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それを見て班員たちも緊張を解きその場に座り込む。
腰が抜けて動けないアリエッタを見つけるとしゃがみ、声をかける。
「大丈夫か?」
「あ、あう……」
まだ混乱しているのかアリエッタは呻く様に声を出すだけだ。
「落ち着け、敵は撃退した。もう安心だ。」
呆然としているアリエッタの頭を優しく撫でてやる。
「う、うわあああああん!」
「ん?おお!?」
急にしがみついてきて泣き叫ぶアリエッタに一瞬困惑したが気持ちは分からなくも無い、先ほどまで死地にいたのだ。息を吐くとそのまま背中を撫でて落ち着かせてやる。
「ひ、ひぐ、怖かったよぉ……」
「そうだな」
「し、死んじゃうかと思った……」
「大丈夫だ、生きている」
「う、うん」
「もう大丈夫だ」
「……うん」
まだアリエッタしがみ付いてきていたが、とりあえず涙は止まったようだ。
「落ち着いたか」
「は、はい」
「ではそろそろいいかな。周りの視線が少々つらい」
周りの視線がこちらへと集中している。特にジャミルの視線が鋭い。
「ひゃあっ!」
今の自分の状態に気づきあわてて体を離すアリエッタ。グレイは素早くローブを脱ぐアリエッタにかぶせる。
「ふ、ふえ?」
その行為の意味がわからず目をパチパチしていたがグレイの視線の先を見ると顔を硬直させる。
「……今気づいたのか」
床の上の水溜り、濡れた下半身。
「はっはっは、まあ極限状態における生理現象の一つだ、仕方がない。気にするな。」
アリエッタの思考は静止状態から凄まじい勢いで回転を始める。気にするなといわれてもそういうわけにもいかないし、しかもそんな状態で抱きついて泣き喚いてしまった訳だ。当然そんなことをしたら抱きつかれたほうも濡れてしまうのは必然。
「い、いやああああああああああ!」




