゃらじゃらと音がした。

 俺はどうやら鎖で繋がれているらしい。

 それも両手両足を。



「くそっ、負けちまったか」



 武器も取り上げられていた。

 身動き一つできないし、真っ暗で何も見えない。



「……ここまでか。いや、そうでもないな」


「よっ、レイジ少年」



 この声は実に分かりやすい。


「マーカスさん! 俺を助けに?」


「そうとも。可愛い妹の頼みでね」

「ちなみにこの事、どこまで知っていたんですか」



「さっき全部知ったよ。この騎士団は終わりだな。お前の言う通り、分隊長もジョンもリジェクトだった。ああ、言っておくがオレは違うからな。オレは家族に剣を捧げている」



 がしゃんと音がして、マーカスさんが扉を開けて入って来た。それから、鎖を外してくれ、俺は自由の身になった。



「助かりましたよ」

「礼はいい。オレは直ぐに情報部隊・マキシマイズに報告する。あそこは一番信用できるし、オレが信用している。後は任せろ。あと刀な」



 武器を受け取り、分かったと頷いて、俺はマーカスと別れた。




「……いない」




 どこを探してもユピテルもジョンも姿がなかった。

 ま、まさか……ライトニング家へ?



 俺は急いで戻る事にした。

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