04 返済
なんやかんやありつつも、エンシェントアイスファングドラゴンを討伐して素材も売りさばいたので、まあまあの資産が出来たクーゲルとルーデ。
「うっほ、こんだけあれば遊んで暮らせるじゃん……」
「桁足りてねーよ。そもそも先に借金返せよ」
というわけで、ルーデが借金したヤクザのところへ向かう二人。
「おーい、ヤクザのおっさん共! ルーデの借金返しに来たぞ!」
「げっ! クソ強いガキ!」
クソ強いガキとして覚えられたクーゲルは顔パスで通された。
結果、ヤクザの偉い人のとこまであっさりお目通りがかなった。
「……つーわけで、ルーデの借金はここにピッタリ全額用意しました。これで返済完了ですよね?」
金貨とかたっぷり詰まった袋を用意して、テーブルにダンッ! と置くクーゲル。
するとヤクザの偉い人は……あっさり大金を用意したクーゲルとルーデを金づると認識した!
「ボウズよぉ、世の中には利子っちゅうもんがあるんや。分かるか?」
「いくらですか」
「ここにある金貨の倍は払ってもらおうか」
ふっかけ過ぎである。
これにはクーゲルもキレる。
「はぁ? ナメてんのか?」
「口の聞き方に気をつけろよ、ボウズ!」
クーゲルを脅す意味もあって、ヤクザの偉い人は凄みながらその辺のごっつい灰皿でクーゲルの顔面に殴りかかる!
が、クーゲルは強すぎるのでまったくダメージにならない、というかダメージを反射した結果、灰皿が弾け飛んだ!
これにはもう、ぷっつーんするクーゲルであった。
「上等だコラァ! ヤクザがどんなもんじゃ!! 全員まとめてゴブリンの餌にしてやるわ!!!!」
「お前ら、やっちまいなァ!!!」
こうして、クーゲルとヤクザの戦争が始まった!
……で、普段どおりならここでクーゲルが全員ぼこぼこにして「ふぁい」とか言わせて終わるのだが。
今回はヒロインと出会ってフラグ立てちゃったのでそうはいかない!
何者かが、ドアを蹴破ってその場に乱入する!!
「ええ気迫や、よう言い返したなぁ坊っちゃんよぉ!!!」
そう、乱入者はなんとあのテスタロッサ・サクライであった!
「げえっ!? 清光会の!? なんでこんなところにおるんや!?」
「おどれら、シノギで借金負わせたカタギにヤクの売人やらせとったらしいのぉ? ワシら清光会がヤクは禁止しとる。他所のシマでも見過ごすわけにはあかん」
「くっ……かまわん! 全員まとめて殺せェ!!」
どうやらテスタロッサも思惑あってここのヤクザを潰しに来た様子。
「あの、テスタロッサさん、ここは共闘しませんか?」
「期待しとるで、坊っちゃん!!」
こうしてテスタロッサとクーゲルは、共にヤクザを壊滅させることになった。
「――聖女斬!」
テスタロッサは自身の武器である短刀を抜き放ち、振る。
すると光の精霊が刃に魔力を集め、軌跡に沿った光の刃を生み出して飛ばした。
光の刃はヤクザの事務所を貫き、一撃で事務所を崩壊させる!
「うわあああああ!」
「終わりだぁあああっ!」
「ダンプでも突っ込んできたのか!?!!?」
混乱するヤクザ達!
そこに、理不尽なクーゲルの暴力が襲う!
「ほいっと」
瞬時に逃げ惑うヤクザ達の背後に回り込み、トンッてするやつをやる。
こうして無事、ヤクザ達は全員気絶して、事務所は壊滅。あとはヤクザ達を衛兵に突き出すだけである。
これでもう、ここを拠点に活動することは出来ないだろう。
「やるやないか」
「ん?」
そんな状況下で、クーゲルに向かってテスタロッサが話しかける。
「ヤクザ相手でも筋を通すが、ナメられたらやり返す気概もある。男気があって気に入った。おどれ、名前は?」
「あ、えっと。クーゲルです。クーゲル・シュライバー」
「クーゲルか」
すると、テスタロッサはどこからとも無く酒坏と酒を取り出した。
「喧嘩も強くて男前。気に入ったでクーゲル! 兄弟の酒坏を交わそうや!」
「え!? いや、でも自分未成年なんで……」
「ハートで飲めや!!」
拒否するクーゲルだったが、勝手に気分が盛り上がったテスタロッサは酒坏に酒を注ぎ無理やり飲ませる。
クーゲルに飲ませた後、テスタロッサも同じ酒坏の残りの酒を飲み干す。
こうして二人は、兄弟の契を交わしたのである!