5話 神の家庭事情
テスト期間終わったーー!!ヒャッハァァ!!!
これで、マミーによる私への封印は解かれたぜぇ!!
と、いうことで執筆開始致します。
ディアバルが、形だけの謝罪をしたことでセバスさんの怒りは一先ず収まったが、何故か私の斜め後ろにセバスさんがいてディアバルに殺気を送っている気がするのは私だけだろうか。
「あ、そういえば収穫祭では何をもらったの?」
「うん?収穫祭ってなんぞ?」
「っ!!」
ディアバルの口から聞き慣れない”収穫祭”という単語が飛び出した瞬間、後ろのセバスさんが声にならない叫びをあげた。
「あれ?不発だったのかな…」
ディアバルは、眉間にしわを寄せ「う~む」と唸った。
「でも、魔力の危機に追い込まれたんだけどなぁ…」
目の前のクソ神が、魔力とか意味わからんことをほざいていると、セバスさんがヨロヨロと前に出て震えた。
あちゃー、これ日常茶番時なんだとすればセバスさんホントに可哀想。
「…お嬢様、収穫祭というものはですね、自らの全ての魔力と引き換えに神の権力を持ったものが世界の声に申請し起こす、人間界では”神与祭”というものなのですが、収穫祭は本来一人の人間に起こすものではないのですよ。何故かといいますと、与えた魔力に精神が耐えられなくなり、魔力の暴走を起こしてしまうからです。なのに、貴方は自身の精神領域で今こうして生きているということで、魔力の暴走を捻じ伏せたということ。これは、前代未聞の大事件であり、異界の門を開いてあちらの世界へ行ったとしても貴方はイレギュラーとして追い返され、もう戻る術はないということになってしまうのです!」
セバスさんは、目を血走らせ肩で息をする。
ディアバルは、鼻に小指を入れ目に見えない速さでほじっている。おい。
「というと?」
「貴方は、もうこちらの世界の住人であり死神の収穫祭を貴方のみで受けた特別な存在であり、死神初の収穫祭を受けた”死神の加護””死神の初子”の称号を持つ超特別な存在であり、死神の魔力を持った超超特別な存在なのです!!」
よし、私は転生してチートになったというよくある設定で、超超素晴らしい存在なのだな!
全ては、計画通りだ!えっへん!
って、ちょっと待てぇい!!
「世界の声ってなんぞ?異界の門ってなんぞ?”死神の加護”ってなんぞ?”死神の初子”ってなんぞ?死神の魔力ってなんぞ!?」
意味は分からんけど、死神が予想以上にやばい奴ってことはわかった!
「これから、此方の世界で生活していかれるお嬢様には全て大切な情報なりましょう。お聞き逃さないことをお勧めします。
まず、世界の声ですがこれは主様のもう亡くなられたお父様…つまりはこの世界の全てを支配する”神”の称号を持ちし、偉大なる御方ノヴァディア様の奥様のクラウディア様の命と引き換えに設定したものです。全ては世界の安寧のため「違うよ。」主様!」
途中、セバスさんの言葉を渡ってまだ高速で鼻をほじっているディアバルが言った。
目は、先程の柔らかさが消え鋭い眼光がセバスさんを睨んでいた。その、目にセバスさんは震えあがる。死と隣り合わせになっているような感覚に陥りそうな目。恐らく、普通の人間ならこれだけで死んでいるのだろう。
「アイツは、自分の嫁を殺すのに一切躊躇していなかった。それから、母は自身の精神領域で今も苦しんでいる。それが、世界の安寧のために自分の嫁にする行為か?笑わせないでほしいよ。転生スキルのせいで無理やり生き返らされ、今も自分の精神領域で口を動かされながら静かに泣いているだろうよ。あんな奴は、早く死んでしまえばよかったんだ。だから、称号システムを教えてあげた。アイツは、全く苦しまず死んだんだ。今半殺しを味わっている母に比べればそんなの全然マシさ」
ディアバルは、感情の読めない無表情な顔をして、セバスさんは苦虫を噛み潰したような顔をした。セバスさんは、その真実を受け止めたくないのだろうなと、何も感じない私は思う。
「つまりは、世界の声はディアバルのお母さんで今も苦しみながら話していると。そして、その状況を作ったのはディアバルのお父さん。そのお父さんは、ディアバルの紹介した称号システムとやらで、死んだと。これで合ってる?」
セバスさんに、顔を向けるが答えてくれそうにもないので、ディアバルに顔を向けると「そうだよ」と言った。
「てか、私が聞きたかったのはその世界の声がどういう仕事をしているのかなんだけど…」
私は、そんな悲しい家庭事情なんて興味もないし知りたくもなかったんだが…。
あれ?このノリは聞いた私が悪いてきな?誤解です、おまわりさん!
というか、話聞いてて思ったんだけど…。
私、凄い厄介な世界に転生しちゃった?