夜の回想
初めての投稿です。
暖かい目で見て頂ければ幸いです('ω')
日が昇り、働く者、近所の住民と話す者、友人と遊ぶ者を照らす。
多くの人が住む街は丸くなっており、木で出来た塀で囲まれている、その塀からさらに数百メートル程離れた所に森がある。森もまた、街を囲うように円形状になっていた。
塀の南北には門が二つにある。門から入ると畑があり人々が作物を採取している。その姿を見ながら歩くと広場に出た。
広場には三つの井戸があり子供達が水を汲んでいた。子供達は汲み上げた水を瓶に入れ家に持って帰ってゆく。
子供達の邪魔にならないよう広場の隅で見ていたが、子供が半数になったのを確認してまた歩き出す。
少しして一軒の家に近づく。その家の前で立っていた男は近づいて来るのを見て家へと招き入れる。
家の中には二人用のテーブルと二脚のイスがあった。
「先に座っていろ。今飲み物を持ってくる」
男はそう言い奥の部屋に入っていった。
程なくして男が二つの瓶と骨が付いた肉を持ってきた。
「こんな辺境の街だ、エールしかないが我慢してくれ」
男は笑いながら瓶を一つ渡した。
「久し振りの再開に」
男が瓶を掲げてくる。その瓶に軽く当てエールをあおる。
「あれから三年か」
瓶を置き、肉に噛みつきつつ窓から見える街の灯を見ながら男が呟いた。
「今となっては昔話として話せるが、当時は大変だったな。まぁ、楽しいこともそれぐらいあったが……お前もそう思うだろ?」
悲しみを抑え込むように笑みを向けてくるが、笑みに隠しきれていないのか今にも泣きそうな表情になっていた。
そのことに気が付いたのか、ごまかすように瓶を傾ける。
「……ふぅ。あれからお前は何をしていた? ……俺は、いや俺達はお前を探したんだ……そう探したんだよ……」
瓶の中のエールをゆっくりとかき混ぜるかのように回す。瓶を見つめる男からは笑みが消え、飼い主に捨てられた子犬の様に何かに縋る目をしていた。
「お前が突然いなくなって俺達は国のあちこちを探したんだ。本当はお前を探すために依頼を一切受ける気はなかったが、国王には逆らえないからな受けた依頼をこなしながら俺達に出来る限りのことをしていたが見つけられなかった…そのお前がこうやって会いに来たんだもんな、本当にお前の事はわからないよ」
瓶を置き正面からこちらを見つめる。男は真剣な顔を向けながら頭を下げた。
「見つけられなくてすまなかった、お前を見つけられなかった俺に会いに来てくれてありがとう」
男の言葉と行動には、本心だという事が伝わってくる。
数十秒間二人を静寂が包みこんだ。
「……お前は俺達を責めないのか? お前を見捨てたんだぞ」
静寂を破るように男が頭を上げながら問う。男の表情には先ほどの真剣な表情か消え、子犬の様に縋る目が戻っていた。
「あの依頼を五人で受けた時、俺達は自惚れてたんだ」
男は顔を顰めながら過去の出来事を話し始めた。
あれは今から三年と十か月ぐらい前か。
当時お前がリーダーで、俺、エレナ、ジェニファー、マナの五人でパーティーを組んでいた時に受けたジザの森を調査するっていう依頼を受けたよな。
あの依頼はかなりの金額で怪しいと言ったのを今でも覚えてる。
依頼主が領主ってのも怪しかったしな。
俺達はAランクでもトップの冒険者パーティーだったから、領主と面識があり依頼が出て直ぐに会いに行ったよな。
でも、領主に聞いても何も情報は得られなかった。得られたのはとんでもない危険なもんだってことか。
依頼が出されて次の日だっけか、あの噂が耳に入ってきたのは。
勇者が異世界からやって来た。
勇者が魔王を倒すために現れた。
勇者は四人。
勇者はジザの森に行くらしい。
あれは衝撃的だったな、俺達が行く予定だったジザの森に勇者も行くっていうんだからな。
本来だったら他の奴等と笑いながら話を出来るんだが、依頼と勇者の目的地が一致しちまった。
話合って出た可能性が二つ、勇者達がやりやすい様にする露払いと、勇者の指南役。
二つになった理由は依頼内容だった。
依頼内容はジザの森の調査、調査という言葉にどんな意味が隠れているのかによって二つに別れた。
まぁ、二つとも貴族が絡んでることが分かってるから出て来た可能性だがな。
俺達の国は珍しく貴族間の権力争いも、冒険者に対する偏見も少ない。勿論全く無いとは言えなかったが、偏見を持っていても野蛮な奴らが中には居るって事ぐらいだな。当然っちゃ当然だが。
話を戻すが調査ってことは、当然魔物と出会い戦闘になる事もある。その時、後から来る勇者の負担を減らすための勇者の露払いっていう考え。
もう一つは魔物との戦い方を覚えるのは騎士団よりも冒険者に教わったほうが良い、てな考えだな。
冒険者は殆ど毎日魔物と戦ってるが、騎士団は基本的に緊急事態に対処する為にいる、その為魔物と戦う事があるが冒険者の様に毎日ではない。
それに騎士団は市街戦を得意とし、森での戦闘は得意ではないし、市民を守る為、防御に特化した戦い方だから攻撃力が不安である。その為、冒険者の中でもトップランクである俺達に依頼したってのが俺達の考えだったな。
実際はその両方だったが。
ジザの森に着いて俺達を待っていたのは四人の勇者と、騎士団の連中だった。
勇者パーティーはリーダーで魔法使いのダイキ、楯戦士のシュン、盗賊のアカネ、僧侶のミキの四人、楯がいるのは防御は安心だが攻撃はどうなるのかって思ったんだがシュンが楯を捨てて突っ込むのには驚いたな。
そんな勇者だが、初めは違和感が凄かったな。
勇者の力は俺達と同じ位だったが、あいつらは幼かった。
おい、なんだその目は。俺はロリコンじゃねぇ! いつも言ってんだろうが、俺は子供よりも大人な女性が好きなんだ!
……話を戻すぞ。あいつらは玩具を貰った子供みたいに自分がどんなにヤバい力を持っているのか分かっていなかったんだ。
あいつらは、誰にでもあるだろう子供の時の願いが叶った状態だったんだ。
子供の時、親に聞かされた勇者の話があっただろう? 勇者に選ばれた者が圧倒的な力で魔王を倒し世界を救う、って話だ。
そんな勇者になったんだ、浮かれるのも仕方がないことなのかもしれないが、初めての戦闘で幼いっていうより、甘いと思ったがな。
あいつらは戦っている時はちゃんとしてるんだが、いざ殺すとなると顔色を悪くするんだよな。魔法使いだったダイキを覚えているか?あいつなんか魔物を解体した時頬に血が飛んで付いたら吐いていたもんな。勇者がそんなんで大丈夫か不安になったな。
ま、楽しかった事もあったしな。
森に入り始めて一週間経った時に休みを取っただろ?
お前も言いたい事が分かったか。
まぁ休日もダイキ達に言われて取ったようなもんだが、お前にとっては地獄だったか?
久々の休日でゆっくり休もうとしたんだが朝食を食ってる時にシュンの発言でお前が休め無くなってよ、面白かったぜ……って悪い悪いそんな睨むなよお前も少しは楽しかったんじゃないのか?
ジザの森近くの街ジザに俺達はいた。
休みが欲しいっていう勇者の申し出を呑んだからだ。
街には始めにいた騎士団は居なくなっていた。
街は王都に次ぐ程の大きさだと言われていた。その為街には様々な店がある。
俺達はジザに来たら絶対に泊まると決めている宿屋「妖精の止まり木」に向かっていった。
「いらっしゃいませー! お泊りで……レオンさん!」
宿の看板娘であるシーナがスカートの裾を翻しながら駆けてくる。
「やぁシーナ。久し振り、元気そうで何よりだよ」
目の前で止まったシーナに声を掛ける。
「レオンさんお久しぶりです、今回も依頼で?」
「ああ、そうだよ。今は人を鍛えているんだ」
鍛えているといったことでシーナの表情から笑みが消え、不思議そうに俺の顔を覗き込んでくる。
「レオンさん達が誰かを鍛えるのは珍しいですね」
「俺達はAランクだから教えるのはそれなりの金額になるからあまり依頼が来ないしな」
「そうなんですか? 幾ら位なんですか?」
「うーんDランクが一週間で銀貨二枚、そこから倍になっていくから…」
「銀貨十枚、つまり金貨一枚ですか⁉」
不思議そうにしていたのが今度は驚愕に染まっていった。
そんなシーナを可愛いと思いながら見ているとジェニファーに脇腹を摘まれた。
「いつまで話してんの、早く部屋を取りなさいよ」
「痛いよジェニファー、分かった今取るから」
摘まれた所を擦りながらジェニファーに訴え掛けるように見る。
しかしジェニファーは拗ねたように顔を背けた。
「シーナ、部屋は空いてるかい?」
ジェニファーの機嫌を取るためにシーナに話しかける。
「はい、空いていますよ。二人部屋と三人部屋が一つずつですね?」
レオン達がいつも泊まるときの部屋数を確認する。
「いや、今回は連れがいるから、四人部屋を一つ追加してくれ」
シーナがそう言うのが分かっていたのかすぐに部屋の追加を求める。
「四人部屋ですか?」
「ああ、こいつらも泊まるんだ」
そう言い不思議そうに首を傾けたシーナに後ろの人物が見えるように横にずれる。
そこには武器を装備した四人がいた。
「その人達はどのような方なんですか?」
「彼等は依頼主、さっき言った今鍛えている者達だよ」
シーナの正面に立つようになった四人はシーナに向かって頭を下げる。
頭を下げられたシーナも頭を下げた。
「初めまして私はシーナといいます。ここでウエイトレスとして働いています、これからよろしくおねがいしますね」
頭を上げたシーナは笑みを浮かべながら自己紹介をした。
「初めまして自分はダイキといいます。こちらはシュン、アカネ、ミキですこれから数日間よろしくお願いしますね」
「「「よろしくお願いします」」」
ダイキの言葉に合わせて全員で頭を下げる。
「てことで、こいつらが泊まる部屋が欲しいんだが」
シーナとダイキの挨拶が終わったところで部屋について確認する。
「はい大丈夫ですよ」
「そうか、じゃあ案内してくれ」
「はいこっちです」
部屋に案内される九人。
二階へと続く階段を上って三つ目と四つ目、五つ目に案内される。
「ではここになりますね。これが部屋の鍵になります」
部屋につき鍵を渡すシーナ。
「宿の説明は…」
「大丈夫来る前にしといたから」
説明はどうします? といった表情でこちらを見てくるシーナに笑いかける。
「わかりました。では下にいるので何かあったら言ってくださいね」
「ああ、ありがとう」
シーナが説明は要らないと聞き、一階へと降りていく。
「まずは部屋に入ろうか」
シーナを見送り部屋に入っていく。
「そんでこれからどうすんだ?」
「そうね、それが気になるわ」
「お金は騎士団の方がくれたので一ヶ月は大丈夫ですが…」
「…そんなにいたら体が鈍る」
ライル、ジェニファー、エレナ、マナがレオンを見ながら言った。
四人と同じ事を思ったのかダイキ達もレオンを見る。
「そうだね。金銭的に余裕があってもそこまでは居ないよ。そうだな、大体二日かな」
レオンの言葉に納得の表情を四人は浮かべたが、ダイキ達は驚愕で染まった顔をしながら、レオンに詰め寄る。
「レ、レオンさんそれは本当ですか!」
「そ、そうだせめて四日、四日にしてくれ」
「それは駄目だ。君達には早く戦闘に、生き物を殺す事に慣れてもらわなくちゃいけないんだから」
顔色が青くなっているダイキとシュンが訴えかけるがレオンは決定を変えるつもりは無いというように二人を見つめ返した。
「で、でも武器も手入れしないといけないし」
「大丈夫君達のは、この国最高峰の鍛冶師が造ったんだ、そんじょそこらの魔物では壊す事なんて出来ないし、ここにはその鍛冶師の弟子がいるんだ、整備なら一日で出来るよ」
二人に続いてアカネも聞くが、こちらもレオンに却下された。
「ポーションや食料はどうするんですか?」
「うん、それは僕達で用意するから安心してゆっくりしていていいよ。でも武器を出す時は一緒に来てね」
「「「「……分かりました」」」」
全員の言い分が全てレオンに却下された為落ち込むダイキ達。
「ハッハッハッハッハッ! レオンに全部却下されてやがるぜ!」
「ライル! そんなこと言わないの、可哀そうでしょ!」
「ジェニファー、今のあなたも酷いわよ」
「ええっ!」
「……無自覚に止めをさした」
「マナまで⁉ そこまでだった⁉」
「ハッハッハッハッハ! 皆に言われてやがる!」
「もとはと言えばあんたのせいでしょ!」
ライルを責めるつもりが二人に責められるかたちになったジェニファーは裏切られた、といった表情を見せたが、ライルに笑われた為ライルに向かって怒った。
「まぁまぁ、そこまでにしてそろそろ話を進めよう?」
「ほら、レオンが言ってるぞ?」
「くっ! 後で覚えていなさいよ!」
レオンにより止められたジェニファーは、ライルを睨みつけてからそっぽを向き、睨まれたライルは変わらずに笑う
そんな二人を見てレオンは苦笑いしていた。
「それじゃあ話を戻すけどこれから武器を出しに行こうと思うんだけど、何か問題、もしくはやりたいことあるかい?」
言ってから皆を見渡す。
ダイキ達は先程よりは良いが顔色が優れず、ジェニファーは拗ねたように顔を合わせず、エレナは微笑んでいる。
そんな中、一人が手を挙げた。
「…武器を出した後はどうするの?」
「そうだね…ダイキ達はそのまま自由にしてもらって、俺と誰か一人はポーションとか揃えに行きたいね」
「本当ですか⁉」
マナの質問にレオンが答えるとダイキ達が食いついてきた。
「ああ、ポーションや食料などはこっちで買おうと思っていたしね」
レオンの言葉を聞き両手を上げ喜ぶダイキ達。そんな彼等をレオンは笑いながら見ていた。
「い、一緒に買いに行くのは決まっているの?」
「うん? まだ決めてないけど」
先程まで拗ねたように顔を合わせていなかったジェニファーがレオンを頬を紅く染めながら見ていた。
見つめられているレオンはジェニファーが頬を染めている理由が分からず、首を傾げながら答える。
「な、なら私が……」
「……私が一緒に行く」
「一緒に……って、え?」
ジェニファーが恥ずかしそうに言っている途中に割り込む形でマナが行くと名乗りを上げた。邪魔をされた形になったジェニファーは予想外の出来事に止まってしまった。
「ありがとうマナ、よろしくね」
「……ん」
レオンは名乗りあげてくれたマナに礼を言う。レオンに礼を言われたマナは頬をほんのり紅く染めながら返事をした。
ちなみにジェニファーはまだ止まっている。
「よし、来てくれる人も決まったし皆で武器を出しに行こうか」
「「「「はい」」」」
「おう」
「はい」
「……うん」
レオンの言葉で全員が荷物の準備を始めた。ただしジェニファーを除く。
「ジェニファー早くしないと皆に置いて行かれちゃうよ?」
エレナが固まっているジェニファーを自分達の部屋に連れて行く。
「それじゃあ私達も」
アカネとミキも部屋を出て行った。
「それじゃあ僕達も準備しようか」
レオンに合わせて男達も手を動かし始めた。
三十分後宿の前で全員が揃っていた。
先程まで固まっていたジェニファーもいつもの感じに戻っていた。
「それじゃあ行こうか」
全員が揃ったのを確認したレオンが歩き始める。皆もレオンの後に続いて行く。
少し歩くと広場に出た。
そこでは様々な物が売っていた。猿の置物やブレスレット、食器などがあった。
「皆後で来れるからちゃんとついて来てね」
「「「「す、すいません」」」」
ダイキ達が広場を見渡して間が出来た為に注意をする。
「仕方ねぇよ。俺だって来た時はいろんなもんに驚いたからな」
「あんたの場合は全部食べ物だったじゃない」
「ハハハ。まぁ僕も驚いていたからあまり強く言えないけれど、離れないようにしてね。ここでは離れるとすぐには会えなくなっちゃうから」
「「「「はい」」」」
ライルとジェニファーの会話を笑いながら聞いていたレオンがダイキ達に注意を促す。注意を受けたダイキ達は顔を引き締め歩いて行く。
歩いて数分すると先程の広場と違い人気が無い道に入った。
「レ、レオンさんここで良いんですか?」
道を歩きやがて一軒の家の前で止まったレオンにダイキが聞く。
「うん、ここだよ。さぁ入ろうか」
そう言い中に入っていくレオンに続いてライル、ジェニファー、エレナ、マナが入っていく。ダイキ達も慌てて入っていく。
「やあバルド、久しぶり」
レオンは、カウンターにいた男に近づいていく。
「おお、レオンじゃないか久しぶりだな」
バルドは近づいて来るレオンに笑って見せた。
「なんだ、今日はどうしたんだ?」
「今日は武器の手入れをして貰おうと思ってね」
「成程、またあの森に行ったのか。分かった、やろう。後ろの奴等もだな?」
「ああ、頼めるかい」
「任せておけ、明日の朝には新品同様にしてやるぜ」
「いつもどうり頼もしいね」
「よせよ、照れるだろうが」
「それじゃあ皆武器を出して」
入って直ぐに話が進んでいき気付いたら武器を預ける所まで行っていたことに慌てつつも武器を出していくダイキ達。
「ん? やっぱりそれは師匠の造った物じゃねぇか」
ダイキ達が取り出した武器を見て目を見開くバルド。
「そうなんだ、バルドなら大丈夫だよね?」
驚いているバルドに対して、まさか師匠の武器を駄目にしないよな? と含みのある言葉を放つ。
「師匠の武器を整備できずに弟子なんか名乗る訳ねぇだろうが」
レオンの挑発に乗ったバルドはそう言い奥に武器を持って消えていった。
「レオンさん自分達はどうすれば?」
ダイキは、武器を持って消えていったバルドに驚きこれから何をすればいいのか判断を仰いだ。
「これでバルドがやってくれるだろうから、自由にしていいよ」
「分かりました。じゃあ行こうか」
レオンの言葉を聞きダイキ達が店から出て行った。
「そんじゃ俺も行ってくるぜ」
「あんたお金を持っていないのにどこに行くってのよ少しは考えて……って、ちょっと待ちなさいよ!」
ライルが店を出ていき、その後をジェニファーが慌てて追い駆けていく。
「ハハ、じゃあ僕達も行こうか」
「ちょっと待ってください」
マナと買い物に行こうとしたレオンだったが、エレナに声を掛けられて止まる。
「うん? どうしたんだいエレナ」
「レオンさん、明日は空いていますか?」
「うん、空いてるけど」
エレナは翌日の予定を聞いてきた。
「では明日私に付き合って頂けないでしょうか」
「いいよ」
エレナの誘いにレオンは乗った。
「ありがとうございます。であ私も二人を追い駆けるのでまた後で」
「またね」
エレナはレオンの答えを聞くと店を出て二人を追い駆けて行った。
「それじゃあ行こうか」
エレナを見送ったレオンはマナに話かけ店を出ていく。
「……帰ったら大変だね」
「え? 何が?」
「……何でもない」
マナは帰ったらジェニファーを機嫌が悪くなっているだろうから大変だと言ったのだが、レオンは気付かなかった。
「へー、そんなことになったから一日休みが伸びたのか」
ライルは計二十本目になる瓶を傾けていた。
「どうせあれだろ? ジェニファーが羨ましがって駄々を捏ねたっていうんだろ?」
肉を咀嚼して問う。
「あの時はまだ楽しかったしな、でも数日後には……」
そう言い俯き黙り込んでしまう。
沈黙が空間を支配していた。
「……おっと、悪い悪い。すまんな、話の続きを……っともうこんな時間か、話をすると時間が過ぎるのが早いと感じるな」
沈黙を破り話を続けようとするが、すでに辺りの家からは光が消え後はこの家だけとなっていた。
「もう少し話していたかったが明日もあるしな、もう寝るとするか」
そう言い毛布を持って来るライル。
「ほれ、これを使え。ん? ああ、ここにはベットは無いんだすまんが適当に寝てくれ」
ライルはそう言うと横になり毛布に包まってしまった。
「……生きていてくれてありがとう」
ライルはそう呟き寝てしまった。
最後に残った家の光が消え街を暗闇が覆う。天には数多の星が煌めき暗闇に漂う光、という幻想的な空間を生み出していた
続きは……一か月後かな(/ω\)