10話 従者
不完全なまま10話を載せてしまいました。大変申し訳御座いませんでした。
そのあと、ユウカはまるで糸の切れた人形のようにへたりと倒れた。
そして、今僕の膝枕で寝ている。これ、多分逆だよね。
僕は、ユウカのさらさらとした、この世界では珍しい黒髪ロングストレートを撫でながら、先程死神スキル:魔属主従で調教したダークバーディーのダーディーを見た。
魔属主従とは、魔属の魔物のみ、手懐けて心を開いてくれると主従の印を刻むことができる。そうすると、主の喋る言語に合わせ言葉を喋ることができるようになる。そして、主の命令の全てに従う従順な従者の出来上がりというわけである。
だ・が!!
僕は、そんな堅苦しい主従関係は要らないと、言葉を喋るようになるとすぐに主従の印を消すのだが…
この鳥は消せなかった。いや、消させようとしなかった。
「ささ、主様!どうかこの私にご命令を!ユウカ様回復への手引きですか?ユウカ様のメンタルケアですか?あ!お二人はこの世界に来てまだ二日でしたか!では、私がユウカ様をこの翼で綺麗に拭くというのはどうでしょうか!あぁ、想像するだけで涎が…はぁ」
完っ全に、失敗したね!ダークバーディーってほぼが紳士的な性格をしているのによりによってなんでこんな変態なMバーディー手懐けちゃったかな…
「ダーディー、命令だよ」
ダーディーは、学校の運動服を着ていたユウカの短パンと太ももの間に顔を突っ込んで息を荒げるのを止め、こちらに光の速度で振り向いた。
「なっ、何でしょうか!?私にできることなら野を超え山を超え、海を超えてでもやってみせますぞ!」
ダーディーは、ユウカに熱い視線を向けながら翼を胸に当て、えっへん!とでも言うかのようにフンッと鼻を鳴らした。
本当にやりそうで怖いよ…
「君には……今すぐここから去って永久に僕とユウカに近寄らないという命令をくだそう」
「無理ですな」
さも当たり前という様に、僕を見るダーディーにイラッときた僕は普段は使わない、主従の印による精神攻撃を喰らわせた。
「ぎょえぇあああ!!
な、なにをしますか、主様!」
僕は、なんのことやら〜という顔でダーディーを見た。
ダーディーは、ムッとした顔で僕を見たので、僕もフッとダーディーを見てお互い火花を散らした。
そんな、幼稚な睨み合いはどこからか聞こえた「んっ…」というか細い声で終止符を打たれた。
「ユ、ユウカ様!大丈夫でございますか!」
ダーディーが、少し焦った様子で、慣れない二足歩行でちょこちょことユウカに寄る。
僕も、膝に眠るユウカのサラサラとした黒髪を指に絡ませながらゆっくりと頭を撫でた。ユウカのまつ毛がふるふると震えた。それから、瞼を薄く開き、もう山に隠れようとしている夕陽の光が眩しかったようで、片目をぎゅっと瞑った。
まだ、右脚は抉れたままだ。だが、ユウカの治癒力は凄まじく、もう止血は終わっていた。
ユウカ、君は将来化け物になるよ…
皆さん、お気づきになられましたでしょうか?
そう!「ディアバルの方が主人公に向いているんじゃないか」ということです。
魔界の支配者が、異世界からかわいらしい女の子を攫って育成…
ありがちなんですが、こっちの方がなんかしっくり。
そこで気づきました。
そのしっくりは駄目なんだと。私が変えてやるんだと。
ということで、要約すると「これからもよろしくお願いします」でした。