2.憧れ(?)の契約
「え、え……? なにこれ、どうなってるの……?」
驚きを通り越して放心しているような心境で、私はマスコットに顔を近づけた。
「僕の名前はバニー! 驚かせてごめんね。……ところで、君は『魔法少女』って知ってる?」
私は戸惑いながら頷いた。幼少期から現在まで、アニメや漫画で魔法少女を腐るほど見てきた。
しかし、そんなこと今の状況ではどうでもいい話なのでは……?
「それはよかった! なら話は早い! ……君は今、魔法少女になる権利を手に入れたんだよ!」
マスコット――バニーは真剣な色が混じった笑顔で私に手を差し出した。
「僕が君を魔法少女にしてあげる! 君が僕の手を取った瞬間、晴れて君は魔法少女になるよ!」
その言葉を聞いた瞬間、私は深く考えずに半ば無意識にバニーの小さな手に指先を乗せてしまっていた。
「っ!?」
バニーの手と私の指の間で閃光が走った。思わず目をつぶった直後、手の中の硬い感触に感触に気が付いた。
恐る恐る目を開いて手を見ると、いつの間にか手にカッターを握っていることが分かった。
「さぁ、それで手首を切ってみて?」
首をこてんと傾げて、微笑むバニー。
対照的に私は顔を引きつらせて固まってしまった。