浦島太郎伝説の真相
浦島太郎が竜宮城から戻ると、辺りの風景はすっかり様変わりしていました。
見たことのない建物が立ち並んでおり、自宅に帰るとそこには立派なタワーマンションがそびえ立っていました。
「こ、これはいったい、何が起きているんだ……」
呆然としながら海辺にたどり着くと、縋るように乙姫から貰った玉手箱を開ける太郎。
――すると玉手箱の中からモクモクと煙が立ち上り、煙を浴びた太郎はしわくちゃのおじいさんになってしまったのです。
「う、うわあああああああああああああ」
あまりの絶望に慟哭する太郎。
――その時。
「サプラーイズ!」
「……は?」
突如亀達を従えた乙姫がハイテンションで太郎の前に現れました。
(サ、サプライズ……!?)
何のことだか理解出来ず困惑する太郎。
「ヘイ! カモンカモン!」
「……はぁ」
乙姫に誘われるまま後についていく太郎。
そして着いたのは先程のタワーマンション。
いったいここに何が……?
「アメイジング!」
「――!?」
乙姫が指をパチンと鳴らすと、タワーマンションがこちら側に倒れてきて――中から太郎の自宅が現れました。
「えーーーー!?!?!?!?」
実はタワーマンションはただの張りぼてで、太郎の自宅を隠していただけだったのです。
街並みが変わっていたのも全て張りぼてです。
「アーンド、サプラーイズ!」
「っ!??」
更に乙姫は太郎にグイグイ迫ると、おもむろに太郎の顔の皮をベリベリと剥ぎました。
「えーーーー!?!?!?!?」
すると太郎の顔は元通りのもちもちたまご肌になりました。
実はハリウッドで五年間特殊メイクの修行をした亀が、太郎が玉手箱の煙に包まれている間におじいさんの特殊メイクを施していたのです。
「な、何だ……、ただのドッキリだったのですか……。乙姫様もお人が悪い……」
「ファンタスティーーック! FOOOOOOO!!!!」
その後太郎と乙姫達は、海辺で仲良くバーベキューに興じたのでしたとさ。
めでたしめでたし。
「……っていうオチだったらよかったのになぁ」
水面に映ったしわくちゃの自分の顔を見つめながら、太郎はそう呟きました。