第二話 いつもの朝
六花はいつも通りの時間に起きると、まずは顔を洗った。それからまた自分の部屋に戻り、今日の授業の予習を済ませ、母親が作った朝食を食べて家を出る。
家を出るが、そのまま登校はしない。六花はいつも隣の家に住んでいる幼馴染と一緒に登校しているため、彼女が出てくるのを待っていた。
佐々木六花はどこにでもいる普通の小学六年生だ。
強いて他の子とは違うところを挙げるとすれば二点。
一つ目は勉強が好きで、塾に通ってるわけでもないのに成績がクラスで一番なこと。六花は小学生になってから九十点以下の点数は取ったことがない優等生だった。
そういえば今日は算数の小テストがある。また林のバカにヤマ教えろとか言われるかなと思うと無意識にため息が出てしまい、何だか憂鬱になってくる。
「六花ちゃん、おまたせー」
幼馴染の乾理沙が隣の家から出てくる。
「理沙、おはよ」
六花は微笑みながら理沙に手を振った。
憂鬱な気分も、幼馴染の顔を見ると吹き飛んでしまう六花だった。
それから二人並んで、いつも通り他愛のない話をしながら通学路を歩いていく。
六花が他の子と違う点の二つ目。
――――それは、この幼馴染の少女に恋をしているということだった。