私たちだけの世界
奇妙な世界。現実ではない
その少年は破天荒だった
不穏を纏い
破壊行為
フラっと現れてはフラっと消える
異常な程の行為はエスカレート
もう誰の手にも負えない
周りの人間も
面白がっていた仲間も
不気味に思って離れていった
独りになった彼が気がかりで
協力したいと言った
一体何に?
無言を貫く彼のあとを
追いかけて返事を待つ
ある日、ある女の子が死亡した
自殺だと言われたものの
まず疑われたのは彼だった
そのまま彼は姿を消した
彼を探し歩く
無一文でも構いなく
ようやく繋がった電話で彼は言った
俺が放射能の存在を教えたと
被害者の家族のもとを訪れてほしい
彼にそう言われた
ただの同級生のフリして
ふとした言葉、何か引っかかって
彼との関係がバレて逃げた
走りながら助けを求める
現在地情報を送り続けて
鳴り響くサイレン
緊迫感と夜の街
充電はすでに11%
大きな団地の入り口
そこに彼はいた
やっと会えた
その団地の上層階
ベランダに立つ
どうして逃げないの
追っ手が駆け付ける中
彼は両手を広げて歌う
私はその手を握った