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3-6

 準備を急いで整えた三人は早足で集合場所まで歩き始めた。

「うーむ、3班の集合場所は西門か。」

「あたしは南西門、ここでお別れだにゃ~」

「ああ、気をつけろよ」

「そっちも。じゃ、またにゃ~♪」

 フレイと別れ二人で西門に向かうと既に他の人間は集まっているようだった。

「誰かと思えば……お前らか」

「お、ジャミルじゃないか」「ふはは!お前と一緒か!」

「……奇遇なものだ。出会って初の遠征で同じ班とは、しかも……」「俺もいるぜ!」

「ラインも同じ班か!驚いたな」「ぬおっ!貴様もか!」

 ランダムに決められる班分けでこんなにも知り合いが重なるのは珍しい。

「おうよ!頼りにしてるぜ!」

「……戦士としての腕は見た。魔術師としてはどうかな?」

「ははっ手痛いところを突く、まあ程々にやるさ」

「フン、そいつらは落ちこぼれですよ」

 背後からの声に振り向くとリードがこちらに歩いてくる。

「そんなやつらとは付き合わないほうが良いですよ、騎士の名門コンポール家にはふさわしくない」

 キノコヘアーをわざとらしく掻き揚げながら言うリード。

「あん?なんだこのモヤシは?なんだその頭、キノコかよ?」

 突然暴言を吐き現れた乱入者にラインが不機嫌な顔を浮かべる。

「な!?無礼な!これだから下等な一般兵科学部は・・・このような輩と一緒にいてはいけません!行きましょう、ジャミル殿」

「……断る」

「ほへ?」

 呆けたような顔をするリードにジャミルは口調を強める。

「……彼らは俺の友人だ、そして最初に侮辱したのはどっちからだったか?さらに言えば今回班長を務めるのは私だ、彼らがどのような実力を持っているかは俺が見て決める!」 

「ひゅ~!カッケーじゃねーかジャミル!ひっこめモヤシキノコ!」

「な、なにを!この下等が!貴方も後悔しますよジャミル殿!勝手にするといい!」

 リードは怒りに顔を歪ませながら離れていった。

「あまりよくない空気だな」

「ぬう?どういうことだグレイ?」

「さっきの会話が周りに筒抜けだったからな」

 騎士学部と魔法学部の中には一般兵科学部を見下している生徒も少なくなく、同様に一般兵科学部でもこの2つの学部に不満をもつ生徒も多い。その中で先程のような言い争いはそれらを顕著にさせるだろう。

「へっ!あんなこと言われて俺達がいい気分になるわけねえっての!あのモヤシキノコめ!」

「……ラインもそろそろ怒りを収めろ。だが少々困ったなあのモヤ、男にも」

「ふはははは今貴様もモヤシと言いそうになっただろ!ふはははは!」

「おい、そういうのは聞き逃してやれよサッカ」

 気持ちは分かる、本当にキノコとしか言いようの無い髪型だ。彼の美意識なのかわからないが正直なぜそんな髪型にするのか理解に苦しむ。

「しかしお前が班長か。まあ班長は騎士学部がやるのが通例ではあるが……今回の編成はどうなっている?」

 少なからず命が懸かる任務だ。なるべく情報を集めたい。

「ぬうううう!少し浮ついている奴もいるな。あれは2年か?他の学部なんぞよくわからんが」

「……通例この時期は一班に一般兵科学部5人、騎士学部3人、魔法学部3人のうち一般兵科と騎士学部の半分が初陣である2年なのだが」

「フン!リーダー1人に兵10人か、それがどうした?」

「……そう急くな、今年は下の学年のほうが人数が多いらしい。4班は一般学部の3人と騎士学部2人が2年だ」

「やれやれ、まったくそんな情報今聞いたぜ。全く、、班長以外には誰が何班になるか当日までわからないという制度も少々考え物だぜ」

「確か様々な状況でも臨機応変に対応できるようにする為、という理由だったな」

「……戦場では見知らぬ者と肩を並べ戦うこともあるだろう」

「ふははは、正にその通りだな!」

「しかし2年が多いが万一の時はどうなっている?」

「……俺たちの哨戒する道は最も安全といわれる大街道だ。さらに3班の哨戒する街路とも進む方角は一緒であるし救難信号を発すれば駆けつけて来てくれるだろう。街の近くまで行軍すれば正規軍もいる」

「なるほど」

「おいお前ら、そろそろ話を切り上げてあっちへ行こうぜ。とりあえず自己紹介位しておくべきだろうよ」

「……そうだな」

 ラインの意見に頷き4人は緊張した様子で佇む二年生の方へ足を進めた。



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