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時空(とき)を超えて   作者: 紅坂彩音
9/31

第八楽章


~祭りのあと~


それからの毎日、パパとママは互いの事を想いながら、それぞれの日々を過ごした…


二人は毎日、夕方になると、お揃いの御守りを手に握り、パパは天神様の丘から、ママは校舎の屋上から、見えるはずのない愛しい人の姿を探した…



そうして、ようやく日曜日が来た。



「じゃぁ、父さん、母さん、ボクは準備があるから先に行くね。」


「いってらっしゃい‼️ 後でね…」



パパを送り出し、おじいちゃんとおばあちゃんは計画の最終確認をし、車に乗り込み、聖ミハエル教会を目指した。


「泉君、いざ、出陣だよ。」


「ハイ、教授。いざ…」



おじいちゃんとおばあちゃんが教会に着くと、学園長と理事長が二人を出迎えた。


「ようこそお越しくださいました。」


「こちらこそお招きいただきありがとうございます。」


「うちのシスター御園から、今日は先生方にも演奏を披露していただけると伺っているのですが、お願いしてもよろしいのでしょうか?」


「ハイ、喜んで演奏させていただきますよ。」


「では、是非ともお願い致します‼️」


「ハイ、かしこまりました。」


「それでは、チャペルをご案内いたしますので、こちらへどうぞ…」


おじいちゃんとおばあちゃんは 、


【第一段階完了】


と、お互いの目を見て頷き合い、学園長と理事長の後に続いた…


チャペルに近づくと中からパイプオルガンの音が聴こえるが、その演奏は少しギクシャクしていた…


中に入ると、オルガンを弾いていたシスター黒崎が手首を掴み下唇を噛みしめていた…


すると、奥の控え室から出てきたシスター御園が、


「シスター黒崎、やはり、あなた、腱鞘炎を患っていますね? 無理をしないでとあれほど言ったのにどうしてそんなに練習を…」


「シスター御園、私は、合唱コンクールで篠山さんのピアノを聴いて衝撃を受けました。それ以来、どうしたらあんなに色彩豊かな演奏が出来るのかと試行錯誤を繰り返してまいりました…

ですが、未だに答えは見つかりません…

この手首は闇雲に練習を重ねた結果です…お恥ずかしい…」


「シスター黒崎、篠山さんの演奏には篠山さんなりの良さがある様に、あなたの演奏にもあなたなりの良さがあります‼️

タイプこそ違うかもしれませんが、私はあなたの演奏も素晴らしいと思いますし、大好きですよ‼️

ですから、こうして長い間一緒に組んで演奏してきたのではないですか‼️

自信を持って‼️

私はあなたを相棒だと思っています。だから、今は無理をしないで手首を治して…」


「ありがとう、シスター御園…

そう思っていただけてたなんて、嬉しいですわ…

篠山さん、代奏お願いできますか…?」


と、控え室のドアの前で話を聞いていたパパに尋ねた…


パパはオルガンの所まで歩み寄り、


「代役が務まるかどうかわかりませんが精一杯弾かせていただきます‼️」


と、深くお辞儀をした…


シスター黒崎は立ちあがり、演奏席を空けて、パパに頭を下げた。


パパはシスター黒崎に一礼してから演奏席に付き、讃美歌を弾き始めた…


1曲弾き終えたところで、学園長が拍手をしながらオルガンの前まで歩み寄ってきた。


「素晴らしいわ。シスター黒崎が弾けないのでしたら、篠山さんにお願いする他ありませんね…

篠山さん、本番もお願い出来ますか…?」


「ハイ。学園長様。精一杯弾かせていただきます。」


と、お辞儀をして頭を上げたところでチャペルの入口に居るおじいちゃんとおばあちゃんに気がついた。


「あ‼️ 父さん、母さん‼️」


シスター御園はおじいちゃんとおばあちゃんの元に駆け寄り、


「あ‼️ これはこれは、お父様、お母様、御園でございます…うちの華が大変お世話になっております…」


「御園さん、どうもどうも、直接お会いするのは初めてでございますね。こちらこそ、息子が大変お世話になりまして…」


「はじめまして、優の母でございます。華さんからお話は色々と伺っております…」


「華、変な話をしていないでしょうね?」


「フフフ…さて、どうでしょう…」


「もう…この子ったら…ウフフフ…」


和やかな雰囲気の中、おじいちゃんとおばあちゃんは、


【第二段階完了】


と、また目を合わせ頷き合った…


「では、本番、宜しくお願い致します…私共は一旦失礼致します…

シスター御園、話がありますので一緒に…」


と、学園長と理事長はシスター御園と一緒にその場を後にした…


それから、皆は控え室で打ち合わせをしていた。


「優さん、急に演奏曲目が増えてしまいましたね…

しかも、オルガンまであんなに流暢に演奏なさるなんて、驚きました…」


「実は父さんにオルガンも練習するようにと言われて、ここ1週間の猛練習で何とか弾ける様になったんだ…、曲は知ってる曲だから何とかなるかと…ハハハ…」


「ボク達の伴奏も頼むね。」


「エッ⁉️ 父さんと母さんも歌うのですか?」


「あぁ、まだ言ってなかったか…先程、学園長さんと理事長さんからご依頼を賜ってね。」


「まぁ‼️ お父様とお母様の演奏を拝見出来るなんて‼️楽しみですわ‼️」


「華さんも一緒に歌いましょうよ‼️」


「エッ⁉️ お母様…それは…心の準備が…

それに、間近で拝見して勉強させていただきたいのです…」


「あら…そう…では、また今度ね…

残念だわ…篠山ファミリー勢揃いだと思ったのに…」


「ファミリーって…母さんはいつも気が早いんですって‼️」


「ウフフフ…」


そこへ、シスター御園が控え室に入ってきた。


「皆さん、学園長に華と篠山さんの関係を尋ねらたので、親しい友人と答えておきましたので、話を合わせてくださいね。

さて、華、そろそろ、コーラス隊の出番ですよ。

篠山さん、伴奏お願いしますね。」


「ハイ‼️」

「ハイ‼️」


「では、お父様、お母様、また後程…」


と、三人は控え室を後にした…



そして、チャペルで神父様のお話の後にコーラス隊が演奏をして、いよいよ、パパとママの本番の時が来た…


神父様から紹介され、二人は並んでお辞儀をしてから、ママがチャペルの人々に挨拶をした。


「ここからは、私、潮田華の歌と、友人の篠山優さんのピアノの演奏をお聴きいただきます。」


とお辞儀をしてから、手を合わせ、


「それでは、神と大地の恵みに感謝し、皆様のご幸福を、そして世界の平和を祈りまして、細やかではございますが私達の演奏を捧げます。」


と言い、パパと目を合わせて頷いた。


パパはママに微笑みかけてから、大きく深呼吸をして、前奏を弾き始めた。


【水鳥が湖水から羽ばたく様に…】


そして、前奏を受けてママが歌い始める…


【湖水から羽ばたいた水鳥が湖畔の草原を眼下にゆっくりと上昇していく様に…】


【やがて水鳥は夕日を受け風にそよぐ向日葵達の上を優しく撫でるように滑空し…】



二人の美しく純粋で息のピッタリと合った演奏にチャペルにいた人々はウットリと聴き入った…

孤児院の子供達もその演奏と凛とした姿に目を輝かせた…


パパとママは演奏が終わると並んでお辞儀をし、チャペルからは拍手が溢れた。


そして、学園長が拍手をしながら前に出てきて


「潮田華さん、篠山優さん、ありがとうございました。お二人にもう一度盛大な拍手を…


そして、本日は特別に、ピアニストの篠山さんのご両親でいらっしゃいます、声楽家の篠山御夫妻が演奏してくださいます。

それでは、お願い致します…」


と言うと、おじいちゃんとおばあちゃんは前に出てきてお辞儀をして、


「本日はお招きいただきありがとうございます。ここにお集まりの皆様に愛と祈りを込めて演奏させていただきます。」


と言い、パパと目を合わせて頷いた。


前奏が始まる…


横で観ていたママはその意外な選曲に少し驚いた…


(エッ⁉️ ロミオとジュリエット⁉️ 悲劇のオペラ…

どうしてこの曲を選んだんだろう…)



でも、その深い演奏に吸い込まれた…


(凄い…レコードの何倍も凄い…)


チャペルに居た人々はその真に迫る演奏と二人が織り成す物語の世界に引き込まれた…


演奏が終わり静まりかえるチャペル…

鼻をすする音があちらこちらから聞こえ、やがて、一人、また一人と席を立ち、

拍手をする人々…


そして、チャペルは拍手と歓声に包まれた…


おじいちゃんとおばあちゃんとパパはオペラのカーテンコールの様に肩を組み、笑顔でお辞儀をした…



それからまた神父様のお話があり、最後に皆で祈りを捧げて収穫祭は終わった…



学園長が控え室にやってきた。


「篠山先生、本日は大変素晴らしい演奏をありがとうございました。

オペラも良うございますね、私共は普段は宗教曲ばかりでございますので…

さてと、お紅茶と孤児院の子供達が作ってくれたクッキーをご用意しておりますのでよろしければ…」


「では、折角ですのでいただいていきます。」


おじいちゃんとおばあちゃんは、目を合わせて頷いた…


「では、こちらへ…」


皆、学園長の後に続いた…



理事長室に着くと理事長が紅茶を淹れていた。


「篠山先生、本日は誠に素晴らしい演奏をありがとうございました…」


「こちらこそ、お招きいただきありがとうございました。」


「さ、どうぞ、お掛けになってください。子供達が作ってくれたお菓子もよろしければ召し上がってください。」


皆は紅茶と色々な形に型抜きされた、かわいらしいクッキーを口に運び、少しの間談笑した…


話が一段落したところで、おじいちゃんが、


「では、泉君、」


と言うとおばあちゃんはカバンから封筒を取り出した。


「ご依頼いただきありがとうございました。こちらは本日の私共の出演料の請求書でございます…」


皆が唖然とする中、理事長が口を開いた…


「エッ⁉️ 本日はボランティアでの演奏なのでは…」


「何をおっしゃいます、私共は演奏や指導を生業にしておりますので…」


「いや、シスター御園に演奏する用意があるとおっしゃったのは先生方からではありませんか?」


「ハイ、確かに、ご依頼を賜れば演奏させていただくと申しましたが、無料でとは申し上げておりません。」


「ちょっ…父さん、母さん、何を言っているのですか⁉️」


「大人同士の話だ。子供は黙ってなさい。」


「いや、だって、おかしいですよ‼️ 父さん、母さん、どうしたんですか⁉️」


「うるさい‼️ 黙ってろ‼️」


と、おじいちゃんは廊下にまで響くような大声で怒鳴った…


パパは、こんな事は絶対にあり得ないと思っていたが、おじいちゃんのあまりの迫力に錯乱した…


ママも最初は唖然としていたが、おじいちゃんの迫力に涙目で何も言えずにいた…


理事長は困惑しながら封筒から請求書を取り出した。


そこに書いてある金額に理事長と学園長

は仰け反った…


【¥10000000円(出演料¥5000000円×2名として)】


「い、い…1000万でございますか⁉️」


「はい、私共、これでもそこそこ名の売れた声楽家でございますので…」


「い…1000万は…ちょっと……

実は、こちらの教会や学園は運営資金の大半は支援者様からの寄付金で賄っておりまして…

寄宿舎の食材も農家様から売り物にならない作物をお譲りいただいたりしておりまして…

1000万という大金は私共にはとてもご用意出来そうにありません…」


「そう言われましてもねぇ…」


と、おじいちゃんは腕を組んで押し黙った…



しばらく沈黙が続いた…



おじいちゃんとおばあちゃんは立ちあがり部屋の隅に移動し、相談するフリをした。


【第三段階完了、最終段階に移る】


と耳打ちをして頷き合うと席に戻り、

再び口を開いた…


「わかりました、では、出演料は結構です。」


学園長と理事長は安堵の表情を浮かべた…


「ですが、その代わり…」


再び学園長と理事長の表情が凍りつく…


「その…代わり…とは…?」


「これから私が申し上げます条件をご了承いただきたい…」


「条件…でございますか…」


「ハイ、それでは、申し上げます。」


おじいちゃんが提示した条件は2つ、


【シスター黒崎の手首が完治するまでの間、日曜日のミサでの讃美歌の伴奏は篠山優が無償で代役を務める事】


【学園は日曜日の午後に潮田華さんが奉仕活動の一環として、篠山家にて家事手伝いを行う事を許可し、その際、潮田華さんは任意で、篠山彬、篠山泉から声楽のレッスンを受ける事が出来、そのレッスン料は一切受け取らない】


というものだった。


この条件を聞いた理事長は、


「ブワハハハハ‼️ 何ですか、その条件は‼️」


と吹き出し、


「先生、ちょっと宜しいですか?」


と、おじいちゃんと席を立ち、部屋の隅でヒソヒソ話をした。


「篠山先生、お人が悪いですよ、最初から出演料など請求なさるつもりではなかったのではないですか?」


「バレましたか…」


「それはバレますよ、出演料をお支払い出来ないと泣きついている我々にとって有益な条件ばかりではありませんか‼️

本当にそれでよろしいのですか?」


「ハイ、結構です。

華さんは私共にとって、家族同然ですので。」


「わかりました。」


二人は席に戻り、理事長は、学園長に


「学園長、我々はこの条件を了承する他なさそうですが、どうしますか?」


と尋ね、学園長は渋い表情で、


「わかりました…出演料について予め確認をしなかった事は私の落ち度ですので、その条件を了承いたします…」


と言い、口を尖らせた…


おばあちゃんは、パパとママに


「そういう事になったようですよ、良かったわね。」


と言い、ニッと笑った。


パパとママは互いに嬉しそうに目を合わせてから、声を揃えて、


「ありがとうございます‼️」


と学園長と理事長に深くお辞儀をした。


学園長は、それを横目で見て、


「ただし、二人はあくまで、親しい友人。その事は常に胆に命じてください。いいですね‼️」


と言ってから、少しトーンを落として、


「そうでないと、他の生徒に示しがつきません…」


と、付け加えた…


パパとママはまた声を揃えて、


「ハイ‼️」


と、笑顔で返事をした…


学園長は「やれやれ…」という顔をしてから、


「でも、これで良かったのかもしれませんね…」


と呟き、ママを見て


「潮田さん、あなたの歌は元々素晴らしいと思っていましたが、篠山先生の元へ伺う様になってから、また見違える程上達したと私は思います。ですから、これからも先生の元でしっかり学んで、まずは関東芸大に必ず合格なさいね。応援していますよ。」


と言い、ママに歩み寄り肩をポンと叩いた。


「学園長様…」


と、涙ぐむママに学園長は微笑みかけ、


「私は将来、あなたと篠山さんの初リサイタルに招待していただけるのかしら?」


と言い、パパとママを見て首を傾げた。


パパとママは顔を見合わせてから、満面の笑みで、


「勿論です‼️」


と声を揃えた。


学園長はニッコリ笑って、


「楽しみにしてますよ。頑張るのよ。」


と言った。


そこへ、チャペルの片付けを終えたシスター御園が息を切らして入って来た。


「お疲れ様です…あの、学園長、お話が…」


学園長は空かさず、


「潮田さんは、これから毎週日曜日に篠山先生のお宅に伺う事になりましたが、その話ですか?」


と言ってから、口調を強めて、


「それはそうと、あなた‼️ また廊下をドタバタと‼️

廊下を走らないと何度言えば判るのですか‼️

大体、あなたは教師だと言う自覚が…」


シスター御園は、子供がクリスマスプレゼントを開けた時の様な喜びの表情を浮かべて、


「ハ~~~イ、園長センセ~~~‼️

あ、神父様に用事が…」


と言い、一礼して理事長室を出て、また廊下をドタバタと走って行った…


学園長が、


「まったく…」


と、言ってから、笑いが堪えきれずに吹き出すと、皆も連れて大笑いした…


すっかり和んだ雰囲気になり談笑に花が咲いた…


やがて日が傾き始め、おじいちゃんが


「では、我々はそろそろ失礼いたしますよ。」


と言い、荷物をまとめ始めると、ママはシスター御園と神父様を呼びに行き、

皆で門まで見送りに来てくれた。


おじいちゃんとおばあちゃんは車の窓を開け、


「それでは、ありがとうございました。失礼いたします…」


と会釈をし、パパは


「じゃぁ、華さん、また来週。」


と左手にお守りを握り、右手で手を振った。


ママも同じようにして、


「ハイ。また日曜日に。」


と言ってから、おばあちゃんとおばあちゃんを見て深くお辞儀をした。


おじいちゃんとおばあちゃんも


「華さん、また日曜日ね。」


と笑顔で手を振ってから、


「それでは、ごきげんよう…」


と車を出した。


パパは、こちらに手を振り続けるママとシスター御園が見えなくなるまでリアウインドウから思いきり手を振った…


帰りの車中、


「父さん、母さん、ありがとう…ビックリしたけど…」


「驚かせて悪かったが、こっちはこっちでかなり胆を冷やしたよ…まぁ、終わり良ければ…という事にしよう。」


「ハイ。本当にありがとう…」


「フフフ…さて、お二人さん、これから帰って夕食の支度では遅くなってしまうから、今日は外で食べて帰りませんか?」


「そうだね泉君、じゃぁ、久しぶりにあの店に行こうか?」


「そうですね、教授。」


「あの店…?」


「私のお師匠さんのお店よ。」


「あぁ‼️ そのお店、行ってみたかったんだ‼️」


「優も行った事あるわよ。小さい頃に。」


「そうなんだ…覚えてないや…」


「じゃぁ、先に言っておきますけど、シェフはチャッキチャキの江戸っ子ですからね。フフフ…」


「江戸っ子…だから…?」


「フフフ…、それは、着いてからのお楽しみよ…」



「さぁ、着いたぞ。ココだよ。」


「エッ…⁉️ 寿司屋…? 母さんが働いてたのは洋食屋じゃ…?」


「フフフ…ここは洋食屋さんよ。」


「へぇ~…そうなんだ…確かに、ダクトからはそんな匂いが漂ってくるけど…」


「フフフ…さぁ、入りましょ。」


おばあちゃんが引き戸を開けて、暖簾をくぐり、お店に入ると、


「へぃ、いらっしゃい‼️ 」


「こんばんは、お師匠様。」


「おぉ‼️ 泉ちゃんに先生じゃねぇかい‼️ 久しぶりだなぁ~…っつ~事ぁ~そちらの美少年は坊っちゃんかぃ?」


「ハイ、息子の優です。」


「おぉ、そうかいそうかい、デカくなったなぁ~…まぁ、そんなとこで突っ立ってねぇ~で座った座った。さぁて、何作ろうかぃ?」


このお店は何を食べても美味しいからと、色々なメニューを注文して、3人で分け合って食べる事にした。


テーブルに並んだ洋食達はどれも絶品だった。


味覚もお腹も大満足になってお店を出る時、パパはシェフに言った。


「シェフ、ボク、必ず関東芸大に合格して、ランチを食べに来ます‼️ 連れて来たい人が居るんです‼️ 」


シェフは微笑んで


「おぅ‼️ 待ってるゼぃ。」


と言って、右手の親指を立てて拳を前に突き出した…


(第九楽章へ続く)


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