2-8
また一冊本を読み終える。この一冊で今日の予定していた分の本を読み終えることが出来た。
時計の針は午前三時を少し回ったところ、そろそろ寝なくては明日に響く。
「リリア、今日はお開きにしようか?」
「すぅ……すぅ……」
リリアは本を開いたまま静かに寝息を立てていた。
「やれやれ……リリア、起きろ」
「ん……もう……少し」
肩を揺らしてみるが起きない。
「ダメだ、自分の部屋に戻って寝なさい」
「……や」
「や。じゃない」
「……連れてって」
「ダメだ。起きないと……」
どうしようか?なかなか起きないリリアに悪戯心が湧いてきた。耳元に息を吹きかけるように小さく囁いてみる。
「食っちまうぞ」
「ひゃっ!」
リリアが慌てて瞼を開け声を上げた。
「お、起きた」
「むぅ~急に驚かせないで!」
リリアが顔を紅潮させながらいつも通のじとっとした目で見てくる。
「すまんすまん。半分冗談だ。」
「そう……半分!?」
再び慌てるリリアの顔を頬から鼻、口へと大きな手がなぞっていく。そう、まだ俺の悪戯時間は半分しか終了していない。
「リリアの頬も唇も、柔らかくてとても美味そうだ」
「~~~~~~~!」
リリアがさらに顔を紅潮させた。目泳いでいてかなり混乱しているのが眼に取れる。
「ははっ!冗談が過ぎたか。眼も覚めたようだしそろそろ帰るぞ」
硬直しているリリアの頭をわしわしと撫でてやり正気に戻す。
「……ん」
まだ赤い頬を隠すように俯きながら小さく頷いた。
二人は周囲を警戒しつつ図書館を出ると学生寮へ向けて歩き始めた。
学生寮には門限が23時と一応は決められているが特にチェック等は無いために実質は無いに等しい。教練場も深夜訓練を目的として夜でも開放されており学生達は翌日に影響が出ない範囲での自由な活動が認められている。
二人で並んで歩いていたが、急に吹いた風にリリアは身を竦ませた。
「気温が上がってきたとはいえ、まだまだ夜は冷えるな」
「ん」
「ほれ」
ローブの右の裾を持ち広げる。
「ん」
リリアが擦り寄ってくるのを確認するとその体をローブで包んでやる。
「じゃ、行くか」
「……ん」
二つだった影は一つになり再び歩き出した。




