07 暗殺者の恋の行方
「好きだから殺す、好きだから殺さなーい、好きだから殺す……」
リンダは四葉のクローバーで花占いをしていた。
「……好きだから殺さない! やっぱり何回やっても殺さないになっちゃう!!」
「まあ、毎回四葉のクローバーでやってりゃあそうなるだろ」
花占いするリンダにツッコむクーゲル。ちなみに四葉のクローバーを探してきたのはクーゲルである。
「じゃあやっぱり、クーゲルさんって私にとっての運命の人……」
「違う違う。順序の問題。わかんねーか? あーバカだもんなお前」
「そんな私にちゃんとかまってくれるクーゲルさんが好きです!!」
「……そう言われると何も言えねぇ」
おかしな女に漏れなくツッコむ自分が悪い、と自覚しているクーゲルであった。
「でも困りましたね……受付嬢としてクーゲルさんを殺さなきゃいけないのに、でも花占い的には殺せない……私はいったいどうすれば……」
悩む様子を見せるリンダを見て、クーゲルはため息を吐いてから声をかける。
「なあリンダ」
「はい?」
「そもそも、俺って最強だろ?」
「はい、まあそうですね」
「じゃあ死なないじゃん」
「でしょうね」
「つまり、俺をいつまでも殺そうとし続けられるわけじゃん?」
「はい」
「じゃあ両立できるよな?」
「……たしかに!!」
どこかで一度やったような理屈でリンダを説得するクーゲル。
「じゃあ、これからもクーゲルさんの命、遠慮なく狙っていきますね! あ、もちろん受付嬢としてですけど!!」
「はいはい、よろしくなリンダ」
クーゲルが手を出し、握手を求める。
リンダもそれに応え、握手をする。
が――なんと、リンダは手に毒針を仕込んでいた!
「ふっ、死ねえ!!」
そして、毒針が刺さるようにガッチリとクーゲルの手を握り込んだ!
が、残念ながらやっぱりクーゲルは最強すぎて毒針が刺さらない。
そもそも毒も効かない。
「……はぁ。先が思いやられるな……」
堂々と殺しにかかってくるリンダに呆れつつ、ため息を吐くクーゲルであった。
一方その頃。
リンダを送り込んだ隣国の偉い人は困っていた。
「ぬう……簡単に対象は暗殺出来ない。よって予算の増額を求めるだと……?」
リンダから送られた密書的なやつでお金を要求されていた。
「通常の毒では対象を殺すことは不可能。さらなる猛毒の開発に至急予算が必要である、と……どんだけ予算を食うつもりだコヤツは」
頭を抱える偉い人。
「しかし……コヤツでなければ暗殺は不可能。そして暗殺出来なければ我が国は一気に不利になってしまう……出すしかないか」
とまあ、なんやかんやで予算を出すことに決める。
こうしてリンダは知らず知らずのうちに、受付嬢と暗殺者の二重所得を得ることに成功。
そして結果として、隣国の予算を圧迫して結果的に不利な状況に追い込むことにも成功するのであった。
暗殺者(暗殺するとはいっていない)
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