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エピローグ 『常識なんて』

 冬が終わり、春が来た。

 だからと言って何が変わるわけでもなく、俺とタツコの日常は続く。

 ……というか、あまりにも変わらなさ過ぎた。


「……あのー、タツコさんや?」

「なんだねミキくん。名探偵タツコに用でもあるのかねえ?」

「いや、あのですね……」


 俺はあの日、『最後のワガママ』として告白を受けた。

 そう、……最後、と、そう言ったのだ。


「なのに……なんで俺は未だに、あなたのワガママを聞いているのでしょうか?」

「んー、断らないミキが悪いと思うのねえ。それに、これはワガママじゃなくてお願い。わかる? この違い」


 どうしよう、全然わからねえ。


 現在俺は、とある書類に記入させられていた。

 ……どう考えたって気が早いよなあ。

 俺が記入している用紙は『婚姻届』と言う。

 ちなみに、俺はこの春で十九歳に。タツコも六月には二十歳となる。


「ああ、憧れのジューンブライト……しかもそれが二十歳の誕生日とかだったらもう本当最高よねえ!」

「……ほい、記入するだけはした。けど、まだ市役所持ってくなよ? いろいろ結婚の目処が立ってなさすぎるし」

「ん? ああ、それなら大丈夫大丈夫。もうお父さんにもお母さんにも許可は貰ってるし、なんならミキのお母さんにもOK貰ってるしねえ」

「…………、…………、…………はあ!?」


 にひー、とアホ面浮かべて幸せそうな顔をするタツコは、俺の苦悩などお構いなしに物事を進めていく。

 ……というか、恥ずかしくて母親には内緒にしていたのに……なんてことを!


「うん、よし。それじゃあ行ってきまー――」

「待て、とりあえず待て!」


 そもそも俺、就活とかあと一年は先のことだと思ってたんだけど。なに、もう働かなきゃダメ?

 就職はバイトとは訳が違う。心の準備が……。


「なあに、ミキ。結婚生活が不安? 大丈夫だって。そんなものはねえ……、」


 タツコは、記入されたばかりの婚姻届を天に掲げ、


「愛で乗り切れるから!」

「んなわけねぇええええだろ現実見やがれドアホぉおおおお――ッ!」


 とは叫んでみるものの。俺だって嬉しくてしかたがない。

 嬉しすぎて夢ではないかと何度も確認している。


 ――ああ、クソ。結婚とか、サイコーじゃねえか。


 そしてそれは、タツコも同じようで。


「ねーえ、ミキ。そんなに私と結婚するの、嫌?」

「……はあ。そんなわけ、ないだろ」

「それじゃあ、聞かせて。……ミキのワガママ」


 ――――。

 まるでイタズラが成功した子どものように可愛らしく笑ううちの彼女は、本当に可愛くて仕方がない。

 さて、『聞かせて』という彼女のワガママに応えるとしよう。


「……俺の、ワガママ」

















「――――俺と結婚してください」





 五月三十一日 入籍

 六月二十五日 挙式

 新郎 御堂ミドウ実樹ミキ

 新婦 御堂ミドウ達子タツコ





 きっと、彼女の常識を外れたワガママは、


 まだまだ、続いていく――――。








はい、おしまいです。すぐ終わるとか言っておきながらかなり時間がかかってしまいました。だというのにまとまらずいろいろ詰め込み過ぎたことを反省。

最後に一言。



爆発すればいいのに。

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