訪問。
ピンポーン…
俺達はインターフォンを押して、家から誰かが出てくるのを待っていた。しかし、しばらく待ってみても誰も出て来ようとはしないし、家の方からも、何も音はしなかった。
何も連絡してなかったし、やっぱりいないか。
「どうする誠?」
後ろの方でプカプカ浮いているアリサが、苦笑いしながら、そう言ってきた。
「んー、しばらく待ってみるか」
「はーい」
ここで待っていれば、いずれは帰ってくるはずだ。それを待ってみることにする。
念のためもう一回、インターフォンを押してみたが、結果は一回目に押した時と変わらなかった。
「暑い」
暑すぎる。
待っている間、少しでも暑さを和らげようと日陰に入っているが、空気が熱いのであまり効果はなかった。
まぁ、直接太陽に当たるよりはましだが。
しばらく待っているが、いっこうに帰ってきそうな気配はしない。
しょーがない、また夜に来てみるか。
「アリサー、今の所は帰って、また夜にこよう」
プカプカ浮いて、家の二階の窓から家の中を覗いていたアリサに声をかけた。
「うん、わかったー。」
アリサはそう言うと、ヒューと降りてきて、俺の隣へと並んだ。
いつ間にか、人の寿命が見えるあのメガネをかけている。
最後に一回だけ押してみるか。
念のため、帰る前にもう一回押してみることにした。これでダメならまた夜に来ようと思いながら、インターフォンを押す。
ピンポーン…
…。
やっぱり駄目か。まぁもとから期待はしてなかったよ。
いっこうに誰も出てくる気配はしなかった。仕方ないので、とりあえず家に帰ることにした。しかし、自分の家の方に歩き始めようとしたその時。
「はーい」
女性の声が、家から聞こえてきた。すると、その数秒後、その声の持ち主らしき女性が、ドアを開けて外に出てきた。
「どちら様ですか?」
い、いたのかよ。びっくりした
とりあえずこのチャンスを逃すわけにはいかないので、再びその家に向き直して、その女性に話しかけた。
「一ノ瀬 誠って言います。すいません!ちょっといいですか!?」
「ん?あなたは…」
いきなり前に出てきた俺を見て、少し驚いた様子のその女性は、事故の時、車に乗っていた女性で間違いなかった。
やっぱり、この人だ。
「いきなりすいません、事故の時車に乗っていた人で間違いないですよね?」
「そ、そうだけど。それより、こちらこそ謝らなければいけないわ。危ない目に合わしてごめんね」
その女性は頭を下げながら、俺に謝ってきた。
「そ、そんな。あれは俺も悪かったし、全然大丈夫ですよ!頭を上げてください!」
「はい…」
女性は頭を上げると、凄く申し訳ない顔をして、俺を見ていた。
凄く綺麗な人だ。長い黒髪は、腰ぐらいまであって、顔の方も凄く整っている。アリサが可愛い系だとしたら、この人は綺麗系だな。
「ところで、今日はどうしたのかしら?もしかして慰謝料とか?」
すごく心配そうな顔をして、その女性は聞いてきた。
「いやいや、それはもう本当にいいんで、今日はあることを聞きに来たんです。」
元はと言えば俺が、下を向いて歩いていたせいだ。この人には、何も罪は無い。
とりあえず俺は、全てのことは話さずに、事故当時のことを聞いて見ることにした。俺が不死身だなんて言っても信じてもらえないと思ったからだ。
「僕が、えっと…あなたの車に当たった時に、何かおかしなことがなかったか、聞きたいんです。」
名前がわからなかった。てか、表札見たはずなのに、ど忘れしてしまった。
「あ、名前は上原 紗希って言うの。事故の時…。…それなら、あの子が何か知ってるかも。ちょっと待っていてください」
上原 紗希さんか…。
そう言って、家に引き返した紗希さんは、しばらくすると一人の女の子を連れてきた。
女の子は眠っていたのか、まぶたをこすりながら女性の後ろの方にたっている。
俺が不思議そうにその子の方を見ていると。
「誠!その子!」
俺の後ろにいたアリサが、突然大きな声で俺にそう言ってきた。
「ど、どうした」
「その子、寿命が見えない…」
一瞬、アリサの言っていることが理解できなかった。アリサ達死神には、その目で見た人の寿命がわかるっていう能力があるらしい。そんな寿命がわかる目を通して見た、その女の子の、寿命が見えないということはいったい…。
「え、それって…どういう…」
「えっと…、どうかされましたか?」
アリサが見えない紗希さんには、俺がさっきから独り言を言っているように聞こえたのだろう、女性が少し心配したように、俺の事を見ながら言った。
「い、いや、なんでもないです。気にしないでください」
俺はとっさに誤魔化した。
大丈夫か?
「そ、そうかしら。えっと、とりあえず…ほら、ミキ」
どうやら誤魔化せたようだ。
たぶん、大丈夫かしらこの人って思われたかもしれないけど…。
ミキと呼ばれた、紗希さんの後ろにいた女の子は、背中を押されて俺たちの前に出てきた。
「ふわー…。…なんじゃ、お主らわ」
まだ眠たいのか、あくびをした後、少し虚ろな目をして、俺たちにそう言ってきた。
とりあえず、物語がやっと進んできた気がします。
これからも頑張っていきます。