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陽だまりの秘法

作者: なと

懐かしさに囚われたとき、人は、彼岸から帰ってこられなくなる。

あなたも、気を付けたまえ…

郷愁は、あの世から、呼んでいる

もう一人の自分に気をつけよ。

よろづのことに気をつけよ。

宿場町の掟。

十方闇の人は特に。

天地八方。

一寸闇は闇。

背後に気を付けたまえ。

黒い影は狙っているから。

それでもあめふらしはやってきてぬらぬらした手で、魂を集めるんだ。

恐ろしい、街角の闇。


古めかしい記憶、祖母の掌。

団栗が乗っている。

椎の実は食べられるよと教えてくれた、イボと皺だらけの顔。

そんな記憶が、宿場町に来ると思い出されます。

子供たちのはしゃぎまわる姿、

シオカラトンボ、

入道雲が近づいてきて、

ゴロロロ…と遠雷。

もうすぐ、夕立。

そしてまた、水蒸気の沸き立つ道ばた。


懐かしい記憶。

羊水の中の記憶。

揺らめく煌めく水面。

からんからん、干された阿古屋貝が風に鳴っている。

海際の記憶。

お母さん、あなたのお腹の中に戻りたいんです。

胎児回帰。

陽だまりがそこの道端で揺らめいている。

穏やかな宿場町の風景…。

懐かしい想ひ出。

小さな毬がどこからか、転がってきた…。


街道沿い。

道端のお墓。

供えられた赤い花。

線香の香り、笑顔のお地蔵様。

格子窓の挿された風車、カラカラ…不思議な古い木の香りに廻ってます。

錆びたトタンの家、レンガの色褪せた家、懐かしい想い出が蘇ってきます。

離れられない。

切なくて、涙。

宿場町幻想。

夢のまにまに

彼岸の向こうから、入道雲が立ち昇っている。

懐かしさはいつまでも…

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