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34.魔獣討伐演習始まる


 アンネマリーとリリーの関係は悪化の一途を辿っていた。リリーは授業には出席してるが、アンネマリーと共に魔術を鍛える事はなく、他の男子生徒のところへフラフラと足を運んで、楽しくお喋りをしている。勿論エドウィンやカーティスもその中に含まれていた。まあ、二人は楽しくは無さそうだが。


 キャッキャッと王子達に話し掛け、ボディタッチをするリリーを見る度にアンネマリーはヒヤヒヤとした気持ちになった。まず、何と言ってもエドウィンの顔が死んでいる。強く拒否をしたいが、上手く出来ないのだろう。全ての表情を無くし、リリーを見ているのだ。


 エドウィンもペアが居るのにリリーにちょっかいを掛けられ、ペアもさぞ気まずいだろう。


 それにしてもアンネマリーは不思議でならなかった。只でさえ気安く話し掛け、腕に絡みつき拒絶された事があるのにどうしてまた同じ事が出来るのか。全く理解が出来なかった。恐れを知らなすぎる。


 それと最近は前よりも教室への突撃が多くなった。ほぼ毎日三回は来ている。一時期は突撃が収まっていたのだが、いつだかの授業の後から酷くなった。


 リリーの目的はエドウィンとカーティスのようで二人が居れば二人に話し掛け、片方が居なければどちらかに、二人とも居なければ教室にも入って来ない。以前はアンネマリーの友人という事で絡んで来たが、そういう小細工はもう辞めたらしい。真正面から突撃し、砕け散っている。


 なので最近めっきりエドウィンは休み時間の度に身を隠している。三人でゆっくり話す事が出来るのはランチの時くらいだ。

 エドウィンもカーティスもリリーの相手はほぼしていない。エドウィンは話し掛けられても冷たく反応し、直ぐその場を離れている。授業の時は逃げ場がないのでしょうがなく対応しているらしい。カーティスはそれよりはまだ優しい対応だが、アンネマリーから見たら面白がっているのが一目瞭然だった。それを見ては性格が悪いとつい眉を顰めてしまう。


 当のリリーはと言うと話しているだけで満足なのか、それとも鈍いのか、マイナスな事を言われてもプラスに答えてキャッキャッしている。果たしてそれで良いのか? アンネマリーは尋ねたい気持ちで一杯だが、話し掛けるのも嫌がられそうなのでグッと我慢中だ。


 それにリリーは最近少しおかしい。それはアンネマリーもサラも気付く程におかしい。だがエドウィンは分からないらしい。無理もない、絡まれすぎて疲れ果てているのだから。


 リリーのおかしい点、それは言動だ。これは以前もおかしかったが、今は更にパワーアップしている。その言動を幾つか挙げると『アンタが私の場所を取ったんだ!』とか『元は私も侯爵家だ!』とか『アンタなんて捨てられるんだよ!』とか全く意味不明な事ばかり。しかもこれはエドウィンがいない時に吐き捨てられる。アンネマリーはその勢いにいつも呆気に取られ、反応が出来ない。まあ、出来ても多分『はあ……』くらいだと思うが。

 だからか見た目も前より目が血走って見える。それ以外は変わらないが、可愛い容貌にギラギラとした目はあまりにそぐわない。


 一体急にどうしたのか。アンネマリーは考えても考えてもリリーの事が分からなかった。話したくないなら接触して来なくてもいいのに、と冷たい事を考えては自嘲した。



 そうして迎えた魔獣討伐演習当日。アンネマリーはリリーと共に森へ入った。アンネマリーはリリーが欠席するのではと思っていたので当日、隣に来た時は驚いた。リリーは普段アンネマリーには見せない笑顔を作り『おはようございますぅ』と挨拶をすると至って普通の会話をし始めた。


「どこを目指して行きますぅ?」


 まさかそんな事を聞かれるとは思っていなかったのでアンネマリーは目を丸くした。


「……取り敢えず中央を目指して、時間があれば北の洞窟あたりに行きましょうか」

「洞窟ですかぁ?ジメジメしてそうで嫌ですぅ」

「……では洞窟はやめましょう」

「はぁい」


 表情を変えず、リリーは返事をするとアンネマリーの前を歩き始めた。あんなに授業をおざなりに受けていたのにどういう了見だろう。前方を歩いて魔獣が出てきたら攻撃出来るのか? 前を歩くリリーの背中を見つめ、アンネマリーは首を捻った。


(今日までの態度は何だったのか。何で今日はこんな普通なの?魔獣は嫌って言ってたじゃない)


 全く分からない。今日で関係が最後だから普通にしようと思ったのだろうか。それにしても態度の変わり様がおかしすぎる。

 アンネマリーはリリーの背中から目を離せず、じっと見つめたまま深い森の中を進んでいった。




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