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仮面を外したら  作者: 常盤周
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今日は隣街の宿に泊まるけどもう少し離れた方がいい気がする。

明日は朝から移動しよう。



これから仕事してお金稼がないといけない。

でももう少し離れたい。

それまでお金がもつかなぁ。

刺繍をしてまた売るか。

でも布や針に糸・・・

結構お金かかる。

はぁ、ヤメヤメ。

考えたらキリがない。

明日に備えて食事したら早めに休もう。


お風呂がなかったのでお湯を貰って身体を拭く。

髪を洗える程の量はないから我慢する。

あーお風呂入りたい。

こんなんじゃいつ髪を洗えるのかわからないなぁ。

シャンプーとかなさそうだし・・・

はぁ、湯船に浸かりたい。


軽く足をマッサージしてあとは寝るだけ。

今日はゆっくり寝たい。



翌日朝食を食べて

少し早めに宿を出る。

宿で聞いた馬車乗り場に行って行き先を聞く。

山間部にある村を通って街に行くのと、そことは違う

お昼までには着く近くの街に行く馬車があるそうだ。

なんの準備もしていないから午後の便でも大丈夫だろう。

店を見てまわりやっぱり刺繍して売ろう。

出費はキツイけどほかに方法がない。

この街に住むなら店員とかあるだろうけどもう少し離れたいからできないし短期じゃ雇ってもらえないかもしれない。

そうすると何か作って売るくらいしかないよね。

あまりお金にならないけど・・・

宿代と食事代で消えると馬車代がない。

そうすると移動できない。

やっぱりここで働いてお金を貯めて移動した方がいいのかな。

お腹空いたけど布や糸を買うとお金がギリギリ。

どうしよう。

近くにあったベンチに座ってどうしようか考える。

考えても答えが出るはずもなく・・・

どうしようもなくボーっと座っていた。


日が暮れ始めて長くここに座っていたんだなぁと思った。

何しんてんだろう、私。

今日も宿に泊まろうと立ち上がったら


「コリン!」


知り合いもいないから私じゃない。

荷物を持とうとしたら腕を掴まれた。


「待てっ!見つけた。帰るぞ!」


えっ?

何でここに?


はぁはぁと息を切らしてエドワード様が立っている。


「な・・んで?」

「探したぞ!お金も持ってないし知り合いもいないのにどこに行くんだ?さぁ、帰るぞ。」


腕を掴んで歩き出す。


「いたっ。腕を離して。」

「離すと逃げるだろう?このまま連れて帰る。帰ってから話そう。」

「待って!私・・・」

「嫌だと言っても連れて行く。」


そう言って腕を強く掴まれる。


「痛い!違う!荷物!荷物があるから・・・」


はぁとため息をついてベンチに置いていた荷物を持ってくれた。

今度は手を握って連れて行かれる。

街の入り口に馬がいて乗せられる。


「私馬乗った事ない。」

「大丈夫だ。しっかりつかまっていろ。急ぐぞ!」

「ひゃっ!」


速い。怖い。お尻痛い。

何で?

どうして?って思うけど。

恥ずかしいけどエドワード様にしがみついていると何も考えられなくて暖かくなって眠ってしまった。


起きると朝だった。

はぁ。

どうしようとベッドの上で悩んでたらラナがきた。


「コリン様よかったですぅ。無事で・・・黙って・・・いなくなるから心配で。ううぅ。」


泣いてる。


「ごめんなさいラナ。本当は声かけて出て行きたかったんだけど言うと出て行けないかなぁと思って・・・」

「もう黙って出て行かないで下さいぃ。」

「ごめんね。」


約束できないからなぁ。

でも黙って出ていくのは無理かもしれない。

だけどエドワード様が結婚するなら私は出て行かなきゃね。


「ごめんラナ。お腹空いて何か食べる物あるかな?」

「はいっ!昨日も召し上がってませんからね。さぁ、着替えましょう。」


着替えて食堂へ行く。

エドワード様がいる。


「おはようございます。エドワード様昨日はいつのまにか寝てしまったようでご迷惑をおかけしました。」

「おはよう。疲れていたんだろう。気にする事はない。」


お腹は空いているけどあまり食べれそうにない。

ゆっくり食べてると


「話がある。この後時間もらえるか?」


何だろう?

元婚約者との事かな?

あっ!

どこか仕事ができるところ紹介してくれるのかも!


「はい、わかりました。」


食事が済んで部屋を移動する。

お茶を用意したら皆いなくなる。

エドワード様と2人。

これは貴族的にはダメなんじゃなかったかな?


「エドワード様。あの流石に2人きりは・・・」

「大丈夫だ。キチンと話をしよう。」


どんな仕事があるかしっかり聞かないとね!


「ラナから聞いたが誤解だ。彼女・・・元婚約者とは何でもないんだ。いきなり相談してきたが断っていたんだ。」

「はぁ?仕事の話じゃないんですか?」

「何の仕事だ?君は元婚約者との事を誤解してでて行ったんだろう?だからキチンと話をしているんじゃないか!」

「そうですか。えっと、何を相談されていたんですか?」

「少し前から手紙が届いていたんだ。伯爵に暴力を振るわれて困っていると。痣が見えるから肌を隠すドレスしか着れない。匂いが強い薬を塗っているから香水で誤魔化しているがもう嫌だと。そう言われても私には関係ないからと断ったんだがしつこくて。それで放っておいたら街で会っただろう?あの時が別れてから初めて会ったんだ。それから街に行くたびにどこからか現れては助けてと。君が見た時の事は、私には伯爵がいるから話て助けてと宿に連れて行かれたんだ。だけど伯爵はいなくて帰ろうとしたら抱きついてきたんだ。そこに伯爵がきて何をしているんだ、人の妻を襲うなんて、と。この事を言いふらされたくないなら金を払えと要求された。そんな事実はないし金を払う必要もないから突っぱねた。逆に伯爵の暴力を相談された事を言うとしどろもどろになり、嘘をついて私に近づき、伯爵も私を脅して金をとろうと元婚約者と計画したんだ。」

「はぁ。あの〜伯爵ってお金ないんですか?」

「夫婦揃って散財してるから、どれだけあっても足りないんだよ。」

「そうですか。」

「疑っているのか?私にはレイモンド様がつけた影がいたからちゃんと証明できるぞ?」

「影って?」

「私の行動や言動を見張っていた。」

「何でそんな事を?」

「はぁ〜。レイモンド様が君と結婚させようとしてるのに元婚約者が私に近づこうとしていたかららしい。まぁ、助かったからよかったよ。」

「その伯爵と元婚約者はどうなるんですか?」

「伯爵は息子に譲って引退し元婚約者と生涯領地に幽閉だな。王都にもでてこれないし他の領地にも行かれないから、伯爵の領地に行かない限りは会う事もない。」

「そうですか。エドワード様はよかったのですか?」

「何がだい?」

「元婚約者の事です。まだ好きだったんでしょう?」

「はっ?何を言っているんだ?私は彼女の事は何とも思ってない。というかどうでもいい。なぜまだ好きだと思うんだ?」

「1人で街に行って会ってたんでしょう?匂いがしてたから。」

「えっ⁈いや、会いたくて会ってたわけじゃなくてだなぁ、なぜか向こうが会いにきて・・・断っても離れないし、その・・・」

「別にいいです。私は婚約者じゃないし出て行きますから。」

「・・・出て行くのか?」

「エドワード様は1人で過ごす方が好きでしょう?結婚もしなくていいんですよね?そこに関係ない私がずっとお世話になるのはおかしいです。私にもできる仕事をして生活しないと。」

「ならば私の婚約者になればいい。そうすればここにいるんだろう?」

「いやいやいや。婚約者になったらいずれ結婚しなきゃでしょ?好きでもないのに結婚するのはダメでしょ

⁈」

「私は君さえよければ結婚してもいいと思っているが?」

「へっ⁈」

「君はやはりこんな醜い男は嫌か?」

「えっ⁈」

「だがレイモンド様の許可もあるからな。君は私の婚約者だ。だから出て行く事もないし仕事を探す必要もない。ここにいればいい。」

「それは・・・・・エドワード様は私の事好きなんですか?」

「一緒に食事をして話をしていたんだからわかるだろう?」

「わかりません。ちゃんと言って下さい。」

「そう言う君はどうなんだ?私は婚約者になれと言ったが君の気持ちは?」

「ううぅ〜ずるいです。私はエドワード様が好きですよ。誰でもいいなら、都合がいいからとかレイモンド様に言われたからとかなら婚約者になりません。エドワード様の気持ちを教えて下さい。」

「私も君が好きだ。だから婚約者としてここに私の側にいてほしい。」

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