05 全自動お料理採点マシーン『ミスラン』
「さあ! いよいよ始まったお料理バトル! 司会は妾、アルア=ルネータでお送りするのじゃ!」
というわけで、お料理バトルが始まった。
「今回、お料理を評価するのはこちらのマシーン! ありとあらゆる料理と人間の組み合わせを深層学習したAIが搭載されたことによって、決して間違った評価を下すことのない究極のお料理採点マシーン! ミスをしないことにあやかって、その名前は『ミスラン』と名付けたのじゃ!」
スパァン! とクーゲルのハリスカリバーがアルアの頭に炸裂する!
「な、なんじゃ? 何が悪かったのじゃ……!?」
「いや、評価方式に問題がありそうだなって」
「何を言う! ちゃんと料理だけでなく、店の雰囲気や文化、歴史的な側面も考慮するのじゃ! 時には人間らしく、星をやるからサービスしろなどと言って料理人を試すような真似までしてみせるのじゃぞ!?」
「賄賂要求してんじゃねーよ!」
スパーン、と再び引っ叩く。
「ぐぅ……こ、ここまで不評とは。大人しく初期案のまま、タイヤ製造マシーンにしておけばよかったのじゃ」
「それはそれでアウトなんじゃねぇかな?」
何となく、評価を受け取ることを拒否されそうなマシーンである。
「さて、気を取り直して選手の紹介じゃ! 赤コーナー、飯処†煉獄†のバイト!」
アルアの言葉と同時に手を上げて応える真地女。
飯処†煉獄†にひしめく野次馬たちがやんややんやと囃し立てる。
「続けて青コーナー、クーちゃんのうちのメイドさん! シーちゃんなのじゃ!」
「ふははは! 魚の捌き方を極めた吾輩に死角は無いのである!」
でかいことを言うシリーに、野次馬たちが拍手をする。
「さて! それでは何の料理で競い合ってもらうのか。クーちゃんに決めてもらうのじゃ!」
「え、俺?」
「なんか無いのじゃ? 好きな料理とかでいいのじゃ」
「えー、焼き肉」
「男子じゃのぉ……」
カレーとか、ラーメンとかそういうのが好きなのだろう。
「つまらんから、妾が決めてやるのじゃ!」
アルアがクーゲルに代わって品目を決定する。
「ここは公平に、寿司職人の修行を終えたシーちゃんが得意なはずの『寿司』を二人には作ってもらうのじゃ!」
「全然公平じゃねぇ!」
スパンッ! とアルアに制裁を下すクーゲル。
「うっさいのじゃ! こういう時にバイトに痛い目を見てもらうにはこうするしか無いのじゃ!」
「逆恨みでくだらん復讐を試みる……ギャグマンガのお約束といえばお約束か……?」
単にこの作品がコメディだからそうなったのかどうか、区別がつかずに困るクーゲル。
「ともかく二人には寿司を握ってもらうのじゃ! 用意は良いのじゃ?」
「ええで」
「一向に構わないのである!」
「では、スタートのじゃ!」
こうして真地女とシリーによる寿司作りが開始する。




