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食事を終え部屋に戻るとバートさんがきた。
一般的な事はバートさんが教えてくれるけど、貴族として必要な事はエドワード様のお母さんが教えてくれるそうだ。
今は領地にいるから王都まで出てきてくれるそうだ。
わざわざ来てもらうのが申し訳ない。
貴族になる気はないんだけどなぁ・・・
勉強は翌日から始まった。
エドワード様のお母さんは着き次第教えてくれるそうだ。
領地からきてくれたエドワード様のお母さんリリアーナ様はプラチナブロンドに水色の目でホワンとした雰囲気の女性だが、教えるのは厳しかった。
それより、嫁扱いはやめて下さい。
ううっ・・・
エドワード様に仮面を顔半分にして怪我してない所は見せてていんじゃないかと提案。
だって視野も狭まって危ないし、鉄仮面じゃなく皮でもいいしね。
提案を受け入れてくれて新たに仮面を作りそれに慣れるように頑張っている。
今まで隠していたからか怪我のない顔半分出すのも結構勇気がいるようだ。
頑張れ〜。
バートさんから生活に必要な事を習い、リリアーナ様から貴族としての立ち振る舞いや刺繍などを習った。
刺繍は淑女の嗜みらしい。
慈善活動する時にお金ではなく刺繍した物を売るらしい。その売り上げを教会や孤児院に寄付するそうだ。
家庭科の授業でしただけだけど教わっているうちにだんだん思い出し楽しくなった。
調子にのって色々刺してしまった。
最初は姿勢から注意されてたのになんとか貴族としての立ち振る舞いが様になってきたようで、エドワード様と街に行ける事になった。
長く旦那様を1人にはできないからとリリアーナ様は領地に戻って行った。
エドワード様は行きたくないようだけど、バートさんからレイモンド様から2人で出かけるようにと指示がきたそうだ。
本当に口出しし過ぎだよ。
私は初めての街だし、いずれは街で生活するので色々見てまわりたい。
下調べしとかないとね。
どんな店があるのかわからないからエドワード様にお任せです。
見たいお店や興味のあるお店があったらエドワード様に伝えるという事でどういった所に連れて行ってくれるのか楽しみ。
朝は市場など買い物をする人が多いからこの時期は比較的人が少ないからと公園に行った。
日本の公園と違って遊具はない。噴水があり花壇があり花や樹木が植えてある。所々にベンチや東屋がある。エドワード様にエスコートされてゆっくり歩いて見てまわる。
思ったより広くて時間がかかった。
少し早いけど人で混む前に食事をしようとエドワード様が以前よく行っていたという料理屋に連れて行ってくれた。
お店では個室に通されてエドワード様が注文をし全部まとめて持ってきてもらう。
その後は呼ぶまで誰も来ないように言う。
顔半分でてるけど食べる時は外すみたい。
では頂きましょう!
ん、美味しい!
レモンとか柑橘系を使ってるのかな?
さっぱりしてて思ったより食べれた。
エドワード様も手の進み具合が早い。
ふふ。久しぶりだろうからいっぱいお食べ。
ニコニコ見てるとエドワード様が気付いて
「もう食べないのか?この後はどこか見たいとこはあるか?」
と聞いてきたので
「そうですねぇ。では糸が見たいです。」
「糸?」
「はい。刺繍糸など見たいのですがダメですか?では
ブラブラと街を歩くだけでも構いませんよ?」
どこにどんな店があるか確認しておけばまた来た時に行けばいいのだから。
「ふむ。では糸を見て街を歩いてから帰るか。」
糸や布を買って街を歩く。
エドワード様はきちんとエスコートしてくれる。
街に来た時は仮面をしているからか皆見てくるからものすごく嫌そうなオーラをだしていたのに今は気にならないのか普通だ。
慣れたのかな?
街で嫌な思いをせずにお互い慣れればエドワード様もまた街に行こうと思えるだろう。
とりあえず街の人達がきているような服を売ってるお店もわかったから、今日はこれで帰るかな?
エドワード様も久しぶりの街で疲れただろうし。
お屋敷に帰ってくるとエドワード様はサッサと離れに篭ってしまった。
私も少し疲れたけれど、厨房に行き料理長にお願いする。
エドワード様に今日のお礼をしたいから厨房の隅でいいから貸して欲しいと。
自分も一緒に作っていいならと言われたので玉子、砂糖、牛乳を用意してもらってプリンを一緒に作る。
蒸してお菓子を作るのに驚いていたけど、こっちにはプリンなかったの⁈
作ってよかったのかな?
クッキーの方が良かったかな・・・
まあ作ったんだから食べてもらおう。
普通のプリンだけど、気持ちだからいいよね?
喜んでくれるといいな。
エドワード様は驚いていたけど美味しいと言ってくれたからよかった。
料理長からは他にどんなお菓子が?いつ作りますか?と言われるけど私そんなに知らないから!
それから時々エドワード様と街に出かけるようになった。
お互い少しずつだが慣れてきたと思う。
今日も街を2人で歩いていたらなんか臭う。
何の臭いだろうと思ってると
「エド!」
そう声をかけられて見てみると、薄いピンク色の髪にグレーの目の女性。
この女性が近づくと臭いが強くなる。
臭いの元か!
首から下は一切肌が見えないドレスに手袋までしてる。厚塗りの化粧、その上これでもかってぐらいに香水が臭い。
近寄りたくない。
息が出来ない。ハンカチで鼻を抑えるけど臭すぎて逃げ出したい。
なんだか目も痛くて涙目だ。
エドワード様が反応しないから仕方なく
「エドワード様お知り合いの方ですか?」
と聞く。
「多分、元婚約者だと思う。ここまで変わるのか・・・」
呆然と呟いた。
前はまだマシだったのだろうか。
どうでもいいけど何故声を掛けてきたんだ?
「エド大分良くなったようね!もう少ししたら完治するのかしら?久しぶりに話したいわ。」
「失礼するよ。」
エドワード様は私を連れて足早にその場を離れた。
すーはーすーはー。
新鮮な空気を吸って落ち着こうとするけど、あの臭いが染み付いたような気がして落ち着かない。
エドワード様も何か考えているのか黙っている。
なんか散策する気分でもないから帰る事にした。
それからはエドワード様と街に出かける事はなかった。
エドワード様は1人ででかけているようだけど誘われる事はない。
バートさんから一緒に出かけるようにしつこく言われ考える。
仕方ない。
一緒にお出かけをお願いしてみよう。
出かけたらバートさんもうるさくないだろう。
帰ってきたエドワード様とたまたま出くわすとあの香水の匂いがした。
あぁ、元婚約者と会っているのか。
誘われないわけだ。
一瞬心臓をギュッと掴まれたような痛みを感じたけどすぐ消えた。
元婚約者と会っているなら、お出かけをお願いできないなぁ。
酷い事を言われてもやはり忘れられないのかな?
それだけ好きだったんだろうなぁ・・・
うーん。
隠れて会ってるだけ?相手が離婚すれば結婚できるけど周りが反対しそうだし、駆け落ちするとか?
よし!
エドワード様を尾けよう。
エドワード様と出かけていた時よりもさらに簡素なワンピースを着てラナと2人で目立たないようにエドワード様のあとをつける。
本当は1人のはずがラナが1人でお出かけはダメです!私も一緒に行きます!と譲らなかったから。
エドワード様は少し早歩きだから見失わないようにしないと!
と思ったらあの臭いが鼻にきた。
ピタッと足が止まる。
私もだけどラナも鼻を抑えて涙目だ。
臭いの元というか元婚約者同士の2人以外周りは離れて行く。私達も見つからないよう、でも2人が見える場所を探して移動していると、元婚約者がエドワード様に抱きついてエドワード様も抱きしめていた。
ビックリしていると2人は腕を組んで街中から少し離れた所にある建物に入っていった。
何のお店か聞くとラナは言い渋っていたが逢瀬で利用するような宿だと言う事だった。
そっか。
言ってくれればって言えるわけないし言う必要もないか。
私達は婚約者じゃないから。
うっ。
別にエドワード様の事好きでもなかったはず。
なのになんでショックなんだろう。
宿に入ってすぐにでてくる事はないだろうから帰る事にした。
ラナは心配そうな表情でこちらをみてきたが何も言う事はなかった。
部屋に戻って手紙を書く。
レイモンド様宛だとバートさんが何かしてすぐ届きそうだし他の人に見られてもまずい。パトリックは大騒ぎしそうだからダリル様に書いた。
レイモンド様宛の手紙をいれてダリル様に届けてもらうようバートさんにお願いする。
ダリル様には、レイモンド様には直接出せないのでダリル様から渡して下さい。報告?連絡みたいなもので急ぎじゃないですから、と。
心配そうに見てくるラナには悪いけど食事もいらないから1人にしてほしい、今日だけは誰も部屋にいれないでと伝えた。
ごめんねラナ。
さて荷物をまとめると言っても全部用意して貰ったものだからなぁ。
お金はないから今まで刺繍した物を持って行って売ろう。着替えだけ入れてあとは買おう。
エドワード様にお礼と思って刺繍したハンカチはどうしよう。
私が持ってても仕方ないし、でも迷惑だろう。
クローゼットの中の引き出し奥にしまっていこう。
お世話になった皆さんに挨拶できないのは心残りだが私はここにいられない。
レイモンド様にも結婚はできないので家を出ると言う事は書いた。
手紙を読んだレイモンド様に捕まる前に出ないとね。
部屋が一階でよかった。
見つからないように裏口からでる。
街まで行き刺繍した物を売って隣街に行く馬車に乗る。
さよなら、エドワード様。
お幸せに。




