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鉄道と私と青春物語  作者: Mayu / マシュー
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1日目

【1日目】

 2019年8月某日午前7時、神奈川県の私立大学に通う私、笹木萌はJR東京駅のホームでJR東海道本線の快速電車を待っていた。最寄りの東京駅から電車で30分程の距離にある大学に毎日通っている。今日は1限目に夏休み前最後のテストがあるので、気分は少し憂鬱である。そして暑いホームで立っていると快速電車が入線してきた。私は贅沢だと思いつつ、快速電車のグリーン車に乗り込んだ。

 「あーあ、1限目のテストが終わったら夏休みかぁ。特に用事もないし、何して過ごそうかなぁ・・・。」

 そんなことを考えていると、品川駅付近で車庫に停まっている車両たちが目に入った。

 「あっ、今のってサンライズ出雲じゃん。あれ1回でいいから乗ってみたいんだよね~」

 日常を過ごしていると中々乗る機会がない寝台特急。それも、現在定期運転している寝台特急はこれのみであり、東京駅と島根県の出雲市駅とを結ぶ寝台特急である。そんな寝台特急を目にした私の心は夏休みの計画を立てるのに興奮状態だった。

 「夏休みは日本一周なんかいいよね。どうせならあまりお金を賭けずに旅行したいし、何かいい方法ないかな?・・・あっ、青春18切符があるじゃん!」

 1限目のテストの事なんかお構いなしに、夏休みの計画を立てることが楽しくなってきた私であった。


 テストが終わって最寄り駅で青春18切符を購入し、帰宅して荷物をまとめるとすぐに家を出た。そして東京駅から京浜東北線の快速電車に乗り秋葉原駅に向かった。ここで山手線を選ばなかったのにはちゃんとした訳がある。その理由は2つ、各駅停車であることと満員電車であること。ただでさえ温暖化の影響で日中は気温が38℃前後なので満員電車に好き好んで乗る必要はない。

「毎日思ってるけど山手線は人多いから痴漢とかいそうだし乗らないでいいや。」

 アキバに着いたらまずは腹ごしらえだ。駅から徒歩5分圏内にあるそば屋に入ってかけそばを注文した。このそば屋からは道路で呼び込みをするメイドや電気店の数々を眺めることができる。

「大通り沿いだから色んな人が見れるからいいんだよな~。やば、電車に乗り遅れちゃう!」

 そそくさと食べて店を出ると時間は13時になろうとしていた。私は急いで駅に戻り中央線の電車に飛び乗った。そして乗り換えを重ね電車に揺られること2時間半、最初の目的地である石和温泉駅に着いた。

「やーっと着いた~!いやーやっぱりずっと座りっぱなしはきついな~。よりにもよってロングシートだし。さて、まずお風呂に入りに行きますか~。誰が何と言おうと毎日お風呂は欠かさないよ~。」

 旅とはいえ風呂を欠かすわけにはいかない。これは私の意地だ。さて、風呂で癒された身体に再び3時間半の鞭打ちがやってくる。17時に石和温泉駅を出発し、3時間かけて小田原駅に向かうハード旅である。小田原に着いた時は21時を回っていたので遅めの夕食を取り、小田原駅周辺の観光に繰り出した。かといって次に乗る予定の電車の時刻までまだまだ時間があったので、漫喫で時間を潰すことにした。

「江ノ島とか見に行きたいけど、こうも暗かったらな~…」

 外はすでに日も沈み街の明かりが夜空を灯していた。そして、0時を回り再び小田原駅に帰ってきた。今日最後の電車に乗るためだ。その電車とは、ムーンライトながらである。これは東京駅から岐阜県の大垣駅までを結ぶ臨時寝台急行である。臨時という名の通り期間限定で走行している電車であり、特別な切符を購入しないと乗れない電車となっている。

 「うわ、結構人いるじゃん!先に切符買っておいてよかった~。さっき照会してみると満席だったもんね。」

 ムーンライトながらが入線してきた。早速乗り込み人混みを掻き分けて席に座ったタイミングで発車した。

「寝て起きたら大垣か~。」

 長旅の疲れからか、席に座って10分もしない内に寝てしまっていた。こうして日本一周旅行の最初の1日が終わった。

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