01 突如訪れる財政難!!
「伸び~るのび~る、お醤油瓶♪」
ルーデが醤油瓶を持って踊りながらクーゲルの所へやってきた。
しかも言葉通り、決めポーズのところで見事にお醤油瓶がニュッと伸びた!
「何してんだよルーデ」
「見てわかんねーか。まあその程度だもんな、クーゲルは」
「なーんかムカつくなぁ!」
侮るルーデに苛つくクーゲル。
「しかたねーから教えてやるよ。これが新商品、伸び~る醤油瓶だ!!」
「……は?」
何の説明にもなってなくてさらに苛つくクーゲル。
「こうして醤油瓶が伸びることで、テーブルの斜向いに座ってるヤツの皿にも席を立ったり身体を伸ばしたりせずに醤油が注げるようになってんだぞ? 画期的じゃね?」
「醤油瓶渡して自分で注がせりゃあいいだろそんなもん」
ど正論で伸び~る醤油瓶の利点を全否定する。
「っていうか、なんでそんなもん作ってんの?」
「天啓っていうか、趣味っていうか、脅されて仕方なくっていうか……」
「全部理由が噛み合わねぇなぁ!?」
そうしてルーデの意味不明な暴挙にツッコミを入れているクーゲルの所に、ドタドタと慌てた様子の足音が近づいて来る!
「大変なのじゃぁぁぁああああ~~~~~~!!!!!!」
そう、アルアである!
「原因は不明じゃが、村の財政が突如圧迫されて収支マイナスにぶっちぎっちゃったらしいのじゃぁあああああ~~~~~~~~!!! このままでは不味いから村おこしせねばならぬのじゃ~~~~~~!!!」
「あー、ありがちなやつぅ」
財政難で村おこしに挑戦するのは定番ネタと言えよう。
「で、アルアさんはどうしてその情報を?」
「いつ聞いたかはよく覚えてないのじゃが、間違いなく会議室っぽいところで集まってそういう話をしていたのじゃ! このままじゃ村が無くなってしまうかもしれぬのじゃ!」
「まあ、村が無くなるのはちょっと嫌だけど……」
しかし四半期のうち一期だけマイナスが出たぐらいで村が無くなるか? と疑問に思うクーゲル。
「おうメシ屋!! そりゃあ大変だな!」
「そうなのじゃ、お主も協力してはくれぬか?」
「しかたねーから、アタシの開発したのび~る醤油瓶を村の名産にしてやるよ!!」
「ん? ……な、なんじゃこれは。伸びる理屈が全く持って不明じゃ……未知の謎のエネルギーによる作用で伸びてるのじゃ……こわ……」
「まあルーデだしそんなもんだろ」
醤油瓶が根拠なく伸びるぐらいで驚いていては心が持たない。
「それより、アルアさんは何か村おこしのアイディアはあるのか?」
「無論じゃ! 地方に根ざしたアイドル活動をすることで人を呼び込み税収アップを目指すのじゃ!」
「ありがちだけど失敗フラグでもあるんだよなぁ……」
「ならば、女性も活躍する社会をアピールする為に、戦車に乗って戦う女性の姿をショーにして人を呼び込むのじゃ!」
「だから何で著作権アウトなやつを提案するかなぁ!?」
ガールズがパンツァーしそうなアイディアに全力で突っ込むクーゲル。
(まあ、最悪俺が適当なネームドモンスターを狩りまくったら収益プラスにするぐらい簡単だし。コイツらに好きにやらせるか)
と、無責任にまかせてしまうクーゲルであった。




