21話「焦土と化した二俣、ショックあおいちゃん!」
滑走路-
「霧島」
「ん?」
「大丈夫か?」
「ああ、幸い被弾はしなかった」
「そうか…今日は運がいいな」
「そうだな」
「長生きしたぜ俺たちも」
「…」
「それより沓名、俺は帰っていいか? 家族が心配だ」
「ああ」
タッタッタッ…
列車が運行されてないので車をつかまえて連れてってもらった
一時間後…
「…」
タッタッタッ…
あたりにはまだ消えていない炎とけが人と遺体と瓦礫とB-29の残骸と家を失った人がいた
タッタッタッ…
「…」
あおいの家は半壊状態だった
カチャ…
たまたま持っていた軍刀と割れた自分と中島が移っている写真を発見し
手に持った
それとたまたま無事だった私服があった
見られないように飛行服から私服に着替える
タッタッタッタッ…
そしてまた歩きはじめた
タッタッタッタッ…
立ち止まると姉がいた、その横には気傷だらけの旦那もいた
「あおい…?無事だったのね」
「うん…」
「ごめん…いおり…ダメだった…」
「!?」
姉の口からは、いおりの死が告げられた
いおりも昭和の時代、空襲で亡くなった。
折角平成の世に蘇って死んだはずの家族が復活してて性格は元より変態だったが
仲良しでいられたのに
あおいはますます弱気になっていった
翌日…高校の臨時集会で現時点で確認できる死者が発表された
その中には千穂と瑠璃の名があった…
昨日まで普通に会話していた奴らが
今日には二度と姿を現す事のない者へとなっていた
帰宅後、父の死も発覚する
あおいは家の残骸の中に入る
「…」
ブオオオオオ…
また゛嫌な音゛が聞こえてきた…B-29だ
武装左翼は残りの人間を一掃するつもりらしい
今回は護衛戦闘機もいる
トゴォォオオオオン!!
今更飛行機を操縦する気はおきない…
ブオオオオオ…
向こうからなにかが…本土防衛軍の零戦だ、新たに一機が出来上がったらしい
だが…
トゴォオン!!
ドッゴォアン!
B-29一機撃墜の代償に零戦が二機とも落された
無残に火を吹いた零戦二機が落下した
「沓名…」
「まちがいない…一機は沓名だ…」
まさかここで戦友が戦死するとは思いもしなかった
「お嬢ちゃん大丈夫か!?」
「応急処置をしろ!!」
あおいはダッシュで向かって見ると…
血だらけで倒れていたのは鈴だ
「鈴…?」
意識はなさそうだ…目が死んでいる…ピクリともうごかない、
たまたま着ていた白いワンピースは血で染まっていた
ゴオオオオオオ!!!
今度はジェットサウンドが響く、航空自衛隊だ、ようやくきた
F-2だろうか、バルカンでアッサリとB-29や護衛の戦闘機を撃墜していった
どうやら自衛隊は近くで待機していたようだ
だが…また多くの死者がでたことにはかわりない
そしてー!!!!!
家の残骸の中-
(…ダメだ…もう…おしまいだ…)
(日本は終わりだ)
シャーッ
軍刀を抜く
(本来俺は死んでいるはずの人間だ、
このままでは先に死んだ奴らに失礼だ)
(矛盾している、いろいろな、言葉にできないぐらい矛盾している)
(いおりや母さんはまさしく俺の前世の時にいた人だ、ちょっと年齢は違うが)
(しかしそいつらは死んだ、同期の奴もいる、しかも死んだ、どうなっている?)
(いろいろおかしい…おかしすぎる…だが…このまま生きるのは恥であり失礼だ)
(しからば…自決あるのみた)
あおいは心を落ち着かせ精神を統一した
…
「!!!」
腹を斬ろうとしたその時だった!
ガシッ!
パシィッ!
「!!」
そこに立っていたのは蘭だ
「蘭…?」
「あおいちゃんの馬鹿! なにしてるの!」
「蘭…これは…」
「何よ?」
「自決だ…」
「何考えてるのあおいちゃん!」
「もう一度考え直して!」
「だけど…」
「気持ちわ痛いほどわかるわ! 私自身貴女と同じ時代の人間だったもん!」
「えっ?」
「黙っててごめん…私…実は今とほぼ同じ姿で同じ名前で同じ年齢で…
昭和20年の4月まで存在していたの」
「空襲で死んじゃったらしいけど」
「最初はわけがわからなかったけど…」
「あおいちゃんに出会った瞬間懐かしい気がしたの」
「なんですって?」
そういえば蘭はどことなく近所に住んでいた彼女に似ている
…というかそのままで名前も一緒だったが別人だと思っていた…まさか…
藤堂商店の長女…当時15歳だった女の子…藤堂蘭って…蘭だったのか
俺とほぼ同じ時に同じ姿で生き返った…いや、あの時の蘭はセミショートだった
やっぱり完全に同じには出来なかったのか
「今までだまっててごめんね…あおいちゃん…いや葵兄さん」
「いきなりなんだよ 今まであおいちゃんだったから別にあおいちゃんでもいいだろ」
「そうだね…っで自決する気は?」
「なんかさらないが失せた、かりに自決しようとしてもまた蘭に怒られるしな」
「ふふ、」
ぎゅ…
二人は抱き合い…そして眠る…
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