02 ルーデのやらかし
登録も終わったクーゲルはギルドを出て、適当な魔物でも倒しに行くことにした。
「……っ! 厄介ごとの気配がするッ!!」
すると同時に、遠くから厄介ごとの気配が迫ってくるのを察知した!
「――クーゲルぅうううううッ!!」
そう、ルーデであった。
ルーデは泣きながら、思いっきりクーゲルへと飛びついた。
「うおっ!? なんだよ、ルーデ。どこ行ってたんだよ」
「うぅ……クーゲルの誕生日プレゼントを用意したくて、ちょっと街の方まで出かけてたんだよ」
「お、おう」
珍しく可愛いことするじゃねーか、と思ったクーゲルであった。
だが、すぐに期待は裏切られる。
「お金が無いから、まずはギャンブルで増やそうと思って……」
「おい」
「そしたらめっちゃ負けたんだ……なんかしらんけど……」
自業自得である。
「それで文無しになって、プレゼントが買えなくて泣いてたのか?」
「うん? いや、そんなんで泣かねーし?」
ケロッとするルーデにイラッとするクーゲル。
「じゃあ何なんだよ」
「いや……お金貸してやるって言われたから、ギャンブルで増やして返せばいいかと思ってたんだけど、それもスッちゃってさぁ」
「カスかよ」
「借金取りのギャングに追われるわ、軍資金として勝手に引き落としたクーゲルの貯金も返せないわでもう嫌んなっちゃうぜ☆」
「カスがよぉぉおおおおおッ!!!!!!」
ハリスカリバーを抜いて渾身の一撃をルーデに叩き込む。
「俺の貯金!? なんで!? どうして俺の貯金!? なんで!?」
「おお……気が動転してクーゲル殿すら単調なツッコミしか出来なくなっているのである……」
事態を冷静に観察していたシリーは戦慄した。
「つーわけでクーゲル! 軍資金がクーゲルの貯金だったから借金の名義もクーゲルにしといたんで、あとよろしくな!」
「は?」
「逃げるぞメス豚!!」
「おおっ!?」
そのままルーデはシリーの手を取り、どこかへとスタコラサッサと走り去っていった。
「……は?」
怒りのあまり頭の中が真っ白になったクーゲルであった。
そしてさらに、真っ白になったクーゲルを突然のヤクザが襲う!
「てめえがクーゲルか!」
「借金返せやコラァ!」
「タマ取ったるぞコラァ!」
ドドドッ、と沢山のヤクザが、今まさにクーゲルに襲いかかる!