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「成功したか⁈よし、早く馬車に乗せろ!」
なっ、何⁈
痛い!引っ張らないで!
なんなの?
周りはメイド喫茶のメイドが着るような服(でも丈は長い)を着た女の人が囲んでいる。
あれよあれよと言う間に馬車にポイッとされてしまった。
馬車に揺られながら一緒に乗っているメイドに聞いてみる。
「あの、ここはどこですか?私はどこに連れて行かれるんですか?」
「私からは言えません。」
何を聞いても無言を貫かれた。
午後の授業が休講になってバイトまで時間があるから一旦家に帰って食事をして本屋にでも行こうかと思って準備をしてたら目の前が真っ白になって・・・
気がついたらこんな事になってる。
なんだかわかんないけどよくある異世界にきちゃったってヤツなんだろうなぁ。
やっぱり帰れないのかなぁ。
膝の上のカバンを抱きしめた。
途中食事をとり馬車に揺られ宿に泊まりを繰り返し4日目にやっとどこかの家に着くようだ。
朝から髪を結われ化粧をされドレスに着替えさせられた。やっと靴ももらえた。今まで靴下で歩いていた。宿で洗っていたがドロドロでもう履けないだろう。
馬車に乗って宿を出発し昼過ぎに立派な屋敷に着いた。
お待ちしておりました、どうぞこちらへとクリフォード家の執事長バートさんに案内されて入った部屋には
キラキラ男子がいるんだよ。
しかも2人。
目が痛い。
部屋に入ったまま立っていると
「ふぅ〜ん?君は誰かな?私達を騙そうとして何を企んでいる?」
いつのまにか1人の男に後ろから手を後ろ手につかまれ首に腕を回されて締められている。
もう1人の男に
「さぁ、何を企んでいるのか吐いてもらおうか?」
何がなんだかわからないけど、首苦しい。
「くっ、くる・・・しい。」
「ああ、おかしな真似したら斬るよ。パトリック。」
そう言うと腕が外されて体も自由になった。
だけど、ゲホッとむせてその場にしゃがみこむ。
どうにか落ち着いたと思ったら首に剣を当てられている。
私が何をしたっていうんだろう。
何も教えてもらえず連れてこられたところでは殺されかけて。
だんだん腹が立ってきた。
首に当てられた剣を手の平で押し返し立ち上がる。
手の平が切れたけど気にしていられない。
どうなるかわからないけど殺されるなら言いたい事を言わせてもらおう。剣を突きつけてきた奴、茶髪に青い目のキラキラ男に
「か弱い女に力づくで体の自由を奪い剣を突きつけるなんて・・・。よっぽど自信がないのね?女に出し抜かれた事があるから先手をとっておこうとするんでしょ?力で言うこと聞かせようなんてクズな男のする事よ。」
「なっ、愚弄するかっ!」
激昂する茶髪を無視してもう1人の男、金髪に緑の目のキラキラに向かって
「私も教えて欲しいんだけど?ここはどこ?なんで連れてこられたの?あなたは誰?誰も何も教えてくれないんだけど?」
「何も聞いていない?どういう事だ?」
眉間に皺寄せて考えている。
「私に聞かれてもわからない。そっちが説明して。」
「ふむ。とりあえず・・・私はレイモンドだ。そっちの男はパトリックだ。君は?」
「私はコリン。」
本当は小鈴だけど教えたくないからね。
ハンカチをだして手の平の傷をおさえる。
血がつくけど仕方ないよね。
「あぁ、座ってくれ。怪我させる気はなかったんだが・・・ここはクリフォード辺境伯の屋敷だ。クリフォード辺境伯の息子エドワードと結婚する為にカスケード子爵の娘アンナが来るはずだったんだ。彼女の髪はパトリックよりも暗い茶色だよ。彼女のかわりに黒髪の君がきた。」
なんてこった。髪の色が違うならバレるよ。気づかんかったんかーい!
って違う。結婚する為って私身代わりで結婚するの?
無理無理!
「ふぇっ⁈けっ・・・いや、私は全然関係ないので帰っていいですよねー。」
「いや。まだ君がなぜきたのか聞いてない。」
逃げられないか・・・
仕方ない。腹括って話すしかない。
「信じてもらえるかわからないけど・・・」
話終わって、ふぅ〜。
「お茶もらっていいですか?」
「ああ、気づかなくてすまない。」
ベルを鳴らすとメイドが入ってきてお茶を出して下がっていく。
カバンに入れてたマイボトルのお茶は早々に飲み干していたから。
飲んで大丈夫だよね?毒とか変な薬とか入ってないよね?
匂いを嗅いでも無味無臭の毒とかをいれられたらわからないから。
覚悟を決めて飲む。
ん、美味しい。
毒が入っててもいいや。
最後にこんな美味しいのが飲めたから。
と思ったけど生きてる。
どうやら毒などはいってなかったようだ。
「悪いが君にはエドワードと結婚してもらうよ。カスケード家は取り潰しだな。」
「ええぇーーー!なっなんで?会った事もない知らない人と結婚なんて無理っ!相手も嫌でしょう⁈」
落ち着け私。落ち着いて考えよう。
「レイモンド様達はどういう関係ですか?なぜ本人のエドワード様がいないんです?」
「私達は幼馴染だ。もう1人ダリルというのがいるが。ダリルはエドワードの方についている。
エドワードは身も心も傷ついている。それを癒してほしいんだ。」
「傷ついている?失恋?ケンカ?ほか何があったかなぁ。でも癒せってどうやって?」
うーんと考えていると
「話しておいた方が良いかな。他から知るよりはいいか。エドワードには婚約者がいた。その婚約者の女は他の男に言い寄られて困っていたんだ。断ってもしつこく言い寄ってきたらしい。半年程前エドワードと薔薇園を散策しているところにその男がいきなり剣で斬りかかってきた。エドワードは騎士ではないが腕は確かだ。辺境伯に鍛えられているからな。男の手に手刀を打ち剣を落として剣を蹴飛ばして決着がついたと思った時、その男が何かが入ったビンを婚約者の女に投げたんだ。とっさにエドワードが庇ったんだが・・・中身が何かわからないがエドワードの顔と身体にかかったところから肌が火傷のような火傷じゃないような酷い状態になったんだ。それを見て婚約者の女は『化け物』と言って逃げ出し男も逃げた。エドワードは痛みでその場から動けなくて
薔薇園にいた他の人が男が切り掛かったのを見た時に騎士団を呼んでいたから、早く駆けつけて医師を呼んで対処したんだ。だが肌は元に戻らなくてな。婚約者の言葉にも傷ついたのだろう。人と会わない生活をしているんだ。私達も仕事があるからなかなか会えないしね。」
ふぅ〜とため息をつく。
「あの、その婚約者の女の人は・・・」
「あの女は25も年上の後妻になったよ。
醜い化け物と結婚するよりマシと言ってな。言い寄っていた男は騎士団に捕まって刑に処されたよ。」
「助けてくれた人に、自分の婚約者にそんな事言うなんて・・・」
言葉がでない。
「だが実際酷い状態だ。他の女性もエドワードを見ただけで気を失うだろうな。アンナ嬢は色んな男を侍らかせていたからな。エドワードにも声をかけていたから喜んで結婚すると思ったんだが。話をした時は了承したのにこんな仕打ちをするなんて馬鹿にしている。君なら任せて大丈夫だろう。それに君は家も仕事もないんだから結婚した方がいいだろう?」
ニヤッと嫌な笑みを浮かべてこちらを見る。
殴ってやりたい。
「私この世界の人間じゃないですよ?貴族でもないから結婚は無理じゃないかなぁ?本人もご家族も嫌がるでしょう!」
「大丈夫。それは上手くやるから任せて。って言うかアイツと結婚してくれるなら爵位とかどうでもいいんだよ。」
どうでもいいって・・・
だったら
「なら、本人に会えますか?」
「えっ?会うのかい?」
「帰らせてくれるなら会いませんよ?帰らせる気もなく結婚させる気しかないくせに何いってんですか?どうせいつか会うんです。だったら早い方がいいでしょう。それから考えます。相手の気持ちもあるんで無理強いしないで下さいね。」
レイモンド様はふぅと一息つくと
「わかった。ただしエドワードの怪我は酷い。見て倒れるかもしれん。ただ、化け物とか酷い言葉は言わないでほしい。」
「倒れても介抱してもらえますよね?彼にはあなた達がいるんだから大丈夫でしょ?任せますよ。」
「では、行こうか。」
レイモンド様について行く。
このドレス歩きにくい。
離れで暮らしているらしく部屋の前に着くとパトリックがノックをして声をかける。
中から返事があり扉を開けて入る。
そこにいたのは
ミルクティー色の髪に鳶色の目のキラキラ男と
仮面をつけた銀髪の男だった。




