4話 靄の正体
只今、失神してしまったディアバルの執事、セバスさんの看病をしておりまする。
そして、こう凝視してみて思ったんだが、セバスさんは、ディアバル同様靄がかかった様に所々見えない。
「のう、ディアバルさんや。なんで二人共こう、靄がかかったように容姿が見えないのかね?」
ディアバルは、私の疑問に眉を顰め、暫くしてからあぁ!と声をあげた。
「それは、君が無意識に僕達イレギュラーの精神領域への侵入を抵抗しているからさ。」
「精神領域?」
「あ、精神領域っていうのは、簡単に言うと自身の身体に宿っている精神の世界って感じかな。精神領域は、自分自身の精神の表れ。そこには、他の者が入っていいはずもなく、僕が入っているのを追い出そうと君が無意識に僕達に抵抗したら、少し抵抗に成功し、僕達の姿に靄が、って感じかな」
なるほど、よくわからん。
「つまりは、私が自分で靄をかけてるってこと?」
「まあ、そんなところ」
そんな会話をしていたら、私の足元で転がっているセバスさんがピクリと動いた。
「あ、セバスさん。無理は、しないでくださいね。」
私は、起き上がろうともがいているセバスさんの腰を支え、ゆっくり起こしていく。
なんだろうか、このセバスさんから溢れ出る苦労人感は。
「面目無い。最近どうにも体の調子が…って、主!どういうことですか!まずは、深い謝罪の意を示してください!」
セバスさんは、怒りのオーラを身に纏い、ディアバルに怒号を浴びせるが、ディアバルは知ったこっちゃないというふうに、下手くそな口笛を吹いていた。
それから、またセバスさんの説教が始まったのは言うまでも無いことだ。