8話 一難去ってまた一難
それからしばらくして、ディアバルが額に汗をにじませ始めた。心なしか、息も荒いような気がする。恐らく、魔力が無くなり始めているのだろう。
「ゲホッ…ハァハァ……ユウカ、その…さっき殺った、鳥をくれ…」
先程まで、自分の遥上まで行ってしまっているような雰囲気を漂わせていたディアバルが、とても脆く見え、堪らなくなり私はギュッと抱きしめ、黒い鳥を渡した。
ディアバルが崩れ落ちそうになるのを、必死に受け止め、ゆっくりとおろして行く。
そんな私に、痛々しい笑みを浮かべ頭を撫でてくれるディアバル。
ディアバルは、私から黒い鳥を受け取ると此方をチラリと見てから黒い鳥に貪りついた。
グチャ…ネチャ…ゴリゴリ…ニチョ…ゴクン
そんな、生々しい効果音が私達のいるだだっ広い野原に響く。
内蔵や血が溢れ出すのを見て、私は顔を顰めるが、これでディアバルが回復するならと、静かに見守る。
ディアバルは、骨だけになってしまった黒い鳥を、放ると私にズシリと寄りかかってきた。
「ゴホッ……あの鳥はCクラスの魔物、ダークバーディー。漆黒の身体を持ちし空の暗殺者。ま、そんなことは置いといて、魔物は体内に魔石ってのを持っているんだ。その魔石を壊すと経験値ってのが手に入ってレベルを上げるんだけど……ここまでわかった?」
気になる言葉が沢山あるが、今は続きを聞こうと思い、コクンと頷く。
「その魔石は、魔物の強さによって与えられる経験値が比例される。だが、僕にはレベルなんてものは存在しないんだ。だから、魔石壊しても何も得られるものはない。でも、食べると魔力となって与えてくれるんだ。だから、鳥を食べたってわけさ」
やれやれだよ、と言って肩を竦めるディアバル。さっきの弱り具合は何処へやら。もう一回、あの状態になればいいのに。
え?私?絶対嫌だ。
「へーそうなんだー」
「…全然心配してないよね、ユウカ」
棒読みで返す私に、ジト目で見てくるディアバル。私はついつい右上に向けてしまう視線を彷徨わせる。
「はぁ、まぁいいよ。とりあえず、魔物が血の匂いに釣られてこっちに来てる。…ユウカ、君が戦うんだ」
ナ、ナンダッテー!?
「む、無理。無理無理無理!第一、私がどう戦うって言うのさ!」
私が、ナニイッテンノアタマダイジョウブデスカー!?という目をディアバルに向ける。
「そうだな…君は精神攻撃に適性があるから、僕の魔力を放つだけで付与している呪いが最大限に引き出されるだろう。」
ディアバルは、一人で何かに納得し一人で計画を練り始める。
「ちょ、ちょっと待ちなされ!」
焦りまくってる私に訝しげに眉間に皺を寄せたディアバル。イケメン顏が台無しでっせ、旦那。
「私、魔力放出のやり方なんて知らないし!少しは教えてくれてもいいんじゃないの!?」
「魔物に攻撃する時に教えてあげるよ。だから安心しなって」
できるかーーー!!!
今日、クラスの男子女子友達計6人で初めてメイド喫茶に行きました。
最初は、近所の某ファミレスでいいんじゃないかという意見が上がっていたのですが、私と親友ちゃんによるダブル攻撃でメイド喫茶に決定。前々から狙ってたんです!
行ってみると、新しい扉を開きそうになりましたよ、百合という。