朝になれ、今すぐに
※この作品はフィクションであり、専門用語は創作です。信じないで!
「恭子はお見合い結婚したそうです。」「さて、一番年上は何歳でしょう。」「ブーケトスもそんな感じ。」「いっしょに食事をするだけの簡単なお仕事です。」「マグロ係」「七つまでは神のうち」「店長、シフト変更してください。」「たぬきとどくだみ」「むじなとあしたば」「不思議な道具なんかより、あのあおいねこちゃんがほしいと思ったことはないか。」「職業:家政婦」「人見知りだっていいじゃない」「メンズPコート/税込13,200円」「男はどこへ消えたのか」「初乃は夢を見ない」「権助、与平、兵吾」「古井戸の底には何があり」「ギギ」の続きです。
お読みいただければ、幸いと存じます。
考え方は人それぞれだと、いうことを理解した上で言うのだが。
神とは、人智を超えた存在であるがその「神」という存在を造り出したのは、人間だ。
人間が信じている限り、神は存在出来得るし
人間が誰一人、信じなくなった時点で神は存在を否定される。
人間による信仰が、神を生かしている。
それなのに神は人間の上に立っている、それを「俺は」謎に思っている。
夢の中のコーヒーには、味がない。匂いも味も、何もない。
あたたかい「何か」を、口に含んでいる感覚だ。
喉を通る温かい何かは、本当に胃の府へ入ったのだろうか。
初乃の目の前にいる男は、とても美味しそうにカップの中身を飲んでいた。
それが少し、羨ましい。
「いま、午前二時くらいだ。」
ふいに男がそう言った、何かを指差しながら。
初乃が、指差した方を見ると大きな時計台が見える。針は二時を指していた。
「今回はゆっくり話が出来そうだな、おまえが小便で起きない限りは。」
妙齢の婦人に向かって失礼な物言いだ。
だが今回も、初乃の声は出なかった。
ささやかな抵抗のつもりで、初乃は不服そうな顔をしてみる。
「不服そうだな。」
まあ、割と。
「ただ、声を出せないのは俺のせいじゃあない。
おまえが元来、寝言を言わない性質だからだ。」
初乃はただ黙って、それを聞く。
「で、お前は曲がりなりにも巫一族の長子だ。「この空間」が巫の、神託の場ではないかと疑っているのではないのか。」
それはそうだが、転生し今まで生きてきた中で巫の力が目覚めたことはなかった。目覚めなかった、というより元からそんなものはないのだと言いたい。
初乃として生まれてから、過度の期待を背負っていたのは理解していた。だが私は、その期待に応えられなかったのだ。
いつまで経っても神の声を聞くことができない、神託がない。私は「父」と違って折檻されることはなかったけれど、師匠の呆れたような溜息を浴びせられることになった。
「俺を神と呼び、崇める輩は多い。」
ほう、やはり。
「だが俺自身が、神である証拠はない。」
あ?
「そもそもの話になるが、神とは如何様にして自分を神と定義している。石をパンに変えるのが神か、水をワインに変えるのが神か。予言をするのが神か、神託により人間を救うのが神なのか。」
そんなことを言われても、分からない。
「神は、祟るのが基本だと言う奴もいるが。」
神のくせに難しいこと考えてんじゃねえよ。
定期更新、26作目です
お読みいただければ、幸いです。