06 制圧完了!
「鳴龍が破壊された今! プログラムを修正するチャンスじゃ!!」
アルアは研究所最深部の端末を操作し始める。
「まずはフツーに妾に絶対服従にして……」
最初にやっとくべきことを今更プログラミングしていく。
「――よし! これで安心安全な迎撃プログラムになったのじゃ!」
こうして、研究所の暴走したような気がしていただけの迎撃プログラムは無力化されたのであった。
「……ところでアルアさんは、どうしてそこまでして研究所の最深部に来たかったんです?」
「うみゅ? それはなのじゃ……」
アルアはとことこと隅っこに歩いていき、そこに山積みにされている研究成果の一つを手に取る。
「これじゃ! 妾が開発した新型ポーション! このポーションを浴びた者は、なんと水をかぶると何らかの動物の姿になってしまうのじゃ!!」
「あ~ありがち……なのか? よく考えるとそんな漫画一つぐらいしか知らんな……」
あるあるネタなのか悩むクーゲル。有名すぎるせいであるある設定のような気がしてしまったのだろう。
「店長はなんでそんなポーション作ったんや?」
「もちろん、いつも妾を叱ってくるこわーいバイトをとっちめてやるためじゃ!!」
「……ほう?」
ポキっ! ポキッ!
バイトの指ポキが発動する!
「はうあっ!! うっかり本当のことを言ってしまったのじゃ!」
「店長ォ……今日という今日は許さんで……ッ!! そんな下らんことの為にクー坊まで巻き込んで!!」
「す、すまんかったのじゃぁ~~~!!」
脱兎のごとく逃げ出すアルア。
「おっとっとのじゃ」
そして、研究所に散らかっている魔導具の一つに足を引っ掛け、転んでしまう。
ついでとばかりに、手に持っていたポーションは真上へと放り上げられた。
さらには、コルク栓が緩んでいたのか、空中でフタが空いてしまった!!
「「あっ」」
クーゲルとバイトは思わずハモってしまう。
次の瞬間――ポーションは見事にアルアの頭にバシャアッ! と掛かってしまう!
「うぎゃああああのじゃぁあああ~~~!!」
そしてポーションの効果で、アルアの身体が変身を始めてしまう!
「そ、そんな店長……」
「ま、まさかアルアさんが……」
「え、エミューになってしまったのじゃああああああ!!!」
そう。喋るエミューになってしまった!!
「やばいのじゃ! こんなんに変身するところ見られたら化け物として冒険者に討伐されるのじゃ!」
「そう思うならなんでバイトさんにそのポーション使おうとしてたんだよ」
「人によって変身する動物が違うのじゃ! バイトはチベットスナギツネになるように調整してあるのじゃ!!」
「それ、言い訳になってないよな?」
というかチベスナにエミューとは、絶妙なラインナップである。
「ううう……困ったのじゃ……人前で水をかぶるわけにはいかんようになってしまったのじゃ……」
「ま、まあ落ち込んでないで前向きに考えていきましょうよ! お湯をかぶれば元に戻れるんだし、そのうち解毒用? のポーションだって作れるかもしれないし!」
「うう……仕方ない。ひとまず風呂入ってくるのじゃ……ん? なんでクーちゃんはお湯をかぶれば元に戻れるって知ってるのじゃ?」
「いや、水をかぶると動物になっちゃうふざけた体質ならそうかなって」
二分の一ぐらいの確率でそうだろうと思ったクーゲルである。
まあ、何にせよ風呂に入らなきゃ元に戻れない。
アルアはひとまず、研究所に併設された休憩室のシャワールームでお湯を浴びてくることになった。




