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「待たせたな。」
「そちらの女性は?」
「今から話す。」
皆座りお茶の用意をして人払いされた。
レイモンド様がダリル様とエドワード様、私の紹介をして説明してくれた。
・・・・・・
皆ダンマリ。
もちろん私も黙ってるよ。
でも、仮面・・・鉄仮面・・・
どうやってつけてるんだろう?
ジーッと見てしまっていたからか
「気になるか?」
コクコク頷く。
「初めて見ました。苦しくないのかなぁと不思議で。」
みんなポカーン。
「エドの顔じゃなく仮面の方?」
あっ、そうだった。
「エドワード様の顔見せていただけるんですか?是非お願いします!」
「どうする?エドワード。」
「あっ、見せていただけないなら結婚の話はなかった事にして下さいね。顔も知らない人なんて無理なんで。」
「君は・・・」
レイモンド様がため息をついて頭を振る。
エドワード様が
「私の顔を見ても嫌な思いをするだけだ。やめておけ。」
おおぅ。
イケボだ!
こんないい声ならずっと聞いていたい。
「それは結婚する気は無いって事でいいですか?レイモンド様こういう結果になりましたので残念ですが私でて行きますね。あっ、お金貸してください。私こちらのお金持ってないですし、ホテじゃなく宿とか探さないといけないので。仕事してお金が貯まったら返しますからお願いします。」
「待て!エドワード見せてやれ!嫌だろうが見せないと納得しない。お前本当にこのまま1人で誰とも関わらずに生きていくのか?ご両親も心配している。安心させてやれ!」
「レイモンド様無理強いはダメですよ。エドワード様が嫌なんだから仕方ないじゃないですか。もう、パトリックあなたがお金だしてよ。私出て行くから。早く。」
「なんで俺が?しかも呼び捨てにしやがって。俺は侯爵だぞ!」
「あなた侯爵なの?次期じゃなくて現当主になってるの?」
「あ、いや、まだだが・・・」
「そっ。親の爵位で威張られてもねぇ。殺そうとした人に何で敬称つけなきゃいけないの?とりあえず一週間暮らせるくらいでいいからさ。ちゃんと返すから。」
そんな事を話していたらレイモンド様が説得したようで顔を見せてくれる事になった。
ちぇっ。
「倒れても知らないからなっ!」
はいはい。
どうぞ、仮面を外してくだされ!
ほほう。紐ですか。それだと緩んだり誰かに解かれたりするのでは?
仮面が外され顔があらわれた!
あー。
藍色のような目なんだ。
ふ〜ん。
盛り上がってる部分デコボコしてるし色が変わってるし・・・
殴り合いの喧嘩をして顔が腫れてるのがデコボコしてて、色が赤や青紫とかどす黒い部分とかあるって感じかな?
まあ顔全体じゃなく右半分かな?額は左側も色が変わっているけどね。
身体は見てないけど顔と同じ様な感じなんだろうなぁ。
「あー、そのように見て大丈夫かい?」
「あぁ、確かに見慣れてませんけど、もっと酷いのを想像してたからこのくらいなら・・・」
「「「はっ⁈」」」
「えっ⁈これより酷いってどんなの想像してたんだい?」
「えっ?肉が抉れて骨が見えているとか、肌が爛れて溶け流れている感じでどこが目で鼻でって分からない様なのとか、肌がくっついて・・・」
「やめろ!そんな不気味な事をよく考えつくな。君の世界はそんな人間がいるのか。恐ろしいな。」
「失礼な。そんな人いませんよ。よっぽどの事故とかじゃない限りは、多分。」
テロや災害、戦争をしているところではもっと酷い状態の人もいると思う。
テレビやネットの情報でみるだけで実際に見た事はないけど。
「まぁいい。大丈夫ならエドワードと結婚してくれ。」
「無理ですよ。好きじゃないのに結婚なんて。」
「エドワード、お前を見て倒れもしないんだ。彼女ならいいただろう。結婚しろ。」
「いや、彼女も断ってたじゃないか。無理強いするな。」
「じゃぁ、王族命令だ。ウダウダ言わずに結婚しろ!」
やっぱりレイモンド様は王族だったか・・・
話し方も命令の仕方と言うか指示するのに慣れてるし態度がね・・・
はぁ〜仕方ない。
「レイモンド様無理強いはダメって言いましたよ?
お貴族様は政略結婚で気持ち関係なくできるでしょうけど、私一般市民は無理です。それにエドワード様も家の利やご自分の利がない結婚はしたくないでしょう?なので3ヶ月一緒にいてお互いの事を知っていくのはどうでしょう?それでお互い好きになったならそのまま、そうでないなら私は出て行くと言う事で。」
「エドワードはどうだ?」
「結婚するよりマシだ。それでいい。」
「わかった。では、今日からコリン嬢はここに住んでエドワードと仲良くしてくれ。エドワードも逃げずにちゃんと話したり出かけたりしろよ。また来るからな!」
そう言って3人は帰っていった。
はぁ〜疲れた。
と思ったらエドワード様もため息をついていた。
「あの、私着替えとか何もないのですべてお世話になります。あとこの世界の事も教えて下さい。3ヶ月間よろしくお願いします。」
「・・・準備させる。それと私に構わないでくれ。」
「そうですね。それでも基本的な事は教えて下さい。レイモンド様達に聞かれても答えられなかったら強制されそうで・・・」
そう言うと頭を抱えて
「それもそうだな。何が知りたい?」
「んー、ではまず年齢、家族構成、趣味とかうーん、これってお見合いみたいなもの?でも・・・まあ、エドワード様の好きな事とか何でもどうぞ!」
「年は24、家族は両親と弟がいる。趣味は・・・今はないな。コリン嬢は?」
「私?私は20才ですよ。両親だけ。私1人っ子だったから・・・ごめんなさい。エドワード様なんだか疲れてしまってお話はまた明日お願いします。ごめんなさい。」
エドワード様は黙ってベルを鳴らしてバートさんに私を部屋に案内するように言った。
私はバートさんに案内された部屋で1人になるとソファに座って靴を脱ぎ側にあったクッションを抱いて泣いた。
お父さんお母さん心配しているよね。ごめんね。帰りたいけど帰れない。心配しないでって、元気だよって伝えたくても伝えられない。ごめんね。
ううっ・・・っく・・・
気がついたらベッドの上ですね。
いつのまにか寝てしまったようですね。
っていうか誰が運んでくれたんだろう?
うっ、ドレスも脱がされてるよっ!
ネグリジェみたいなの着せられてるけど誰が?
着替えさせられたり運ばれたりしてたのに気づかないなんて・・・
くっ、不覚。
とりあえずお風呂・・・この世界どうなんだろう?
顔洗わないと!
ノックしてメイドが入ってくる。
「おはようございます。体調はいかがですか?
まずは顔を洗いましょうか?」
ササッと布など準備し洗顔を済ませると着替えだ。
クローゼットには色とりどりの服がある。
「これからお嬢様のお手伝いをさせていただきますラナです。よろしくお願いします。さぁ、こちらを着ましょう。」
「私はコリンです。よろしくお願いしますね。」
水色のワンピースを着ると髪を結われ化粧をされる。
「さぁ、エドワード様がお待ちですよ。」
「えっ?」
「食事はご一緒にと伺ってます。」
案内された部屋にはエドワード様が待っていた。
「おはようございます。お待たせして申し訳ありません。」
「おはよう。体調は良いのか?」
「ええ、大丈夫です。あの、服ありがとうございます。」
「ああ、足りない物があったら言ってくれ。」
テーブルの上にはパン、サラダ、スープ、フルーツが置いてある。
「私が仮面を外して食べるからな。この顔を見なくて済むように全部用意させている。足りないなら言えば他の料理も用意させる。」
「いえ、大丈夫です。エドワード様が足りるのかと思っただけです。」
「では、いただこう。」
「いただきます。」
おいしい。
「あの、食事は一緒にと聞いたのですが迷惑ではないのですか?」
はぁ〜とため息をついて
「レイモンド様の指示だ。バートに指示を出していて、一緒にしない時はレイモンド様がくるそうだ。」
「なっ⁈レイモンド様って暇なの?」
「不敬だぞ!」
「そう言われても・・・幼馴染の結婚に口出ししすぎなような気がして・・・」
「私の事を心配してくれての事だ。わかっているが、まぁ鬱陶しくはあるな。私としては放っておいてほしいが。」
「そうだよねぇ。」
うんうんと頷く。
「コリン嬢は嫌じゃないのか?結婚するなら他の男がいいんじゃないか?」
うーん?
「元いた所では私まだ学生で友達と遊ぶのが楽しかったし、彼氏はいないから出来たらいいなってぐらいで・・・エドワード様が嫌とかそういうのじゃなく正直結婚なんて考えてなかったから戸惑っているというか。」
「私はこのような容姿だから結婚はしない。家は弟が継げばいいと思っている。このような事に巻き込んですまない。」
「エドワード様が謝る事じゃないですよ。」
「だが・・・」
「私にここで必要なことを教えて下さい。」
「手配する。」
「ありがとうございます。」