前山裕也
前山裕也は人間が嫌いだ
21歳という若さでドライバーをやっているが
これは彼がなるべく人と話さなくて済むと思っているからだ
彼の父は大手企業の専務、
母は、専業主婦
弟は現在有名私立大学に在籍している
という少し頭のいい家だ
子供のときから
親が大手企業の務めだと知ると周りに人が集まってくるが
一度父の会社が倒産しかけたときはたくさんの人が離れていったが
持ち直すとまた人が集まって来た
幼少期から厳しく育てられた
「きちんと勉強しなさい!」
「なんでお前にはできなくて弟はできるんだ」
「あなたの為よ裕也」
「あなたはお父さんのように偉くなるのよ」
などとずっと言われてきた
小中彼には友達と言える人間は一人もいない
なぜなら親が偉いと変な大人が来て
周りの親は母をおだてる
同級生からは
「金持ちのボンボン」
「悔しかったら金持って来いよ!」
「お前なんてなんもできないよ」
「まだいたの?気持ち悪い」
などと言われいじめのような扱いを受けて来た
そのうち弟が学校に入学してくると
先生には
「弟の方が優秀じゃないか!」
と比べられ家でも両親から
「なんでお前は勉強しないんだ!」
「なんであなたは馬鹿なの?」
とずっと言われてきた
一度先生や両親に反抗したが
その後、彼の周りに人は寄ってこなかった
彼はそのうち親に反発するようになり
高校も親が進めたところではなく
全く別の全寮制の高校に行った。
当然親には怒られたが己の道を進んだ
大学はいいとこに進めと言われたが
「自分の行きたいとこいけないなら行かない」
「あんたらには世話になんねーよ!」
と卒業と同時に今の会社の社員として入社した。
その後免許取得支援を使い免許を取った。
この仕事は楽しい
基本運転だけに加え長距離になるときれいな景色が見れるからだ
時間へのプレッシャーがあるが他は何ともない
仕事仲間はみんな明るく陽気だ
実家にはもう2年ほど帰ってない
帰ると親の声がうるさいからだ
正直うざくてたまらない
今は一人のびのびと暮らしたいのだ